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「インスタで人生激変」~リンクコーデで爆発的人気、フォロワー58万人の60代夫婦の日常 その1

佐藤智子プロインタビュアー、元女性誌編集者
二人の好きな色はベーシックな黒、白、赤、青  撮影/中原 幸

人生何が起こるかわからない――。

1年前まで、ごくごく普通の生活をしていたのに、一躍有名人になってしまう時代が今です。

インスタ映えという言葉がもてはやされる昨今、

去年、2016年12月4日に娘さんmay_59にすすめられて始めたインスタグラムが、話題を集めて、10か月で、58万人のフォロワー数に迫る夫婦がいる。

白髪、メガネの60代夫婦。bonpon511

bon(夫、62歳)秋田県出身。広告代理店勤務。今年春に定年退職。

pon(妻、61歳)千葉県出身。専業主婦。

二人は、2017年4月から定年を機に長年住んでいた秋田から仙台に引っ越したばかり。

二人のリンクコーデ(ペアルックとは違い、一部の色、柄、素材を合わせたり、靴やメガネのアイテムをそろえて、リンク、つながりをもたせたコーディネートのこと)が「おしゃれ」「可愛い」「癒される」と評判に。

雑誌、新聞、サイトからの取材も殺到し、連日何かの媒体に取り上げられている。

台湾、香港、シンガポールなどの海外メディアにも紹介され、その人気は日本にとどまることなく、世界にも波及している。

そして、ついに、二人のファッションや生活や歴史を写真とインタビューでつづった、

書籍『bonとpon ふたりの暮らし』を出版するまでにもなった。

アカウント名の@bonpon511は、二人の子供の頃からの呼び名bonとponに二人の結婚記念日5月11日の511をつけたもの。

その5月11日には、いいね! は6万2421。コメント数は、1101にも上った。

「おしゃれ」「ほのぼのする」「安心する」「幸せを感じる」「こんな夫婦になりたい」「こんな歳の取り方をしたい」……。

共感、憧れ、中には、どうしたら二人のようになれるのかという相談までも含めて、多くのファンを持つ二人。

どうしてこんなにも人気なのか。一体二人は何者なのか。

どういう考え方、生き方をしてきたのか。

世の中の人たちが、なぜ、この二人の写真を見て、「癒される、可愛い」と思うのか。

この人気の秘密を、当の本人たちに聞いてみることにした。

今のこの現象を本人たちはどう思っているのだろうか――。

インタビューは、二人が上京したタイミングで行った。

一つのインタビューに対して、二人が同時に同じ答えを言ったり、一人がしゃべっていると隣でうんうんと相づちを打ったりと、動作や言葉のシンクロが多い。「ねえ」「ねえ」と顔を見合わせて、まさに二人で1セットという感じの受け答え。言葉の選び方、使い方、言い回し、写真では見えてこない二人のリアルな雰囲気をレポートする。

このページでは、プロインタビュアー 佐藤智子が、あらゆる職業、地域、年齢、性別、国籍を超えて、さまざまな方にインタビューいたします。

エンターテイメント以外にも、トラベル、教育、ビジネス、健康、美容、芸術、カルチャー、ライフスタイル、スピリチュアルなどのジャンルから、インタビューを試みます。 

 取材をさせていただいた方のキャラクターや言い回しをリアルに感じていただくために、あえて、インタビューを会話形式にそのまま再現しています。これは、インタビュアーにとっても勇気のいること。ですが、その場にいるような、臨場感を感じていただければと思っております。

見ているだけで楽しくなるbonpon511のインスタ
見ているだけで楽しくなるbonpon511のインスタ

「自分たちが一番驚いています」

――しかし、すごい人気ですね。58万人のフォロワーですよ。どうですか。

p(妻) ほんとに驚いています。

b(夫) ありがたいですね。

――人生激変ですね。人生何が起こるかわからない、というテーマでお聞きしたいなと思っているんですけれど。

p まさに。

b その通りですね(笑)。

――では、ズバリ、最初にお聞きしますが、お二人はどうしてこんなにも自分たちが人気があると思いますか。

b どうしてでしょうね(笑)。

p それが一番難しい質問ですね(笑)。信じられないです。私は、とにかくもの珍しいんじゃないかなって思うんです。

――それはどういう意味で、ですか。

p まず、60代という、この年代でインスタ(グラム)をやっているというのがあんまりいないと思うんですね。なおかつ、夫婦でやっているというのがほんとに珍しいだろうと思って。それで、夫婦がお揃いコーデしているみたいなのが、他にはなかったから、注目されるようになったのかなと。それしか考えられないので。

