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蓮舫・前原・玉木3候補が出揃った。民進党は2020の政権政党創造を目指せ!

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

全く盛り上がらないまま民進党代表選挙

世間の注目を受けることなく民進党代表選挙が始まる。

先月、『蓮舫代表になっても無投票で「社会党末期の道」ならむしろ「小池新党」に期待が集まる』(http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/archives/52065919.html)といったコラムを書いて非常に多くの方にお読みいただいたと共に、民進党国会議員たちからも「いいコラムを書いてくれた」と、何人もからご連絡をもらった。

反響も大きかったこのコラム、誤解のないようにあらためて言っておくが、「蓮舫氏が嫌い」ということを言っているわけではない。

民進党代表選の話題になると、「民主党には散々裏切られたし、期待なんてしていない」という人たちがいるが、政権政党の選択肢がないということは、有権者にとって、常に政権は「自民党が決めた人」に任せるしかないということになる。

そこが問題なのだ。

民進党を政権が担える政党にすることは、むしろ民進党支持者のためではなく、政権政党を自ら選びたいと思う国民、有権者にとって重要な問題だと言えるのだ。

こうしたことを考えた時に、今回の代表選において、民進党はどの層をターゲートに政党のあり方を解いていく必要があるのだろうか?

民進党代表選において考えられる対象は幾つかある。

1つは、「民進党の支持基盤」を対象にするという考え方だ。

これについては賛否両論あるだろうが、そうは言っても民進党にとって最も大きな支持基盤が労働組合組織である「連合」である。

さらにこれに「党員・サポーター」などを加えて対象とするという考え方もあるだろう。

しかし、いうまでもなく、こうした層のみを対象にしたところで、民進党への支持の広がりは限界がある。

そこで2つ目の対象として考えられるのが、先の参議院選挙も含めた選挙時の限定的な支持、選択肢が他にないというアンチ自民票といった消極的な選択も含めた、「民進党支持層」だ。

どうも民進党のこの間の代表選を取り巻く報道を見ていると、ターゲットととして捉えているのは、多く見積もってもこの層までと考えているように感じてならない。

政権を失った以降の民主党から民進党まで、外の立場から見ていると、どうもこうした内側への働きかけや、現状維持といった後ろ向きの対応が多いように思う。

言うまでもないが、こうした戦略はジリ貧であると同時に、自らの可能性を潰している。

一方で「政権選択政党に」と言いながら、なぜこうした対応をとらざるを得ないのだろうか。

現職の国会議員が方針を決めることによる「自分の再選ありき」の弊害

最も大きな要因としてあるのが、現職の国会議員たちにとってその思考の中で、「自分の再選」ということが大きなウェートを持つということだ。

都知事選の一連の流れの中や、今回の代表選挙のプロセスの中でも、報道ベースでしかないが、長島昭久議員の離党などが噂される。

維新の党との合併の際にも、民主党全体としての合併ではなく、「民主党から中堅若手だけ飛び出して新党」などという期待などもあった。

しかし実際にはなかなか離党ということにまで結びつかない背景には、大きく2つのことがあると考える。

1つは「お金」、もう一つは「自分の再選」である。

民主党結党の際には鳩山氏と連合から結党時に25億円の費用が掛かり、 うち15億円を鳩山家から、残りの10億円を連合が出したと言われる。

みんなの党結党の際にはそのお金を外から借りたことによって政治と金の問題となった。

こうしたことから考えても新党を作るというのはそれほど簡単ではないことが分かる。

もう一つが「自らの再選」を第一に考えた際には、党を割れば、選挙の際に自民党だけではなく、自ら戦う相手を増やすことになることで、より厳しい選挙にしてしまうことになるからだ。

象徴的な話として、元民主党議員たち頭の中にあるのが「政権下野時のあの選挙に残ったのだからどんな選挙でも勝てる」という思考である。

小選挙区比例代表並立制による「比例復活」や参議院の全国比例も含めた複数議席選挙区による弊害とも言えるが、つまり「余計なこと」さえしないで、同じ構造のままで居られれば、少なくとも「自分たちは再選できる」という考え方だ。

もちろん民進党の議員のほとんどがこうした考え方であるとまでは思わないが、「自分の再選」だけを考えれば、「現状からあまり構造を変えたくない」という思考が働いている可能性はある。

輪をかけて問題なのは、こうした方針をその当事者である国会議員たちが中心に考えているという構造にもある。

こうした思考については早急に転換していく必要がある。

歴代代表最高支持率は鳩山、次いで菅

図表: 歴代民主党・民進党代表とその支持率

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これからの政党を考えるにあたっては、過去についても冷静に評価をする必要がある。

今後の民進党代表候補を考えるにあたり、これまでの民主党代表についてもデータに基づきもう一度再確認しておきたい。

1998年の民主党結党以来、11代代表まで支持率をまとめてみた。

歴代民主党の中で、最も高かったのは鳩山由紀夫総理時代の政権交代直後の2009年39.7 %、民主党が嫌いな人からすると信じられないかもしれないが、意外にも次に高いのが震災後の2010年の菅直人総理の36.2%となっている。

図表: 民主党・民進党代表経験者ごとの支持率

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民進党は、1998年の結党から2016年の民進党になるまで、代表を務めたのはわずか7人しかいない。

