いまのK-POPシーンを先導する女性グループは、韓国で2014〜15年にデビューした勢力だ。Red Velvet、Lovelyz、GFRIENDから、TWICEまでに至るグループが、それまで全盛だったセクシーコンセプトを一掃し、清純で健康的なイメージの新たなトレンドを生み出した。7人組グループのOH MY GIRLもその一つ。高音域まで伸びやかな全員のボーカル力、効果的に挿入されるラップ、美しく流れるようなダンスと、ボーカル・ラップ・ダンスが高いレベルで融合したパフォーマンスに定評がある。今年1月に日本デビューを果たした彼女たちに、話を聞いた。(高橋修/Yahoo!ニュース 特集編集部)
韓流ガールズグループのトレンドを象徴する7人組
韓国では2015年4月にデビュー。着実な活動によって認知度を高め、18年1月の「Secret Garden」で初めて音楽番組(SBS MTV「THE SHOW」)の1位を獲得(韓国では、音楽番組でのランキングが人気を測る重要な指標となる)し、いまなお人気上昇中だ。芸能界でもファンが多いグループで、たとえばTWICEのメンバーも折に触れて熱狂的ファンであることを公言している。
日本には16年から、イべントなどでたびたび来日してきた。18年に一部メンバーがユニットを組んで新譜をリリースするなどしたのち、19年1月に満を持して『OH MY GIRL JAPAN DEBUT ALBUM』で日本デビュー。同作はオリコンのデイリー・アルバムランキングやBillboard JAPANの週間アルバム・セールスなどで1位を獲得、注目度の高さを証明した。日本のファンには、「おまごる」の愛称で親しまれている。
いつも笑顔のリーダー・ヒョジョン(24)、メインラッパーのミミ(24)、メインダンサーのユア(23)、シャウトが圧巻のメインボーカルでムードメーカーのスンヒ(23)、日本語がひときわ堪能なリードボーカルのジホ(22)、フォトジェニックなサブボーカル・ビニ(21)、最年少でファッションアイコンとしても注目されるアリン(19)の7人。メンバーに日本人はいないが、受け答えはほとんど日本語だった。
——数多いK-POPグループの中で、自分たちの強み、特徴は何でしょう。
ミミ やっぱりメンバーの個性だと思います。一人ずつの個性がちゃんとあって、7人が全部合わさってエネルギーを出せるのが、私たちの特徴だと思います。
——そんな自分たちをひとことで表現すると?
アリン 「いつもエネルギーがあふれる」グループです。
スンヒ コンセプトが一つだけじゃない、「勇敢な少女たち」。
ミミ 「エネルギー・パワー」
ヒョジョン 「パズルみたいなグループ」だと思います。
ビニ 私は「虹」かな……ミミちゃんが言った通りに、それぞれの個性もちゃんとあって、それが合わさったシナジー効果があるから、虹みたいだと思います。
ユア 何がいいかな…空? 「爽やかな空」みたいな感じです。
ジホ 私は「ブラックホール」。みんなを吸い込んで、出ることができない。
——ファンを吸い込むわけですね。
ジホ そう。そして出口なしです(笑)。
女の子の想像の世界を歌う
OH MY GIRLの特徴の一つは、欧米日韓の作曲家たちがコラボして作り上げた洗練された楽曲にある。アルバム全体に捨て曲がない、ともいえるだろう。そんな楽曲で描かれるシーンは、「LIAR LIAR」「WINDY DAY」「Secret Garden」など、女の子の想像の世界を歌ったものが多い。ミミは言う。
「さまざまな少女の感情を表現することも自分たちのコンセプトにしていますから、確かにそういう感じはあると思います。でも、限られたイメージを決めてしまうよりも、いろいろなコンセプトを切り開いていければと思いますね」
「Secret Garden Japanese ver.」YouTubeから
——「Secret Garden」で初めて韓国の音楽番組で1位を取ったときの感想は。
ヒョジョン とてもびっくりしました。客席にいるファンの皆さんの目や顔を見て、皆さんも一緒に同じ感情を抱いていることが伝わってきて、1位を取った時は本当に胸がいっぱいになりました。
——韓国では業界人気が一番というくらい芸能人のファンが多い。それについてどう感じていますか。
ミミ どうですか? アリンちゃん。
アリン 本当にありがとうございます。もっとかっこいい同僚になれるように、もっと頑張っていこうと思っています。
スンヒ アリンちゃんのおかげです(笑)。
——デビューから4年、これまで一番しんどかったことは何でしょうか。
スンヒ 自分がこれだけ努力したのに、結果が出なかった時。一人で考えて、いっぱい涙したことがありました。
