Inside2021.10.25

インタビュー・対談でトップランナーの生き方に迫る Yahoo!ニュース オリジナル「RED Chair」の新体験

各界の第一線を走る人々。その思い、生き方とは――。Yahoo!ニュース オリジナル「RED Chair」は、トップランナーの生き方に迫る企画です。

安藤忠雄さん、石橋貴明さん、大谷翔平さん、坂東玉三郎さん、村上隆さん、宮沢りえさん、美輪明宏さん……錚々たる人たちが登場するインタビューに加え、はじめしゃちょーさん×佐藤二朗さん、「極楽とんぼ」加藤浩次さん×山本圭壱さんなど、独自の切り口でマッチングした対談企画「RED Chair+」もスタート。

赤い椅子に腰掛けて語る言葉は、映像とテキスト記事を通して届けられます。どのような視点でインタビュー空間をつくり、コンテンツを制作しているのでしょうか。「RED Chair」プロデューサーの吉村元徳さん、インタビューや記事の執筆を担当する塚原沙耶さんに聞きます。

取材・文/佐々木正孝
編集/ノオト

赤い椅子というアイコン

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そこに座った者は真実のみを話す――それが「RED Chair」のルール。ラグジュアリーな椅子に腰を下ろす前から、インタビュイーの姿を写し始めています。

「赤い椅子をアイコンにしたのは、『ここは大事な話をするところ』というイメージを視覚的に伝えたかったからです。これだけ長く、じっくりと話を聞く映像コンテンツはあまりありません。映像の強みは話す内容だけではなく、口調、声のトーン、ちょっとした間、表情の変化といった非言語情報を提供できることです。椅子へと向かう歩き方、座る仕草など、言葉にしなくてもその人らしさがにじみ出てきます。その点を強く意識して編集に臨んでいますね」(吉村さん)

もともと映像制作プロダクションのディレクターとして、ドキュメンタリー制作に携わっていた吉村さん。「RED Chair」には2019年1月からプロデューサーとして参画しています。企画に携わり始めた当初、「インタビューコンテンツは映像とマッチしない面もある。難しいかもしれない」と感じたそう。

「映像は動きを捉えるものです。しかし、インタビュイーが話すだけの構成だと、画面の中にはさほど動きが出ません。そのため、時には視聴者に『退屈だ』と感じられてしまうかもしれないと思いました」(吉村さん)

これまでドキュメンタリーなどでインタビューを撮影する際は、「動き」を念頭に置いた画づくりをしていたそうです。例えば大工さんへのインタビューであれば、カンナをかける作業をしながらしゃべってもらう、など。

「不安はありましたが、裏を返せば、インタビューを映像で長く見せる『新たなコンテンツへの挑戦ができる』ということでもあります。Yahoo!ニュースのユーザーに、動画とテキストの両輪で届け、リッチなコンテンツの魅力を知ってもらいたい。そんな思いから、プロジェクトを走らせていきました」(吉村さん)

動きの少ないインタビューをあえて中心に据える「RED Chair」。視聴者に動画に没入してもらうためには、どのような工夫が必要か? 映像チームは世界観を伝える空間づくり、そしてインタビュイーのさまざまな表情を捉えることを考えています。

収録に投入されるカメラは、Webコンテンツでは異例の約8台。さまざまな角度から表情の変化を切り取り、テンポのよいスイッチングで視聴者が飽きないように工夫しています。

また、ラグジュアリーな椅子が引き立つよう、取材場所には天井が高く広々とした空間を選択。インタビュイーが入場する際に期待が高まり、熱く語る姿が映えるように、空間からもリッチな世界観を伝えています。

独自のキャスティング

赤い椅子に腰を下ろすのは、自らの挑戦で新しい時代を切り拓く先駆者たち。2019年5月、第1回に登場したのは本田圭佑さんでした。

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以降も大谷翔平さん、美輪明宏さん、安藤忠雄さんなど、ネットメディアへ登場する機会の少ない多くのゲストを迎えてきました。キャスティングにおいては、Yahoo!ニュースと共同でこの企画に取り組む放送作家・高須光聖さんの存在も大きいそう。

