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江川紹子

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ジャーナリスト・神奈川大学特任教授

報告

見解取り調べの可視化導入の目的の1つが、問題があった時に検証が可能にすることだ。それを考えれば、まっとうな決定とは言える。  しかし、これで十分とはいえない。そもそも、国(検察)によって人権を侵害された被害者が、その責任を問い、被害を少しでも回復しようとして起こす国賠訴訟で、このように取り調べの録音録画を証拠とすることが認められるのに、約2年もの年月と少なくない費用をかけなければならない、という事態は、問題ではないか。  人権侵害の当事者である国(検察)が、自分たちのひどい取り調べを受けた人のプライバシーを盾にして、映像の提出を拒む、というのもおかしい。  こうなるのは、刑事訴訟法で検察側が開示する証拠を、刑事裁判以外には使わせないという「目的外使用の禁止」規定があるためだ。取り調べの検証は、刑事裁判だけでなく、国賠などの民事訴訟や報道を通しても行われるべきで、すみやかな法改正が必要だ。

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コメンテータープロフィール

江川紹子

ジャーナリスト・神奈川大学特任教授

神奈川新聞記者を経てフリーランス。司法、政治、災害、教育、カルト、音楽など関心分野は様々です。2020年4月から神奈川大学国際日本学部の特任教授を務め、カルト問題やメディア論を教えています。

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