全面天然芝グラウンドにウェイト器具はゼロ!アカデミーの自費建設を決めた筒香嘉智ならではのこだわり
【2億円の自費を投じたアカデミー建設】
すでに複数メディアが報じているように、パイレーツの筒香嘉智選手が出身地の和歌山県橋本市に100%の個人出資でアカデミーを建設することが明らかになっていたが、このたび施設第1号となる室内練習場が完成したのを機に、1月22日に筒香選手自ら報告説明会を実施した。
正式名称は「TSUTSUGO SPORTS ACEMEDY(以下、筒香スポーツアカデミー)」。非営利型の一般社団法人として筒香選手と兄の裕史氏の二人三脚で運営していく方針だ。
総工費はおよそ2億円で、すべて筒香選手が負担する。施設の総面積は3万平方メートルで、室内練習場の他に両翼100メートルの球場、両翼40メートルの内野フィールド、小体育館が年内中に完成する予定。すべての施設が揃った後、本格的に活動していくことになる。
【野球チームの他に学童保育やスポーツ教室も】
筒香アカデミーでは野球を中心にジュニア指導を展開してくことになるが、小学生向けの野球チームを創設するほか、学童保育やスポーツ教室も併設していく方針を明らかにしている。
報告説明会に出席した橋本市の平木哲朗市長は「できる限りのサポートをしていきたい」と、筒香スポーツアカデミーを全面支援する姿勢を明確にしている。
筒香選手は2020年から橋本市のスポーツ推進アドバイザーを務めており、これまでも市内の子どもたちのスポーツ指導に直接関わってきた。今後は筒香スポーツアカデミーを通じて、さらに市と連携を強めていくことになりそうだ。
【筒香選手だからこそこだわった天然芝グラウンド】
筒香スポーツアカデミーの最大の特長は、何といっても球場と内野フィールドを天然芝にすることだろう。これまで米国やドミニカなどでジュニア指導に触れてきた筒香選手ならではの絶対的なこだわりだった。
「まずは(選手たちの)身体の負担が減るということと。それと現在日本はプロ野球でも人工芝の球場がすごく多くて、(プロ野球以外でも)人工芝の球場が増えてきている印象があります。
人工芝の方が(プレーが)簡単だとか、楽だとかいった意味ではなく、やはり天然芝ですと、僕がアメリカでプレーしていても人工芝に比べてイレギュラーがすごく多かったり、不規則な打球が来たりする中で、予想がつかないような状態で自分たちが想定して守れる…。
そういったところから、いろいろ先を読むことにも繋がると思いますし、身体の負担も軽減します。そういった意味では小さい頃から天然芝を経験しておくというのは将来的にアドバンテージになるのではと考えています」
米国やドミニカではジュニアから天然芝グラウンドを使用するのが一般的だが、日本ではなかなか天然芝が普及していない状況にある。維持管理が難しい面があるのは確かだが、筒香選手が指摘するように、天然芝でプレーすることは単に身体の負担を減らすだけでなく、野球選手としてプレーの幅を広げる効果もあるのだ。
また施設内に一切のウェイト器具を置かないのも、ウェイトトレーニングを行わず、身体の使い方を重視したエクササイズに取り組んできた筒香選手のこだわりの表れだ。
【どこまでも有言実行を貫く姿勢】
これまでも日本球界の常識に疑問を投げかけ、ジュニア指導を含めて様々な提言を続けてきた筒香選手。今回のアカデミー建設は、単にものを言うだけでなくしっかり実行していくことを指し示したものだ。
これからも筒香選手の実行力が、日本の野球界、スポーツ界に一石を投じていくことになりそうだ。今後の筒香スポーツアカデミーの活動にも、注目が集まるところだ。