――でも、「可愛い」とか、「おしゃれ」だけでなく、「癒される」とか、「憧れる」と言われるのは、またちょっと違いますよね。

p なんだろうなあ。服だけじゃなくて、二人とも白髪でメガネかけていて、そういうお揃い要素があるうえで、洋服もなんかお揃い感があるというのが、見ていて、キャラクターっぽいっていうか。体型もね、モデル体型じゃなくて、一人ひょろっとしていて、一人まんまるくて、そういう対比が面白んじゃないかなと思って。

――それを狙っていたわけではないんですよね。

p はい、狙っていたわけでないです(笑)、全然。私は、痩せたいんですけど、全然痩せないから(笑)。

――インスタしていたら痩せたりしないんですか。人に見られるのを意識して。

p 期待していたんですけど、全然痩せなかったです(笑)。4月に秋田から仙台に引っ越したんですけど、あの忙しい最中でも痩せなかったので(笑)。

――じゃあもう、キャラとして、成立してしまったんですね。

p できれば、痩せて、シュッとしたいんですけど(笑)。

――お二人を見てどう感じるかを、私の周りでリサーチしてみたんですが、二人は、「ほのぼのしている」、「安心感、安定感がある」、「幸せを感じる」、「ちゃんとしている人たちだと思う」とか。まだまだたくさんあるんですけど。そういうふうに言われてどうですか。

p  ものすっごくうれしいですねえ。

b うれしいですね。思ってもいないというか、そこまで考えてなかったんで。そういうふうに言ってもらえるのが、恥ずかしいのと、うれしいのと。たくさん見られているんだなっていうのは実感はあるんですけど、こんなに多くのフォロワー数(58万人)になって、ちゃんと見せるんだったら見せるなりの、という意図が僕たちには全然ないんで(笑)。あらあ、こんなのでいいのかしら。でも、うれしいなあって。

――いつ頃から実感が出ましたか。僕たち、ひょっとして注目をされ始めてるなというのは。

p 数字のフォロワー数自体も、わあすごいなと思うんですけども、やっぱり街を歩いていて、声をかけられるようになったというのが、ああ、顔が知られているんだなと。

――それはいつぐらいですか。

p 仙台に来てからですね。4月以降ですね。

――去年(2016年)の12月4日に始められて、2017年1月8日に1万人を突破されましたよね。1か月ぐらいですけど。その、1万人という数字はどうなんですか。以前からponさんは別のアカウントでインスタされていましたけど。

p  最初の1万人くらいというのは、たぶん、娘のインスタから流れてきたんだと思っていました。娘がその時すでに、3万人くらいフォロワーがいたと思うんですけど。そこで、両親がインスタを始めましたって、発表してくれたので、そこからだと。

――じゃあ、娘さんの影響かなくらいに思っていて、でも、そこから海外メディアに注目され始めて。あれはいつくらいですか。

p  海外メディアは3月くらいですね。台湾とか、シンガポールとかのサイトで。オファーがあったわけではなくて、日本でこういうインスタやっている60代の夫婦がいますと紹介されて。

b  珍しい夫婦がいます、と取り上げられて。

p そこからだと思いますね。

b 全然連絡は来なくて、気がついたら載せられていた(笑)、というのを知って、おおおと思いました(笑)。

p それから日本のメディアからいろいろオファーが来て、そこからだねえ。

b そうだねえ。

――海外メディアに紹介されたら、どれくらいのフォロワー数になったんですか。一番びっくりしたのは。

p 10万くらいですね。バーッていっちゃって。日本のYahoo!ニュースで取り上げていただいたのが、定年する前だから、3月だよね。

――そうなってきた時に、意識はどうなりましたか。最初は、娘さんがきっかけですよね。そうすると、あれっていう。普通だったら、いやらしい気持ちがムクムクしてきて、そんなに見られているんなら、ちょっと服を買い替えようとか思うじゃないですか。

