【海老名市】えびなの歴史を今に伝える〜樹齢約300年、一度も花を咲かせない椿。「椿地蔵」の由来とは。
海老名市杉久保南に静かに存在し、市指定の天然記念物にもなっている椿地蔵。
椿地蔵の椿は樹齢約300年。毎年この季節になるとつぼみは膨らみ色付きます。しかしなぜかこのつぼみは花を咲かせる事なくつぼみのまま落ちてしまうのです。
遺伝子的な理由とも言われていますが、この事から玉椿とも言われ、次のような伝説が残っていますーー
今から300年ほど前、武家の母娘が娘の病気を治してもらうため、江戸から当地に滞在する名医、半井驢庵(なからいろあん)を訪ねこの地にやってきました。
しかしその途中、杉久保の千躰寺(せんたいじ)の前を通りかかった時に娘が苦しみはじめ、村人や母の介抱の甲斐なくこの世を去りました。
母は大変悲しみました。
そして村人たちはその娘のことを弔って地蔵堂を建て、椿を供えました。
その椿がいつしか根付き娘が生きかえったかのように成長していきました。
しかし、不思議なことに若くして亡くなった娘を悼むかのように、椿は一度も花を咲かせることなくつぼみのまま下に落ちてしまうのです。
若くして花咲く事もなく亡くなった事から、きっと娘の魂が椿に宿り、悲しい心情や苦難をこの世に伝えているのではと言われています。
脇にも地蔵尊が並んでいます。
地元の方から果物や飲み物、お菓子がよく供えられているようです。
毎年秋のお彼岸には供養会が開催されたり、近くの小学校の社会科見学の場にもなり、椿地蔵の歴史が現代も多くの人や子ども達に伝えられています。
『玉椿 咲かずに落ちる 地蔵堂』
子どもの事を思う母の親心、村人たちがその娘を思い悼む気持ちが昔と変わらず今もそこにあるような気がします。
子どもにまつわる子授や安産、困った時はここで手を合わせる人も多く、海老名の大切なスポットの一つになっています。
【椿地蔵尊】
所在地:海老名市杉久保南2丁目
アクセス:海老名駅東口より相鉄バスで約20分
「椿地蔵」下車すぐ
供養日 秋彼岸中日
[祈願成就]
・子授 ・安産 ・子育 ・進学 ・家内安全
夫婦仲良く良い子は育つ
母が拝めば子も拝む
拝む心の美しさ
久光山 善教寺
046−238−4977