「高須さんは、ダウンタウンの松本人志さん、浜田雅功さんの盟友として知られる放送作家です。立ち上げ時からご一緒し、キャスティングや赤い椅子の見せ方を含めて、じっくり話し合いを重ねてきました。高須さんとのやりとりは、私たちには得がたい刺激になっています。ヤフーがデータ分析に基づいたコンテンツ制作を得意とする一方で、高須さんはテレビ業界で30年以上に渡って培ってきた豊富な経験と勘が強み、とでも言いましょうか。『今、この人を出したら面白い』『このマッチングから、何かが生まれる』など、対談コンテンツ『RED Chair+』も含め、データからは導き出せないアイデアがどんどん生まれています」(吉村さん)

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データドリブンのYahoo!ニュースと、テレビの世界で実績を重ねてきた高須さん。異なる視点を交えて作ったコンテンツは、時には予想を大きく越えて広く世間に届くことも。吉村さんは、石橋貴明さんの登場回を例に挙げます。

「とんねるずは死にました――この発言がセンセーショナルだったこともあり、SNSなどでも話題になり、石橋さんの『情熱大陸』(TBS系)出演にまでつながっていきました」(吉村さん)

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ネットニュースを多くのユーザーに届ける時、キャッチーなタイトルも大事な要素です。ただ、インタビュイーの言葉を「あおり」のように使うのではなく、真意が正確に伝わるように慎重に記事を構成したいと、インタビューや記事の執筆を担当する塚原さんは話します。

「例えば安藤忠雄さんは、2時間ノンストップ、休憩もとらずに語り続けてくださいました。『これを伝えたい』という強いお気持ちがあってこそだと思います。世の中に今、何を届けたいのか。率直な思いを丁寧に聞き取り、そこで現れた力強い言葉を文字にすれば、必ずユーザーの心に届くと考えています」(塚原さん)

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動画と記事の両輪で伝えるために

動画で表情、語りを追う一方、記事では印象的なコメントと解説で読ませます。動画と記事の両方で、生き方や思いを多彩に描写する。「RED Chair」の大きな特徴です。

動画と記事という2つの形式でアウトプットをするため、インタビュアーは通常の取材よりも多くのことを意識しながら進める必要があります。

「『RED Chair』の収録では、例えば、話し手の語りに相槌などのリアクションをかぶせないようにしています。いい反応を引き出そうとインタビュアーがリアクションをしすぎてもいけない。リアクションによって聞き手の表情が変わってしまったり、インタビュアーの話を聞く姿勢に入ってしまったりしますから」(吉村さん)

「テキストのみで構成する記事の場合、インタビュアーの質問やリアクションがアクセントになることがあります。でも、『RED Chair』の動画ではそれが邪魔になることが多い。そのため、インタビュイーに『動画編集の都合上、リアクションが薄いように感じられることがあるかもしれません』と事前に伝えておくこともあります。声を出さない分、大きくうなずいたり、表情を豊かにして反応したり。動画チームと相談しつつ、『RED Chair』に合った取材スタイルを模索するのもやりがいの一つです」(塚原さん)

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記事の書籍化の企画が舞い込んだり、ライフスタイル誌『ゲーテ』(幻冬舎)で「RED Chair"金言"撰」といったトップランナーの名言集が企画されたりするなど、注目される機会も増えてきました。チームはギアをさらに上げ、コンテンツの充実を目指していきます。

「ネットニュースは基本的に単発で読まれていくもので、連載やシリーズとして認知されるのはなかなか難しいと思います。熱心に長尺で語ってくれた言葉を、動画と記事でしっかり届ける。地道な積み重ねで、コンテンツが記憶に残ればと思います」(塚原さん)

「意識しているのはポジティブな視聴感、そして読後感です。『RED Chair+』の対談でも、二人の話から期待が生まれ、膨らんでいってほしいと考えています。元気が出て、前向きになれるコンテンツを手掛けていく。真摯に取り組むなかで、さまざまな世界のトップランナーが『自分も出たい』と名乗りを上げてくれるようなコンテンツに成長させていきたいと思っています」(吉村さん)

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