p フォロワー数自体は増えていたけれども、そんなに実感はなかったですね。秋田にいた頃は声をかけられるわけでもないし、ただ、Yahoo!ニュースに載っちゃったから、会社でも言われるようになったんだよね。

b そうそうそうそう。秋田にいた時は、外を歩いていても声もかけられないけれども、知っている人は、「あれ、もしかして、じゃないの」みたいな、なんでと会社でわーっとなって、テレビ局の人とか、知っているデザイナーさんからメール来たりして。

――秋田の広告代理店にお勤めでしたからね。それは、仕事に影響が出ましたか。

b その時点で、定年で会社を辞めるって決まっていましたから。よかったなあと。

――もしかしたら、お仕事柄、仕事にからめて、何か商品を紹介してよ、テレビ出てよ、なんて言われたかもしれないですよね。そう言われていたら、どうしていましたか。

b ねえ、でも、発信してしまったということは、取り返しがつかないというか、まな板の上の鯉状態で、もう、なるようにしかならない。気持ち的には、どうせ、退職するからいいや、ぐらいの。もし、退職が決まっていなくて、あと1年間くらい働くとなると、いやあ、ちょっとまいったな、俺出ないよとか言っていたかもしれないし。

「今までできなかったことをやりたいなと」

――お二人はもともと人前に出たりとか、ちょっとこう、面白いことしたいなっていうタイプなんですか。

bp (二人同時に、左右に大きく何度も首を振る)

――たとえば、よくあるじゃないですか。定年したら、今までサラリーマンだったから、南の島に移住して、とか、農業を始めるとか、第二の人生として、急激に生活を変えて、今までやらなかったことをやってみようっていう計画はなかったんですか。

b 計画はないけれども、気持ち的には、今までできなかったことはやりたいね、とは思っていたので。

――その、今までできなかったことでやりたいこととは、たとえば、どういうことですか。

b たとえば、ゆっくり旅行するだとか。一緒にスポーツするとか。トレッキングするとか。今までは、土日しかできなかったんだけど、ゆっくりできるだろうなあって。その程度で。

――それは、やっぱり、二人で、夫婦で、ってことですか。

bp  そうですね。

p 今まで(bonさんの)仕事が忙しかったから、夫婦でゆっくりできる時間が何にもなかったから、退職したら、何をやるにも二人で一緒に楽しめるものがあったらいいなって。

――二人っきりで何かをするというのは、定年まではなかったんですか。

p 全然なかったです。

――全然。一回も。

p はい。

――家族で出かけることはあったけど、二人っきりではなかった。

p はい。

――じゃあ、定年したら、新婚生活にまた戻るみたいな。

p 新婚みたいな熱さはないけど(笑)、二人で一緒になんでもやろうね、みたいな。

――いいですねえ。ponさんのほうは(bonさんが)定年したらどういうことがやりたかったんですか。

p 私は、旅行に行ったりだとか。

――どういうところに行きたかったですか。

p  どこでもいいね。

b  どこでもいいね。

p 日本じゅう、どこでもいいし。外国も行ってみたいし。

――それは、二人でだったら、どこに行っても幸せってことですか。

bp ああ(照)。

b  いろんなところに行ってみたい、いろんなものを見てみたい。外国もアメリカとかだけじゃなくて、ヨーロッパでもいろんな国に行ってみたいね。

p 行けるものなら行ってみたいっていう夢はあるよね。

b うん。

――その、行ってみたいというのは、若い人が興味を持って、あちこち見聞を広めたいという感じなのか、それとも、ゆっくり二人で、リゾート地でぼーっとしたいとか。刺激なのか、ゆっくりしたいのか。

