10代のはじめからモデルとして活躍し、明るいぶっちゃけキャラですっかりお茶の間の人気者になった藤田ニコル。その一挙一動は毎日のようにネットニュースになる。注目はうれしいとしつつも、「アンチなニュースを見ると、もう死にたくなります」。生きにくい社会になったと吐露する“にこるん“に、現在の立ち位置、嫌味な記者との向き合い方、そして将来について聞いた。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士 Yahoo!ニュース 特集編集部)
キャーキャー、ピーピー騒いでいたのは10代まで
「注目してもらえる理由は、なんだろう。“素”過ぎるのかな。嘘がないからじゃないですかね。何でもしゃべっちゃうから。でも、最近はトークとかも大人っぽくなったって言われるんですよ、変わったねって。私としては、普通に年取ったってだけですけど」
10代の頃は、世間も、常識も、その場にふさわしい振る舞いも、何も知らなかった。「好きなようにキャーキャー、ピーピー騒いで、自分の好きなビジュアルを楽しんでいた」と振り返る。周りにも牙をむいていた。特に「Popteen」時代は周りを全員ライバルだと思い、同世代のタレントに対してもピリピリしたという。
「本当、20歳超えてからですかね、やっとピリピリしなくなりました。親友のみちょぱとかは、応援する意味で気になりますけど、かといって戦うこともない。友達と戦うの、いちばん嫌だなって。昔は戦うの好きだったけど、今は落ち着いちゃいました。年を重ねて、いろいろと学んでしまったのかな。でも、10代から20代の変化って、めちゃくちゃデカイんじゃないですか? 性格もちょっと変わったりするし、落ち着いたり、心が広くなったりとか、逆に狭くなったりする時期もあるし。それをリアルに生きてたら、今、こうなってました」
「なめられてる」のは分かってる
ライバル心がなくなった今、一番苦手な質問は、「憧れている人はいますか?」「好きな芸能人は?」という類いのもの。
「マジ、人に興味ないんですよね。憧れの人って言われても、言えないんですよ。その人はその人だから、憧れたところでその人にはなれないし。あと、同世代の女の子の不倫ニュースどう思う?とかよく聞かれますけど、そういうのも興味ない。その人たちの内々の会話、出来事でしょ。当人にしか分からないことだし、他人が騒ぐ意味ある?って思います」
ゴシップには我関せずのスタンス。だからこそ、その歯に衣着せぬ発言を求めて、バラエティー番組はこぞって彼女をキャスティングしたがる。
「バラエティー番組に出る時、流れは把握しておきますけど、台本はほとんど見ないです。深く見ると私、つまんなくなっちゃうから。何も知らないくらいが自分に向いてる。ヨイショもしないし、普通に。ごますったり、ヨイショし過ぎると、逆効果。例えば梅沢(富美男)さんとかも、親戚のおじいちゃんぐらいの感覚です。もちろん礼儀は大切だけど、普通に近いトークのほうが、いいコミュニケーションをできてる気がします」
どんな相手でも、気負わず懐に飛び込んでいける無邪気さ、度胸。大御所芸能人たちとのトークも、一切緊張しない。その自由な言動が、今の芸能界で、藤田ニコルを特別な位置に押し上げているようにも見える。
「え、私、何の位置? 何系なんだろう。おバカタレントとか言われた時があったけど、今はどうかな。一応ハーフだけど、ハーフタレント枠でもないし。何の人なんですかね。自分の立ち位置、分かってない(笑)。でも、自分の強みは何だろう……ファンや視聴者の方と、近いところかもしれないです。等身大な感じ……いや、本音は憧れられたいですけど。私って、ファンの子以外の、世間の人たちから見たら、『なめられてる』立ち位置でもあると思うんですよ。自分のニュースとか見ると、なんかなめられてる気がして、どうしたら、そこを見返せるか考え中です」
嫌みな記者の名前をスクショで保存
「何だかんだ気にしないふりして、気にしぃなんですよね(笑)。アンチなニュースを見ると、もう死にたくなります。注目されることはありがたいと思いつつも、こんな敏感な、生きにくい世の中だったっけなって。昔はSNS好きでしたけど、今は……。一回、考えてからつぶやかなきゃいけない」
ネットニュースの難しさは、実際に話すテンションが活字では伝わらないところだ、と彼女は言う。その場の空気感で流れていた何げない会話が、活字になると意味が変化して広がってしまう。それが悔しい。
