東京五輪の閉会式 2時間以上の放送中、中国人が注目した場面は、たった8分間だけだった?
8月8日夜、17日間に渡って繰り広げられた東京五輪が終わり、閉会式が行われた。
開会式のときと同様、中国人はどのように見ていたか、中国のSNSやニュースサイトなどをチェックしてみたが、開会式のときと比べて、大きな反応や反響はなかった。
開会式のときは視聴していた人がかなり多く、SNSに写真や動画などを貼りつけて投稿し、盛り上がっていた人が多いという印象だったが、今回は、視聴していた人自体あまり多くなく、関心も薄かったようだ。
中国人が見た東京五輪開会式 入場行進のメロディーに歓喜!でも中国メディアの報道は……
しかし、唯一、注目され、盛り上がった場面があった。それは、次回、2024年に五輪が開催されるパリの紹介映像が流れたときだ。
パリの8分間の映像に興奮
中国の検索サイトやSNSのランキングでも、上位に位置していたのが「巴黎8分間」(パリの8分間)というキーワードだ。
五輪の旗が小池百合子・東京都知事からバッハIOC会長へ、そして、バッハ会長からイダルゴ・パリ市長へと手渡されたあと、画面がパリの映像に切り替わり、パリの景色が映し出されると、中国のSNSに書き込みをする人が一気に急増した。
「わ~、とてもロマンチックだ~」
「さすがはパリ! ヨーロッパの街並みは美しい!」
「次回の五輪開催の頃にはコロナが収束していますように!」
「パリらしい芸術的な映像だ~」
凱旋門やコンコルド広場、エッフェル塔などの観光名所のほか、フランスの航空部隊が3色のトリコロールのスモークを空に描くと、興奮度はさらに増し、多数の人がパリの映像をSNSに投稿。気持ちは早くも東京五輪から離れているようだった。
残念ながらというべきか、やはり、というべきか、東京五輪の閉会式の中のパフォーマンスで、彼らの印象に残ったものは少なかったようだ。
だが、日本人と同様、橋本聖子・大会組織委員会会長がスピーチしている間、演台のオリンピックシンボルに蛾が止まっているハプニングに気づいた人がいて、蛾にマル印をつけた画像をSNSに投稿している人はいた。
パリの映像が終わったあと、次に彼らのコメントで増え始めたのが、2022年2月に北京で行われる冬季五輪に期待する声だった。
心はすでに北京冬季五輪へ?
「開始期待北京冬奥会了!」(北京の冬季五輪に期待!)
閉会式はまだ延々と続いていたが、中国のSNSではこのようなコメントが増えていき、心はもうすっかりパリへ、そして、パリから北京五輪へと移っているようだった。
同時に、中国のSNSでは、北京冬季五輪の会場となる場所の映像や写真を載せる人が目についた。
北京の冬季五輪は、北京市と、北京市に隣接する河北省・張家口市で開催される。
開会式の会場となるのは2008年に北京五輪が開催されたときと同じく、9万人以上を収容できる北京市内の国家体育場(通称・鳥の巣)だが、メインとなるのは、北京市郊外にある延慶区と張家口市だ。
北京市からの高速道路や高速鉄道などもすでに整備され、これらの場所にジャンプ会場やボブスレー会場、アルペンスキー会場、スケート場などが新設されている。それらの写真を掲載し、期待を表していた。
コロナ禍などの影響もあり、北京冬季五輪は無観客となるのかどうか、まだわからないが、中国政府が威信をかけて準備に取り組んでいることは間違いない。人々の関心も、早くも6ヵ月先の五輪へと動き出しているようだった。
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