p 英語ができないから、まず、パック旅行とか、ツアーでもいいから。

b 観光地でもいいので、いろんなところを見てみたい。

p いろんな場所が見てみたい。

b ほんとに、おのぼりさん的でもいいので。どっかのリゾートで1週間のんびりしようねっていう気持ちはない。まあ、なくはないんだけど(笑)。

――二人は、やっぱり好奇心がおありですか。知りたいとか。楽しみたいとか。

b  それはあるかもしれないですね。

――たとえば、仕事が忙しすぎたから、ちょっとゆっくり、ぼーっとしたい、ではなくて、やっぱりいろいろ楽しみたい。

bp はい。

――そこの発想自体が若いですよね。疲れてないですよね。

b まあ、体が若いうちに、動くうちに。

普段から良い姿勢を心がけている二人 撮影/中原 幸
普段から良い姿勢を心がけている二人 撮影/中原 幸

――でも、ponさんは、あまりにbonさんが忙しすぎて、過労死するんではないかと心配されていたっていう話でしたけど。

p そうそう。

b あ、でも、死んでいないので(笑)。

――お二人は、全然病気はされたことがないんですか。

b めったにないですね。大きな病気はないですね。

p そうだね。それはほんとによかったよね。

b ちっちゃいのはあるんだけど、そんなに致命的な病気はないかな。

――なんか、インスタの二人の写真を見てね、みなさん、共通して言われているのが、「清潔感がある」「安定感がある」というのがあるんですけど。それは、やっぱり立ち姿が素敵だと、姿勢がいいと。直立不動で、姿勢が悪かったり、だらしないと、せっかく可愛いリンクコーデしていても、様にならないと。二人は、そのために、筋トレとか、ストレッチとかしているんですか。

b してないんですけど。

p なんか、ポーズはもう全然取れなくて、いつも同じ直立不動の姿勢で撮っているんですけど。姿勢は娘にもうるさく言われていたんだよね。背筋伸ばしてよとか。

b うん。写真撮る時はね。

p  自分自身も普段から姿勢を気をつけようというのはあるから。

――どういう意味で姿勢を気をつけているんですか。

b  姿勢がよくないと、年寄りくさく見えるから。

p そうそう。特に、白髪になってからは、そういうのに気をつけてないと、ほんとに年寄りくさく見えてしまう。背中が丸まっただけで。

b 仕事していると、どうしても背中が曲がっちゃうんで。猫背になってしまうと、明らかにお年寄りですよね。パソコンしてても。

――なるほど。それは意識し始めたのは、何歳くらいからなんですか。

p 私は白髪になってから、52歳すぎくらいからかな。

b そのくらいだね。子供にも言われるしね。

p 背中伸ばして、ってうるさいくらいに私も言っていたね。

b 猫背だよ、ってよく言われていたよね。

――お二人は、昔からスポーツをしているとか。

p 全然。文系ですね。二人とも。全然スポーツはできない。

「食べ物も気にしてないし、運動も特にしていないんです」

――bonさんはすらーっとされてますが、スリーサイズをお聞きしたいという一部の女性たちの声があるんですけど(笑)。

p ほっほっほ(笑)。

b 測ったことがないんですけど(笑)。

――ウエストはどれくらいですか。

b ズボンは今、79センチをはいています。

p ユニクロとかのサイズは、79センチで買っている。

b インチだと、30くらいかな。ジーンズだと、31インチとかかな。

――今回ですね、私の友だちで有名人のスタイリストをやっている子に聞いてみたんですけれど、プロの目から見ても素晴らしいコーディネートだということで、特にスタイルがいいということもひとつあるんですけれども。たとえば、一部で言われているのが、人気の男性アイドルのサイズは、175センチ以下、ウエスト80センチ、足のサイズ26.5センチという黄金比率があるらしいんですけど、どうですか。

