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福井健策

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弁護士/ニューヨーク州弁護士(骨董通り法律事務所 代表)

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見解デジタル版記事の方でコメントしていますが、若干補足しますね。 例えば口コミ情報などの統計的な分析を目的とするスクレイピングなら、著作権法上は基本的に認められています(30条の4)。しかし、既存の口コミとそっくりな類似物を生成する目的のスクレイピングの場合、その時点で既に複製権侵害で、著作権法に違反する可能性はあります。ただしこれは、類似の程度問題です。 本件ではそれ以上に、他社の口コミを勝手に加工した情報だとわかれば、多くの読者はあまり信頼しないでしょう。ですからそれを口コミと偽って掲載する行為は、読者を欺く行為として、不正競争防止法や景品表示法への違反となる可能性があります。同時に、AI生成物にはそう表示すべきだという、現在のマーキングの議論にも影響を与えそうですね。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 小木曽健

    国際大学GLOCOM客員研究員/執筆業

    解説今回と似た構図で、同様に悪質だった先例として「アホ男子かるた」事件があります。Twitterで10年…続きを読む

  • 山口健太

    ITジャーナリスト

    解説スクレイピング自体はWeb上で一般的に使われている手法であり、やり方次第では問題にならないと考えます…続きを読む

コメンテータープロフィール

福井健策

弁護士/ニューヨーク州弁護士(骨董通り法律事務所 代表)

弁護士(日本及びニューヨーク)。骨董通り法律事務所 for the Arts 代表。日大芸術学部・神戸大学大学院・iU・CATで客員教授。専門はエンタテインメント・メディアの法律と契約、著作権法、肖像権・メタバースなど情報法。 内閣府知財本部・文化庁ほか委員。デジタルアーカイブ学会法制度部会長、JPASN常任理事、エンタメロイヤーズネットワーク理事。近著『18歳の著作権入門』(ちくま新書)、『エンタテインメント法実務』(弘文堂・編著)、『ロボット・AIと法』(有斐閣・共著)ほか。

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