日本の外貨準備高が最大の減少率に。円買いドル売り介入と米国債の価格下落が要因に。
財務省が11日発表した2022年末の外貨準備高は1兆2275億ドル(約160兆円)と21年末から1781億ドル(12.7%)減った。減少は6年ぶりで、比較できる2001年以降で最大の減少率となった(11日付日本経済新聞)。
「外貨準備等の状況(令和4年12月末現在)」財務省 https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/official_reserve_assets/data/0412.html
日本の外貨準備が最大規模の減少率となったのは、急速な円安に対応するため、政府・日銀が24年ぶりに実施した円買い・ドル売りの為替介入のために外貨準備を使ったことが大きい。9月22日に政府・日銀は1998年6月17日以来となるドル売り円買い介入を実施した。この際には2.8兆円の外貨準備を取り崩して介入を行ったとされる。また、10月21日、24日には覆面介入を実施していた。
さらに米10年債利回りが一時4%台に上昇するなど、米国債が大きく売られていたことも要因となる。国債の利回りと価格は反対に動く。国債の利回りが上昇すれば、それは価格そのものは下落する。外貨準備等の状況にもあるように、主に「証券」で運用されているが、その多くは米国債で運用されている。
外貨準備高は過去の円売り介入や運用収入で膨らみ、2021年末は年末時点として最高だった。2022年は為替や金利が激しく動いた影響で一転して大幅に減った(11日付日本経済新聞)。
むろんこの程度の減少で、日本の信認が崩れるなどということは考えづらい。
昨年のロシアでは、ロシア中央銀行の資産が制裁により凍結され、外貨準備の約半分が引き出せなくなったことでデフォルトの危機となったが、これは例外中の例外ともいえよう。
ただし、外貨準備高は為替介入の原資でもあり、それが減少すれば介入がしづらくなることでむやみに介入はできなくなることも確かである。