b いやあ、172センチ、ウエスト79センチ、足は25.5センチですね(笑)。

――わあ、近いですね。すごい!! 男性は、だいたい35歳過ぎると、いろんなところにたるみが出るらしいんです。あごとか、お腹とか。

b 出てますよ(笑)。

――いやいや。だから、どうやって、体型をキープされているのかと。

b  全然運動もしていないし、鍛えていないし、マッサージもしてないし。

――食べ物はどうですか。

p だって、私は同じものを食べているけど、痩せないから(笑)。

――それは、みんな聞きたいですよ。どうしたら、その体型をキープしていられるのか。

p 私も聞きたい(笑)。ほんとに、うらやましいですよ。

b  どうしてだろう(笑)。

p  どうしてだろう(笑)。運動してないし、鍛えてないし。

――食べ過ぎないように気をつけているとか。

b  いやあ、食べすぎますね(笑)。

p  お菓子も食べているしね(笑)。

――二人は、どういうものを食べているんですか、ふだん。

p えー。

b なんだろうね。

――ジャンクフードとか食べたりされますか。

b ジャンクフードは、、、。

p カップめんとか食べたりするよね、小腹が減ったらね。

b するする。そうそうそう。

――じゃあ、すごくオーガニックにこだわるとか、玄米菜食でとか、いうことではないんですか。

p それほどこだわってはないですね。ご飯は、玄米ですけど。秋田にいた時は、娘と住んでいて、食事に凝る時期があって、その時は、体にいいようなものを作ってとリクエストされていたので、作っていましたけど。

――二人は特に、食事に気をつけるとか、ダイエットするとか、そういうことはしないんですね。

p  食べるものにこだわりがないね。

b 今は、1日2食だしね。会社にいたころは朝食べて、夜中の2時とか、3時に食べたりしてましたね。

――広告業界だと不規則だから、太る人は太るじゃないですか。それをどうして体型をキープしていたんでしょうね。なんか、コツがあったら教えてほしいですね。

b お昼もカップ麺やおにぎりや、夕方もおせんべいつまんだり。全然参考になりませんね(笑)。

――飲みに行ったりはしませんでしたか。

p あ、お酒は飲まないんだ。二人とも。飲めないから。

――なるほど。じゃあ、飲み会で毎晩遅くなるということはなかったんですよね。

p とにかく仕事で忙しくて。

b 飲み会によく行っていたら違ったかもしれませんね。

――忙しくて、食べる時間もなくて、食べる量が絶対量として少なかったのかもしれませんね。

b でも、家に帰ると、心配してくれて、どっさりご飯がテーブルにのっているわけですよ。それで食べちゃうんですよ。

――たとえば、どんなご飯を。

p 普通だよね。家庭料理。夜食用とかではなくて。家族が食べたご飯の一人分を。煮物とか。

b お味噌汁と、ご飯と、あと、野菜とか。

――それをよく噛んで食べてとか。

b 噛まないですね(笑)。テレビ見たり、ぼーっとしながら。

――えー、でも、どこかに秘密があるはずですけどね。ウォーキングとかはしてなかったんですか。

b  毎日、会社まで歩いていました。片道17分。

――それだ!! それですね。17分。毎日決まっていたんですね。ペースが同じだったんですね。

b はい。往復していました。

――じゃあ、毎日30分以上は歩いていた。それは、あえてしていたんですか。

b 最初は車やバイクで行っていたんですが、会社が引っ越して近くなったし、駐車場もないし。どっちみち、夜中帰ると、バスはないし。

――それが何年くらい続いたんですか。

b  ずっとだよね。20年くらいは。

――ああ、完全にそれですね(笑)。毎日続けられていたんですね、20年間。

p たぶん、それだと思う。もし、車で通っていたら、足腰弱っていたと思う。デスクワークだしね。歩くのがよかったのかもしれない。そう、それだね。

b そうだね。

――あとですね、男性フォロワーからの意見で、「すごく地に足がついている」「二人の足元が安定感がある」と。

b  足、広げて立っているからじゃない(笑)。

p  直立不動だから(笑)。

b  まっすぐ足を合わせて立つと、フラフラしちゃうんですよ(笑)。筋肉がないので。

――この謙虚さなんですよね、ほんとに。なんというんですかね、自慢気なところが一つもないじゃないですか。これは、二人の持って生まれたものなんですか。

b  だって、自慢するようなこと、してないですから。健康食も食べてないし。

p 全然。食生活も恥ずかしいくらい。こだわりもないし。なんだろう。

b 甘い物好きだしね。

――甘い物ってどんなものを食べるんですか。

p 必ずおやつボックスに、

――ん? おやつボックス? なんですか、それは(笑)。

p おやつかごに(笑)、おせんべい類と甘い物類が入っていて、テレビを見ながら食べたりとかね。食事の合間に。

「インスタは夫婦の記録として始めただけだから」

――全国の、世界中の人が、インスタを見ているわけじゃないですか。この二人のようになりたいと言われたら、ちょっと節制しようというのはないんですか(笑)。

p  全然ないね(笑)。

――その自然体が素晴らしいですね。

p なんだろう。インスタ自体が、フォロワーを増やそうとか。なんか、そういうのじゃなくて、夫婦の記録として、その時出かけた場所とか、その時着ていた服とか、そういうのを記録しようとして続けているので。

