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今年度最初の日銀の決定会合の動向と日銀による国債買入の行方

久保田博幸金融アナリスト
(写真:角倉武/アフロ)

 4月26、27日に今年度最初の日銀金融政策決定会合が開催される。黒田総裁が再任され、副総裁は雨宮氏と若田部氏に変わって最初の決定会合となる。今回は展望レポートも公表されるが、大きな修正はないとみられ、金融政策そのものも現状維持が予想される。

 個人的に注目しているのが、若田部副総裁の動向である。前任の岩田前副総裁と同様に執行部として総裁と副総裁が一丸となって現在の政策を進めるのか、それとも持論を貫いて何かしらの反対票を投じるのか。いまのところは副総裁という立場からも議長案に反対票を投じることは考えづらいか。もし片岡審議委員と同様に若田部氏が反対票を投じるとサプライズとなる。

 債券市場関係者が注目しているのは、今後の国債買入額の修正かと思われる。こちらは決定会合で決めるものではないが、27日は月末ということで当日の夕方に「当面の長期国債等の買入れの運営について」が発表される。今年度の国債発行額はカレンダーベースで20年債を除き、2年、5年、10年、30年、40年の発行額が減額されている。これまでも日銀は国債買入の減額を行っていたものの、たとえば5年超10年以下などは増額されたままとなっている。

 ただし、別な要因もあって日銀は金額の調整がしづらい面もある。5月1日から国債の決済期間が「T+1」に短縮される。国債は売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことになる。これに向けて時間もかけて、しっかり準備はされていると思われるが、実際に始まってみないとわからない面もある。このため、国債の最大保有者でもある日銀にとってもかなり慎重に対処せざるを得ない面もあろう。国債の決済期間がT+1に移行してもスムーズに対応が可能となることを見定める必要があるかもしれない。

 ちなみに日銀は5月1日の国債の決済期間短縮化(T+1化)後、新たな市場慣行のもとでの取引が定着するまでの間、レポ市場の国債需給がタイト化する可能性があることで、レポ市場の国債需給のタイト化に備えた一時的な措置として、5月1日から11日までの間に実施する国債補完供給について、1日3回の入札の実施を可能とする扱いとするとしている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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