「硬い文になるとさらにヤバイ感じになるから、優しく書いてほしいですね。『(と、調子に乗った感じで話していた)』みたいな、その時のテンション感を括弧で付けてほしいです。『こんなスタジオの様子だったようだ』とか、そういうの。ちなみに、嫌みな書き方してる記者の名前、全員スクショしてますから! やっぱウチのこと嫌いなのかなって思う、特定の人がいます。直接話した記事じゃないから、逆に会いたいんですよね。ウチでレビューが取れて、それで稼げてるんだから、いいとは思うんですけど、アンチにこるんの記者を揃えて座談会したいですね」
シモの話もする、友だちのような母
学生時代はいじめに似た経験もしたというが、まだ大きな挫折は経験していない。
「よく周りから『ハッピーオーラ出てるよ』って言われて。私自身、出した覚えはないのにそう言われるのは、ラッキーだなって思います。私、本当は明るくないですもん」
「実際、根暗で淡々としてるタイプ。お母さんの“破天荒”な姿を見すぎて、真逆になったんですよね。うちのお母さん、ヤバイくらい明るくて、楽しい人なんですよ。だって私の元彼と一緒にパチンコ行ったりするんですよ。そういう性格が、羨ましくもあるんですけど」
最近は、遅れてきた反抗期で、やっと母と言い合いができるようになった、と笑う。
「ストレスは全部お母さんにぶつけてます。サンドバッグみたいに(笑)。反抗期ですよ。LINEで喧嘩する時も、私は『は?』とか冷たいけど、お母さんは長文でわぁっと自分の意見を言って、でも『愛してるよ』って最後に付けてくる。正直な気持ちを言いながら、ちゃんと愛情表現をする。ずるいなって思います(笑)。私は、そういうの言えないタイプなんで」
母は友だちのような存在になった。
「お母さんも恋愛ではいっぱい失敗してるから、なんでも相談できます。何を話しても漏れないし(笑)。シモの話もしますよ、お互いに。何も隠さずに言ってくるんで、こっちも話すみたいな。普通はしないですよね、家族とそういう話は」
あまりマスコミに露出しない母は、「最終兵器」でもある。
「まだ表に出さないようにしてるんですよ。本当に面白いんで、いつかは出てもらいたいけど。お母さんを出すのは、自分が消えかかった時かな、っていうくらい強烈です」
結婚願望は年々薄れている
男性の好みは、「自分の仕事を責任持ってやっている人」。恋愛対象年齢は、40歳くらいまで。では、オジサンだと思うのは何歳から?
「50歳以上かな。いや、努力をしなくなった人かな。努力をして魅力を保っている人はいますもんね。オジサンにはオジサンの良さもあるかな」
年々、結婚願望が薄れているという。最近の恋愛については、明言を避けた。実情を知っているのは、「お母さん」だけなのだろう。
「昔は25歳までに結婚して、とか思ってたんですけど、今はそういう環境にないですね。でも、常に恋愛はしてたいな。やっぱ恋愛してる時のほうが仕事は倍楽しい。『1本目収録終わった』とか連絡したいですよね。でも彼氏は要らないな。欲しいけど、別れるとつらいから」
12歳でモデルデビューしてから10年。活躍の場はティーン誌から20代向け女性誌に移り、モデルとしてのキャリアも着実に積み重ねる。最近は、コスメのプロデュースも手がけ、動画制作・配信にも熱心だ。将来は、何を目指すのだろうか。
「30歳になった時、バリバリとテレビに出て、雑誌のモデルやって、何かをプロデュースして……っていう日々を送りたくはないです。これまで10年間頑張ってきた分、30歳くらいからは、本当にやりたいものに時間を費やせる人生を送りたい。この先、世の中に飽きられたとしても、誰かに何かを発信し続けられたら……。自分は別に、もう表に出てなくても」
藤田ニコル(ふじた・にこる)
モデル、タレント。1998年2月20日、ニュージーランド生まれ。2009年、「第13回ニコラモデルオーディション」でグランプリを獲得、「ニコラ」の専属モデルとなる。「Popteen」などで活躍した後、現在は「ViVi」専属モデル。「ヒルナンデス!」「サンデージャポン」などバラエティー番組の出演多数。最近はユーチューバーとしても注目を集めている。大のポケモンファン。初の写真集『藤田ニコル写真集 好きになるよ?』(講談社)を先月リリースしたばかり。