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アメリカ合衆国の子供達のソーシャルメディアへの投稿内容や頻度、存在の良し悪しの判断の実情をさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 日常のあれこれをソーシャルメディア上に投稿。具体的内容は。(写真:アフロ)

ソーシャルメディアは情報発信・意思表示が気軽にできるメディアで、多様な可能性を持つとともに大きなリスクを抱える存在でもある。子供が利用する際には相応の教育と経験が無いと、色々と面倒なことが生じる可能性がある。子供達自身はどのような事柄をソーシャルメディアに投稿し、よい点や悪い点に関して認識しているのだろうか。アメリカ合衆国における子供達の実情について、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年11月に発表した調査報告書「Teens' Social Media Habits and Experiences」(※)の内容から確認する。

次に示すのはソーシャルメディア上にどのようなことを投稿しているのか、その内容と投稿頻度について尋ねたもの。

↑ ソーシャルメディア上に投稿している内容と頻度(アメリカ合衆国、13~17歳、ソーシャルメディア利用者限定)(2018年)
↑ ソーシャルメディア上に投稿している内容と頻度(アメリカ合衆国、13~17歳、ソーシャルメディア利用者限定)(2018年)

自撮りはソーシャルメディアの利用方法としてもっともよく知られているものだが、アメリカ合衆国の子供達の間においても、ソーシャルメディア利用者の半数近くしか事実上投稿していない。

ソーシャルメディアは閉じた設定をしない限り、原則として世界に向けた情報発信をすることになるのだが、それでも自分の身近な友達にのみ分かる物事を投稿する人が多く、時々の頻度まで合わせると半数を超える。いかにも身内でのやり取りのような会話がソーシャルメディア上で交わされている状況はしばしば目にするが、その傾向は年を問わず、国を問わずのようだ。

自分の現状や自分が撮った動画を投稿する人は、時々の頻度まで合わせると4割強。何か拡散したい内容を投稿する人は3割に達している。

報告書では一部の属性別動向についても説明がある。「女性は男性よりも自撮りを投稿する割合が高い」「白人系よりも黒人系、ヒスパニック系の方が自撮りを投稿する割合が高い」「黒人系は白人系よりも拡散したい内容を投稿する割合が高い」などである。

それでは子供達はソーシャルメディアのよい点や悪い点について、どこまで自覚しているのだろうか。代表的なよい点・悪い点を列挙し、その内容に同意するか否かを「大いに同意」「少し同意」「同意しない」のいずれかから選んでもらい、そのうち同意する系統の値を算出したのが次のグラフ。

↑ ソーシャルメディアのよい点と悪い点に同意する人の割合(アメリカ合衆国、13-17歳、ソーシャルメディア利用者限定)(2018年)
↑ ソーシャルメディアのよい点と悪い点に同意する人の割合(アメリカ合衆国、13-17歳、ソーシャルメディア利用者限定)(2018年)

友達の日常生活を詳しく知ることができるという点でソーシャルメディアを評価する人は84%、創造的な物事を披露できるは74%、友達の気持ちに触れられるは71%、辛い時に支えてくれる人がいるは70%。友達の定義は調査票や報告書には無いので、現実における友達以外にインターネット上で知り合った友人も含まれると思われるが、そのような人達との距離感を縮め、時間を共有できる体験ができるのは、大きなメリットと認識できるに違いない。

他方、よい点と比べれば悪い点は同意率が低いのも特徴の一つ。挙げた例以外の悪い点があるのかもしれないが、少なくともこれらの観点で考える限りでは、ソーシャルメディアはメリットの方が多いと認識されているのだろう。

他方、悪い点に列挙されている「投稿の際に自分の見栄えを気にしなければいけないというプレッシャー」「コメントやいいねを得るために投稿しなければならないというプレッシャー」がそれなりの同意率を示しているのを見るに、投稿者の悩み事はどこにおいても同じなのだと考える人も多いのではないだろうか。

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※Teens' Social Media Habits and Experiences

2018年3月7日から4月10日にかけてアメリカ合衆国に在住する13~17歳の男女に対してインターネット経由および電話による通話で実施されたのもので、有効回答数は743人。国勢調査などの結果に基づきウェイトバックが行われている。なおソーシャルメディアの利用者は720人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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