――誰かに見せるとか、媚びるということは一切ないということですね

bp  はい。

b  最初は、ほんとに記録として、自分たちだけで。記録してアップして。こんなことになるのなら、ちょっと待てよと思ったと思うんですけど、気軽な気持ちで始めたんで。

――インスタをやっている人たちは、インスタ映えという言葉があるぐらいだから、おしゃれに撮ったり、たまには盛って撮ったりとか、商品を売りたいから、というのがあるじゃないですか。でも、二人の場合は売るものもないですしね。

bp そうですね。

p ブランド聞かれても答えようがないしね。自分たちで買ってきたユニクロですしね。

――そのスタイルは今後も変わらないんですか。

p  変わらないですね。

初書籍に初サインをしていただきました 撮影/佐藤智子
初書籍に初サインをしていただきました 撮影/佐藤智子
ponさんが遊びでデザインしたというスタンプを押してもらって 撮影/佐藤智子
ponさんが遊びでデザインしたというスタンプを押してもらって 撮影/佐藤智子

――この、「人生激変」っていうテーマなんですが。たとえば、今、10月ですけれども、去年の今頃って、何されていましたか。インスタ始めていない頃。

b えっと、仙台の引っ越し先を決めたので、

p その準備段階だったね。

b そのことで頭がいっぱいでしたね。

p 秋田の家の解体の打ち合わせとか。そういうことで。

――その頃は、インスタもしていないから、でも、リンクコーデはしていたんですか。

p 土日に出かける時は、娘と3人で、色とか柄とか合わせたりして。土日だけだよね。出かける時だけ。

b うん。そうね。

――リンクコーデを始めたきっかけはいつなんですか。

b 実は、そんなにリンクっていう意識はしてなくて。でも、ちょっと、色ぐらい合わせようかって。

p 服の好みが似ているので。好きな柄とか、ボーダーだったり、ギンガムチェックだったり、色もモノトーンとか、赤、青が好きっていう、色の好みも同じなので、合わせやすいっていうかね。特に、ペアのためにこれを買うというのではなくてね。

――それ、絶対、仲良くないとやらないじゃないですか。ケンカしている夫婦がね、靴下揃えようかっていうのはないじゃないですか。それ、いつ、誰が言い出したんですか。

b それは、奥さんですね。靴下ぐらい合わせようって。

p  出かけるんだったら、靴下ぐらいね。面白いよって。 

――それはいつぐらいですか。

p 娘と3人で出かける時に、娘が合わせたがっていたんですね。

――それが何年ぐらい前ですか。

p 就職してからだね。

b そうだね。10年くらい前かな。

――そんな前から!!

b どちらかというと、娘はコスプレに近い。コスプレはしないんだけど。

p そういうのが好きな子だったから。

――娘さんもおしゃれですよね。

b  色を合わせていこうよとか。草間彌生展だったら、水玉で行こうよとか。というのが、うつったっていうか。

p 私は白髪になった52歳くらいから始めたから8年くらい前か。

――そういうリンクコーデをするようになったらどんな変化が起きましたか。

p やっぱりバラバラの服装で出かけるよりも合わせていったほうが楽しいなあって。

b 自分は自分で、特に合わせるっていうよりも自分が持っているものがたまたま同じな感じだから。みんなと合ってよかったねっていうくらいで、そんなにね。

p 主人の場合は、娘がお父さん改造計画みたいにして、高橋幸宏さんみたいになってもらいたくて、帽子をプレゼントしたりだとか、ヒゲ生やしてってシェーバーをプレゼントしたりとか。そういうのが多かった。