その任期は長い方から鳩山由紀夫氏、菅直人氏、小沢一郎氏、岡田克也氏と並ぶ。

結党当時の支持率が低かった影響もあるが、代表在籍時の平均支持率を見ると、最も高かったのは小沢氏の19.2%であり、次いで野田佳彦氏の17.5%、前原誠司氏の14.6%とどちらかと言えば民主党の中で保守派と言われるような議員が続く。

これは最低支持率を見るとさらに明らかである。最も高いのが野田氏の12.7%、前原氏の12.6%、小沢氏の12.0%と続く。時期的な問題はあるにせよ、菅氏の最低支持率は3.0%、鳩山氏に至っては2.9%まで下がる。

図表: 各代表就任後の支持率の推移

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こうした状況は、各代表が就任した後の毎月の支持率の推移を見ても出てくる。

政権担当時の菅直人氏、鳩山由紀夫氏は、非常に高い期待の元に就任しているのだが、1年持たずにその支持率は急落している。

これに対し、就任時よりむしろ支持率を高め、高い水準で維持し続けたのが小沢一郎氏だった。

図表: 主要政党の支持率の推移

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支持率の推移を見ても、民主党の支持率が10%を超えているのは、2004年から2012年までだが、いみじくも民由合併が行われ、小沢一郎氏が民主党に加わったのが2003年であり、小沢一郎氏と共に52人が民主党から離党したのが2012年7月とピタリと重なる。

こうして考えると、民主党への政権交代は、必ずしも「左派政党への政権交代」だったわけではなく、「現実的センター政党への政権交代」という力学もあったように思われる。

あらためてこうして各党の支持率の推移を見ると、もう一つ感じるのが、2013年以降の自民党の圧倒的な支持率の高さだ。

実は民主党のできた1998年以降でそれまで自民党の支持率が35%を超えたのは2回しかない。

2005年の35.3%と、2006年の38.6%、郵政民営化を問う小泉劇場真っ只中の時だけだ。

2013年以降の安倍政権は、40.2%、38.2%、36.9%、37.6%と極めて高い状態で推移している。

一方で民進党は、維新の党との合併のほか党名まで変更して挑んだが、実際には民主党の最後と支持率は変わっていない。

2003年時の民由合併の際は、支持率8.9%の民主党と、支持率1.4%の自由党が合併し、1年後には約2倍の16.5%にまで増えている。いみじくも2016年の民主党最後の支持率は同じ8.9%だった。維新の党の支持率は分裂後0.4%になってしまっていたが、合併後の支持率が合併前の支持率と変わらないというのは、あまりにも残念な結果だった。

こうした点から考えても、重要なのは必ずしも党名や合併だけではないことが分かる。これは代表の顔を変えるだけでも同じことだ。

現におおさか維新の支持率は橋下元代表から松井代表に変わってからも支持率は1.6%を維持しており、大阪府に限定すれば、参院選の得票数は129万票を獲得し、自民党の82万票に大きく差をつけた。ちなみに次に得票が多かったのが61万票の公明党、42万票の共産党と続き、民進党はわずか34万票しか獲得できなかった。

こうした点は、先日のコラム『蓮舫代表になっても無投票で「社会党末期の道」ならむしろ「小池新党」に期待が集まる』(http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/archives/52065919.html)でも書いたが、「改革政党」であるかどうかが問われているということを象徴した結果とも言えるのではないだろうか。

「2020年の政権政党を創る」といった発想での党の創造を

将来の民進党を考えるにおいては、早急に「野党第1棟の党首選」という発想は止めた方がいい。

例えば、「2020年の政権政党を創る」といった期限を設定した上で、そのタイミングでの政権政党を創造してくという発想の転換が必要なのではないだろうか。

ターゲットについて言えば、めざすべき政権政党においては、少なくとも国民の過半数から支持される政党でなければならない。

その際の対象と考えた場合に、どの層に理解される政党でなければならないかを考えるべきである。

少なくとも「自分たちの再選」を目的にした近視眼的な判断はしないでもらいたい。

「代表の顔を変えればいい」、「少しでも票につながる」という場当たり的な対応ではなく、是非、中長期的なビジョンを持った政党になってもらいたいものだと思う。

個人的には、2020年までには日本の財政は破綻する可能性が極めて高いと思っている。

少なくともアベノミクスのメッキは剥がれる可能性が高く、財政破綻の回避については財務省すら諦めている感が強い。

こうした中では、まず第一には財政問題であり、現代政治において経済を抜いた政策議論はありえない。

世界経済の流れも鑑みた中で、日本の経済をどう立て直すのかという具体策が求められる。

財政再建ということについて言えば、税と社会保障の一体改革に対する猶予は、この段階で全くなくなる。

国民の安全という視点で言えば、これに現実的な安全保障のあり方が加わるのだろうが、例えば4、5年というスパンで見ても、今後の政治の課題は見えて来るものも多い。

こうした想定の中での、自民党に対する国民の過半数の支持が得られる「政権選択政党」のあるべき姿が示せるかが問われているのではないだろうか。

4年と言うと、ありそうでその期間は短い。

政界の世代交代も含めて、この民進党代表選挙で、将来の片鱗が見られればと一筋の期待をしたい。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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