ミミ メンバーみんな同じだと思うんですけど、自分と闘うのが一番難しかったです。仕事でも練習でも、体力的にも精神的にもやっぱり自分と闘わなきゃダメだと思って。自分の管理ですね。そんなことが一番難しいし、つらいこともありましたね。
ヒョジョン やっぱりリーダーだから、メンバーたちがしんどい時は私も本当に大変です。一緒にいる時間が本当に長いので、メンバーに何かあれば、顔を見てすぐに分かります。7人いますから、私はそういう部分が気になって本当につらかったことがあります。
ジホ 私は……ダイエットしている時に寮で、とってもとってもチキンが食べたくて、涙が出たことがあります(笑)。
ミミ 急に「チキンが食べたい!」って(笑)。
ユア 私もダイエット大嫌いです(笑)。私は体がちょっと弱くて、本当はもっとステージで、みんなにエネルギーを見せたいんだけど、体力がついていかなくて……。
アリン 練習生の時、難しいダンスや日本語の勉強など、たくさんのことをしなければいけなくて泣いたことがあります。
ビニ 私は家が大好きなんですが、仕事のスケジュールがいっぱいあると家に帰るのが難しい。それが私、しんどいです。仕事が終わった後で、車で一人泣いたことがあります。
ユア ビニはいつも寮で、ベッドの上。
ビニ 絶対外に出ない(笑)。
2018年に派生ユニット「OH MY GIRL BANHANA」で「プレ日本デビュー」した。「日本ではサルの耳や尻尾をつけて踊ったから、韓国で活動した時よりも可愛い感じがありました」(ヒョジョン) 『バナナが食べれないサル』YouTubeから
今年1月の日本デビュー・アルバムに続く第2弾として、今年7月にリリース予定の『OH MY GIRL JAPAN 2nd ALBUM』には、新曲に加え、韓国版アルバムの中からファン投票で選ばれた人気曲を日本語版で収録する。韓国で今月リリースされたばかりの「THE FIFTH SEASON」の日本語バージョン(「五番目の季節 Japanese ver.」)も含まれる。7人それぞれに、思い入れのある曲を語ってもらった。
アリン 夏の涼しい時に聞くと明るくなる「A-ing」。「♪アイン」ていう愛嬌のところがポイントです。
ビニ 愛が早く終わらないように祈っている「一歩二歩」。長く愛しましょ、っていう(笑)。昔から日本の皆さんが愛してくださった曲で、いつか日本語の歌詞で歌えたらいいなと思っていたので、今回お聞かせすることができて嬉しいですね。
ユア 「Twilight」はOH MY GIRLがこれまでやってこなかった曲調にチャレンジした曲で、強烈なパフォーマンスでたくさんの方から愛された曲です。
「Twilight Concert Live Video ver.」YouTubeから
ジホ 幼い時の私たちはこうだったよね、私たちは夢が多かったよね、したかったことが多かったよね、という思い出を歌った「Sixteen」ですね。
スンヒ 「抱きしめるの」は、私たちOH MY GIRLの新しい感情をいっぱい入れた切ない、美しい歌詞の曲。「抱きしめたら つないだこの手離さないで」という歌詞が、本当に感動的です。
ミミ 愛について積極的な少女の感情を入れた「Touch My Heart」。堂々とした歌詞と表現がすごくいいと思いますね。ステージの上でファンの皆さんと一緒に楽しめるダンスのポイントもあるし、楽しく歌える曲だと思います。
ヒョジョン 「五番目の季節」は愛について歌った曲です。愛を知った時、新しい美しさとか、新しい香りとか、それまでは感じなかった感情がめばえることを、五つ目の季節にたとえています。
「The fifth season」YouTubeから
今後、ファンをさらに増やしていくために必要なことについて問うと、「デビューする時に決めた心を、そのままずっと維持することが大切だと思います」と強調するリーダーのヒョジョン。初心を忘れることなく挑む日本でのパフォーマンスで、OH MY GIRLは新たなファンを掴むことができるだろうか。最後に、ムードメーカーのスンヒが締める。
「私たちOH MY GIRLの目標は、ドーム・ツアーです! 日本のファンの皆さんを、ドーム・ツアーに招待したいです。必ず!」
次なる目標に向け、OH MY GIRL1年目の挑戦は続く。
OH MY GIRL
韓国の女性アイドルグループ。2015年4月にデビュー。これまでに韓国でユニット含め9枚のCDをリリース。キュートなだけでなく、アーティスティックな作品も多く、楽曲への評価も高い。2019年1月に『OH MY GIRL JAPAN DEBUT ALBUM』で日本デビュー。7月3日に『OH MY GIRL JAPAN 2nd ALBUM』をリリース、10月には国内3か所でのライブツアー「OH MY GIRL Zepp LIVE TOUR 2019」を開催予定で、日本での活動を本格化させている。https://ohmygirljapan.jp/