――もともとの素材として、かっこいいからそれができるんであって。痩せてよ、というところから始まるわけじゃなくて、スタイルはもともといいし、シュッとされているからなんでしょうけど。やっぱり、娘さんに言われると、やらざるを得なくなりますよね。

p そうそう、妻よりも娘に言われると。

「リンクコーデをすると、変身できる気がしていた」

――男性としては、リンクコーデというのはハードルが高いじゃないですか。そこは、みんな、うらやましいとおっしゃる男性もいるわけですよ。やりたいけど、自分に自信がないとか。同じ服だけど、体型がとか。そういう、リンクコーデへの抵抗感はなかったんですか。

娘さんに言われたからできたんですか。

b でもあるし。平日は仕事で、仕事のことしか考えてなくて。土日は家庭サービスの一環で。帽子かぶれっていうんなら、いいよ、かぶるよ、みたいな。それはそれで、ちょっと変身できるので。普段とは違う格好になるので、それで楽しんじゃおうみたいな。

――なるほどね。じゃあ、コスプレじゃないけど、変身感覚で、気分転換に。そうするとやっぱり、気分変わりましたか。

b そうすると、変わりましたね。帽子かぶれと言われて、帽子なんてと思っていたけど、帽子ひとつで、着るものも合わせなきゃいけないじゃないですか。

――あ、そうか、小物から入ったんですね。それも、プレゼントされるとかぶらないわけにはいかない。

b 帽子かぶると、ジーパンじゃダメだろうなってなりますよね。ジーンズでも黒がいいかなとか。

――じゃあ、もし、お父さんにおしゃれにしてもらいたかったら、おしゃれな小物をプレゼントして、無理やりそこから始めてみるとか。おしゃれにして、と言葉で言われてもどうしていいかわかりませんものね。

b でも、たぶん、お父さんは、帽子もらっても合わせるものがないよとかなるんですよ。でも、子供が、お父さんこれ持っているんならこれ着たらと言われたら。

――ああ、そこで、アドバイスを入れるといいんですね。

b そうすると、お父さんは全然わからないので、娘がいいって言うんだったらいいんだろうなみたいな。

――そうやっていくと、実際、娘さんはどういうほめ方をしてくれたんですか。

p  お友だちから、「お父さん、かっこいいね」と言われたとか。

――それ、うれしいですね。魔法の言葉ですよね。

p  ダンディだね、ってよく言われていたもんね。

――どうなんですか。そう言われたらねえ。

b  うれしいですよね。うれしいんだけれども、自分は言われたままのことをやっている、自分の感覚に合った服を着ているから、気張っているわけではないんだけど、娘がそう言われてうれしいんだったら。逆に、お父さん恥ずかしいからやめてよと言われるとすぐやめちゃいます(笑)。

p そうだよね(笑)。

――そうですね、娘さんにとって自慢のお父さんというのは、娘にとってもいいことだから、娘のために頑張ろうってなるってことですよね。

b なりますよね。

「将来こんな歳の取り方をしたいと言われるのがうれしい」

――じゃあ、その相乗効果で、またかっこよくなる、かっこいいからほめられる。そのうち、インスタで知らない人からもほめられる。ほめてもらえる感覚ってどうですか。素敵ですね。って、毎日コメントされるわけじゃないですか。

p  すんごい照れくさいの。

――でも、悪い気はしないですよね。

p  悪い気なんてしないけど、すっごく照れくさいよね。

b そうだね。

――どういう言葉がうれしいですか。いろいろ言われているとは思うんですけど。ほめ言葉として。

p インスタを、やっている世代というのが、同年代というよりも若い世代のほうが多いので。

――どれくらいの世代ですか。

p お子さんが小さいような30代。

――娘さん世代からちょっと上くらい。

p 今、子育てで忙しいという方々から、今は忙しいけれど、将来夫婦二人になった時にこういうふうになりたいとか。こういう歳の取り方をしたいとか。そう言ってもらえるとすっごくうれしいですね。

