見解これは科学界では以前から言われていたことであり、多くの研究者が過度な選択と集中をやめてほしいと要望をしてきました。こうした声を裏付ける重要な研究だと思います。 選択と集中がうまくいくのは、すでにある研究を発展させるときであり、何が見つかるか分からない研究の始まり段階に選択と集中をしてしまうのは、当選発表の前にこれが当たるはずと特定の番号の宝くじのみを買うようなものです。当たればでかいですが外れる確率は高いわけです。 しかし、どうして過度な選択と集中が改まらないのでしょうか。それは科学技術の政策に影響を与える研究者の多くが、選択と集中の恩恵を受けている側だからだと思います。現場の研究者の声を政策決定に反映させる仕組みや、現場の研究者自身の積極的な行動が不可欠です。
コメンテータープロフィール
1971年横浜生まれ。神奈川県立柏陽高校出身。東京大学理学部生物学科動物学専攻卒業後、大学院博士課程まで進学したが、研究者としての将来に不安を感じ、一念発起し神戸大学医学部に学士編入学。卒業後病理医になる。一般社団法人科学・政策と社会研究室(カセイケン)代表理事。フリーの病理医として働くと同時に、フリーの科学・医療ジャーナリストとして若手研究者のキャリア問題や研究不正、科学技術政策に関する記事の執筆等を行っている。「博士漂流時代」(ディスカヴァー)にて科学ジャーナリスト賞2011受賞。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。近著は「病理医が明かす 死因のホント」(日経プレミアシリーズ)。
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