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自動音声ガイダンス「未納料金」「番号を押して」の電話は詐欺。すぐに電話を切って!進化型詐欺の理由とは

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:イメージマート)

「料金未納があります」「料金の確認をする方は、1番を押して下さい」

こうした自動音声ガイダンスを流してだまそうとする電話が、多くの家にかかってきています。

これは詐欺につながる電話ですので、すぐに電話を切ってください!

「番号を押して」詐欺の手口

この詐欺自体は、数年以上前からありますが、この手口の巧妙さは、もしこれが人の声だと警戒しますが、機械的な声だと電話を受けた人の警戒心が緩んでしまい、つい聞き耳をもってしまうところです。その結果、相手の指示に従って受話器のボタンを押すように誘導されて、だまされることになります。

相手に聞き耳を持たせるために、もう一つの罠が仕掛けられています。

それが大手企業「NTTファイナンス」の名をかたっている点です。

名の知れた大手企業の名前を出されると、誰しもが利用した経験があるので、つい相手の話を聞いてしまいます。

数万円の支払いだけのつもりが、1億円になるケースも

これまでこの手口では、多くの人に「料金の未納がある」というショートメッセージを送り付けるのが一般的でした。その内容を聞こうと、そこに載る番号に電話をかけた人をだまします。

最初のお金の払わせ方としては、まずコンビニなどに行かせて、未納料金分として数万円のプリペイドカードを買って支払うように指示します。

電話を受けた人は数万円なので「その位なら」と思い払ってしまいがちですが、これがダメなのです。

これは架空請求ですので、一度払えば、次々に電話がかかってきて、お金を際限なく請求されます。その結果、過去には1億円を超えた方もいます。

気をつけたいのは、高額な被害に遭っているのは50代、60代の方で、必ずしも70代以降の高齢者ではない点です。誰もが、ひっかかってしまう手口といえます。

ショートメッセージから、自動音声ガイダンスに手口を変えてきた理由

これまではスマホや携帯電話にショートメッセージを送り付け、相手からの電話がかかってきたら、詐欺グループのメンバーが対応をする形が一般的でした。このスタイル自体は変わりませんが、そこに自動音声ガイダンスというアプローチも取り入れてバージョンアップをしてきたとみてよいでしょう。

ショートメッセージはスマホや携帯電話にしか送れませんが、自動音声にすることで、固定電話を持つ人もだませることになり、より進化してきたといえます。

カンボジアで逮捕の19人のメンバーもこの手口を使っていたのか?

今回、カンボジアを拠点にしていた19人の詐欺グループのメンバーが現地で拘束され、警視庁が今月6日に詐欺容疑での逮捕状を取ったという報道がなされました。

まさに彼らが行っていたのは、先の「NTTファイナンス」を騙ってショートメッセージを送り付けてだます手口です。長年、海外でこの詐欺行為をしていたとすれば、相当な金額をだまし取っていたと思われます。

果たして、彼らのグループも自動音声ガイダンスの電話を使っていたのか、それともショートメッセージだけで詐欺をしていたのかなど、捜査の進展により、その辺りの解明がなされると思います。

ただし昨年末より、この種の自動音声ガイダンス詐欺の電話は多くかかってきていますので、すでに多くの詐欺グループ内でだまし方のマニュアルが共有されていると思われるため、より注意が必要です

「未納料金がある」「番号を押して」と言ってくる電話は、この後にもすぐやってくるかもしれない詐欺です。かかってきたら、すぐに切ってください。

もし間違って番号を押してしまっても、相手のオペレーターとは「対応しない」。この心掛けが、被害に遭わないために大事になります。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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