――なるほどね。目指す先の人生として。絶対に影響を与えていますね。今回、私の周りのフォロワーになっている方に取材をさせてもらったのですが、実在する夫婦なのか、作り物ではないのかというくらいに、こういう歳を重ねても仲がいい夫婦がいたらいいなという憧れを持っていたら、本当に実在する夫婦がいた、という驚きがあるそうなんです。そういうふうにみなさんに言われることに関しても、本人たちは、あまり意識していないんですか。こうしよう、なんてことはない。

bp はい。

仲良くインタビューに答えるbonpon夫婦 撮影/中原 幸
仲良くインタビューに答えるbonpon夫婦 撮影/中原 幸

――インスタをする前と後っていう話をすると、インスタをしている今というのは、どういう生活サイクルなんですか。インスタはだいたい何日に1回くらいの頻度でアップされているんですか。

p  雨が続くと、なかなか外に写真を撮りにいけないし。まず、天気ですね。何日に1回だろう。決まってないけど。

b  一週間に一回ぐらいは上げたいなあと思っていますね。雨が続いちゃうとね。

p たまたま出かけるのが続くと、写真もコンスタントに上げられるんだけれども。天気悪くて出かけないと、間があいたりしてるから。

――では、ほんとに二人の記録として、デートというか、二人で外に出かけた時の記念写真みたいイメージなんですか。

bp そうですね。

――今まで一番日にちがあいたのは、何日くらいですか。やっぱり引っ越しの時ですか。

p 1か月ぐらいはあいたんじゃないかな。

――1か月投稿がないと心配の声とかありましたか。寂しいみたいな。でも、お断りされてましたよね。

p そうですね。「しばらくお待ちくださいね」みたいな感じで。

――それが4月ですよね。Yahoo!ニュースで取り上げられて、ばーっとフォロワー数が増えて、注目されたけれども、更新が途切れたわけですね。それで焦らされたというのもありますね(笑)。

p そうですよね。それ、どうしようもなかったから(笑)。

――今は、どこかに出かけます、となって、どういうふうにリンクコーデを決めているんですか。

p 洋服は、私が、今日これ着ていくよって出してくると。

b その前に行く場所を前の日とかに決めて。こういうイベントがあるよ、行ってみよう。紅葉、どこ行けるかなあとか。

p それで、私は、イベントだったらこれ、紅葉だったらこれとか。

――つまり、行く場所やイベントによって、コーディネートを決めているわけなんですね。

bp  はい。

「ハロウィンカラーは全く着ない色だけど、なにかやってみようかな」

――では、たとえば、31日がハロウィンですけれども、クリスマスとか、結婚記念日とかあるじゃないですか。ハロウィン的なことでいったら、お二人はこういうのをしたいというのはありますか。

p 特に行事によって服装を凝るというのはないんですけども。たとえば、クリスマスだったら教会に行って写真を撮ろうとか。そういう感じはあるけれども。ねえ、なんだろう。

b どうしましょうか。ハロウィンで何かやるというのは初めてなんで。

p なんか、やってみますか。

――二人がどんなコーデをするのか。興味深いですね。だって、黄色はあんまりというか、着られませんよね。

bp  黄色、オレンジ、紫は着ないですから。

p  ハロウィンカラーは、全く着ない色なので。

――それは、着ないようにしているんですか。あんまり好きではない。

p 好きじゃない。色的に。まあ、似合わないと思っているのもあるんですけれども。

――そんな二人のハロウィンはどうなるのかというのは楽しみですね。31日にインスタで見られますか。

bp はい。

二人のインスタグラム「bonpon511」は、こちら

その2につづく。

プロインタビュアー、元女性誌編集者

著書『人見知りさんですけど こんなに話せます!』(最新刊)、『1万人インタビューで学んだ「聞き上手」さんの習慣』『みんなひとみしり 聞きかたひとつで願いはかなう』。雑誌編集者として20年以上のキャリア。大学時代から編プロ勤務。卒業後、出版社の女性誌編集部に在籍。一万人を超すインタビュー実績あり。人物、仕事、教育、恋愛、旅、芸能、健康、美容、生活、芸術、スピリチュアルの分野を取材。『暮しの手帖』などで連載。各種セミナー開催。小中高校でも授業を担当。可能性を見出すインタビュー他、個人セッションも行なう。

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