本件の持続化給付金詐欺事件は、主犯格の谷口光弘容疑者を逮捕して捜査をしなければ、その全容が不透明な状況になることから、警視庁の執念で身柄を確保できたものと考えられます。まず、犯罪人が国外に逃亡した場合、犯罪人引渡し条約がありますが、日本ではアメリカと韓国の二か国としか締結されていません。谷口容疑者が逃亡していたインドネシアは、犯罪人引渡し条約を締結していないことから、インドネシアに委ねられます。警視庁はICPO(国際刑事警察機構)と連携を密にして、インドネシアの警察に対して捜査協力を依頼していたものと思います。例えば、ブラジルは憲法で犯罪人を引き渡さないと定めれていることから、捜査書類と証拠品を全て引き渡して代理処罰を要請します。本件は、主犯格の身柄確保が最重要であるので、インドネシアから引き渡しを受けて捜査を進め、組織的な犯行が立証できれば、組織犯罪処罰法で公判請求するでしょう。
同じ記事に対する他のコメンテーターコメント
コメンテータープロフィール
通称リーゼント刑事。「おい!小池」のポスターで有名な凶悪指名手配犯を長年追った刑事として、NHKやフジテレビ系・テレビ東京系のドキュメンタリー番組に多数登場。1979年に徳島県警を拝命し2021年3月に定年退職。42年間のうち刑事で31年。そのほとんどが殺人・強盗・放火・誘拐・人質立てこもり事件を担当。「罪を憎んで人を憎まず」が信条で、暴走族抗争事件を数々検挙しその後解散式をして更生させたり、「刑事は被害者の代理人」を胸に人に寄り添う捜査活動をしてきた。一方、命がけの捜査も多く、人質立てこもり事件では、殉職寸前の経験が数回、不死身の刑事と称された。