大賞発表
- 海をあげる 上間陽子
- 「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」痛みを抱えて生きるとは、こういうことなのか。言葉に表せない苦しみを聞きとるには、こんなにも力がいるのか。
おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。 ベストセラー『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれたノンフィクション。
あなたの知らないリアルをもっと。
2021年ノンフィクション本大賞のノミネート作品が、現役の書店員の投票によって選ばれました。
作品名は50音順
ノンフィクション本って面白そう。でも、なにから読んだらいいのかわからない。そんなときに頼るべきなのは、街で働く書店員の方々。とっておきの一冊はなんなのか。聞きました。
あらすじ 視覚障害者に鍼灸をさせる日本は、さまざまな面で進んでいる。車の運転なんて、へっちゃらだろう。期待に胸を高ならせ、日本にやってきたスーダン人のアブ青年だったが、日本語と福井弁、東洋医学と西洋医学の専門用語、点字をマスターせねばならない、という壁にぶつかる。さらに鍼灸、プログラミング、日本の歴史、日本近代文学を学び、日本の大学から大学院へ。友人の高野秀行さんとの交流も爆笑です。音声読み上げソフトで自ら綴った青春記。
あらすじ なんとなく良いイメージのないカラスですが、「カラス先生」が愛情を持って実は弱気でちょっとマヌケなカラスの生態を語ってくれています。ちなみに冒頭で著者も述べていますが、「カラスの飼い方」をレクチャーした本ではありません。「カラスは食えるか」どうかや、サルや他の鳥のお話もたくさん出てくるユーモアいっぱいの本です。
あらすじ 多くの母子家庭は、長年、経済的に厳しい状況におかれてきた。そしてこの不況下、さらに生活保護世帯の母子加算がなくなったことは厳しさに追いうちをかけている。著者は当事者として母子家庭の制度改善に尽力してきたが、同時に老いをむかえた「母」たちの現在の年金生活についても取材を続けた。「子」の教育費なども含めて現状を活写する。
あらすじ 小倉昌男氏といえば、宅急便の産みの親です。ヤマト運輸引退後、私財を投げ打って、ヤマト福祉財団を設立し、障がい者の就労支援に焦点を当てた活動を開始。しかし、これには彼の「はっきりとした動機」がないという疑問を感じ、著者は取材を始めました。その謎は人間・小倉昌男、そして家族に確信がありました。目に付きやすい宅急便よりも、こちらの方がもっと脚光を浴びるべき凄い生きざまです。