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2023年の金融市場を振り返る、1~3月

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 2023年に入り、年初から円高進行で3日にドル円は一時130円割れとなっていた。

 2022年12月20日に日銀は長期金利(10年債利回り)の変動幅を±0.25%程度から±0.50%程度に引き上げた。そして、1月5日に入札される10年国債(369回)の利率が0.5%と前回12月に入札された368回の0.2%から引き上げられた。

 日銀は1月12日、国債買い入れオペ(公開市場操作)で4兆6144億円買い入れた。1日の買い入れ金額としては過去最大となった。1月13日に10年債利回りが一時0.545%と0.5%を超えて上昇した。日銀は12日から13日にかけて10兆円近くの国債を買い入れた。

 1月18日の金融政策決定会合では、全員一致で現在の金融政策の維持を決めた。23日には貸付期間を5年とする共通担保資金供給オペレーションを実施。

 10年債の4銘柄で発行額に対する日銀の保有残高が帳簿上の計算で100%を上回った。日銀による1月の国債購入額が23兆6902億円にのぼった。

 2月1日のFOMCでは予想通り0.25%の利上げを決定、利上げ幅は前回の0.5%から縮小させた。

 2日に開催されたECB政策理事会では政策金利を0.5%引き上げ3%にした。利上げは5会合連続となる。

 イングランド銀行も2日の金融政策委員会(MPC)で0.5%の利上げを決定し、4%とした。

 政府は日銀の黒田東彦総裁(78)の後任に経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏(71)を起用する人事を固めた。副総裁には内田真一理事、氷見野良三前金融庁長官を起用する。

 3月1日にドイツの長期金利は11年ぶりの水準に上昇し、米長期金利も一時4%を突破。

 3日に10年国債369回債の利回りは一時0.505%を付け、0.5%を再び上回った。

 10日の日銀の金融政策決定会合では、金融政策の現状維持を決定。

 10日の日本相互証券にて、日銀の10年カレントの指値オペの対象となっている368回債の利回りが、マイナス0.020%に低下した。

 米銀SVBが経営破綻、リーマン・ショック後で最大規模。シグネチャー・バンクも経営破綻。

 16日のECB理事会では前回と同様に0.50%の利上げを決定。

 クレディ・スイスは、同社が発行した劣後債の一種である「AT1債」について、約160億スイスフランの価値をゼロにすると発表。

 3月20日から日銀の副総裁が交代し、元日銀理事の内田氏と元金融庁長官の氷見野氏が就任。

 22日のFOMCでは、0.25%の利上げを決めた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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