日米欧の長期金利が歴史的な上昇トレンド入りに
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9月25日に米10年債利回り(長期金利)は一時、4.54%と2007年10月以来、約16年ぶりの水準まで上昇した。25日にはドイツの10年債利回りも一時、2011年7月以来の水準に上昇していた。21日には日本の10年債利回りも0.745%と2013年9月以来10年ぶりの高水準を付けていた。
これらの動きは、久しぶりに高い水準に戻してきたというイメージとなるかと思う。しかし、1970年あたりからの米国、ドイツ、日本の長期金利の動きをみると、過去にあまり経験のないものとなっている。
米国の長期金利は1970年代から1981年にかけて上昇トレンドを形成していた。これはボルカー元FRB議長によるインフレ退治によるものであった。しかし、1981年以降については2020年まで米長期金利は長期にわたるダウントレンドを形成していた。
ドイツの長期金利も1981年あたりからダウントレンドを形成している。それ以前は明確な上昇トレンドといったものではなかった。
日本の長期金利については、1990年に8%台を付けたあとにダウントレンドを形成していた。つまりバブル崩壊によって長期金利は欧米に遅れて下落トレンド入りした。
米長期金利でみると、2006年半ばにサブプライム問題が発生した。これをきっかけに2007年8月にパリバ・ショックが起き、2008年9月にはリーマン・ショックが起き、世界的な金融経済危機が発生した。
米国の長期金利は低下傾向となり、2020年3月に0.5%を割り込んだ。ここが底となって米長期金利は今度は上昇基調となってきた。2021年1月に1%を超え、2022年2月に2%を超えてきた。5月には3%を上回って、10月に4%台に上昇してきた。
この動きは米国特有のものではなく、ドイツもそして日本も同様のものとなっていたのである。米国ではボールカーショックによる長期金利の上昇、日本ではバブルによる長期金利の上昇以来の長期金利の上昇となっていた。
これを見る限り、日銀は自ら長期金利の上限を引き上げたというよりも、長期金利の上昇圧力によって必然的に引き上げざるを得なかったといえる。
いままさに欧米では1980年以降、日本では1990年以降ほとんどなかったような長期金利の上昇トレンドが形成されつつある。短期的な上昇トレンドが形成されたことは幾度かあったが、チャートを見る限り久しぶりの本格的な上昇トレンドが形成されている。
これは日米欧の物価や金利を取り巻く環境が数十年ぶりに変化してきた現れともいえる。これに対して欧米の中央銀行はボルカー元FRB議長のごとく積極的なインフレ退治を行った。しかし、それに対し異次元の緩和を続けている日銀はいったい何をしているのか。まさか世界的な物価上昇圧力を一手に引き受けるつもりなのであろうか。