未婚男女の敵、結婚のハードルの内情をさぐる
結婚を望む独身者は多い。しかし食事や睡眠のように「したければすぐにできる」類のものではない。相手が存在する必要があるのはもちろん、他にもこえねばならないハードルは多々存在する。今回は「未婚男女が頭を抱える、一年以内の結婚のハードル」について、国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第15回出生動向基本調査」を基に、その心境の現状、さらには過去からの変化を確認していく。
今調査の限りでは直近2015年において、年齢によって多少の差異はあるものの、8割から9割の独身者が(タイミング・意思の強さの度合いはともあれ)結婚をしたいと考えている。それでは結婚意志のある未婚者にとって、「結婚をしたいと決めた相手が居て、一年以内に結婚したいと思っている」と仮定した場合(実際に居る・居ないは別として)、何らかのハードルとして認識されているものはあるのだろうか。ハードルを認識している人は男女ともに約7割に達しており、昔から今にかけて大よそ変化は無い。他方、男性よりも女性の方が(数%ポイントながらも)「ハードルがある」との認識率が高いのは興味深い。
その差異の事由が分かるのが次のグラフ。男女それぞれにハードルとなりうる要素を挙げ、事由のうち上位二つを挙げてもらった結果をグラフ化したものだが、経済的な問題となる「結婚のための住居」でやや大きな、「結婚資金」で多少、男性の方が高い値を示しているが、それ以外は大よそ女性を上回る値を計上している(年齢上の問題は男性が上だが、差は0.2%ポイントでしかない)。
もっとも男女とも、結婚の最大のハードルが「結婚資金」であることに違いは無い。4割強の回答率を示しており、他の項目からずば抜けて高いことも合わせ、最重要課題であるのが分かる。また男性では第2位の「結婚のための住居」も半ば以上は経済的な問題で、「結婚を邪魔する最大要因はお金の問題」との現状が再認識できる。
女性の場合は「親の承認」「職業・仕事上の問題」「親との同居や扶養」の項目で男性より有意に値が高く、周辺との付き合い・しがらみが結婚への道のりの上で邪魔となる強い要因のようだ。
今件に関して過去の調査結果をまとめ、その推移を見たのが次のグラフ。
男女ともに「結婚資金」「結婚のための住居」「職業・仕事上の問題」が漸増し、「親の承認」「年齢上」「親との同居や扶養」が減退している。結婚時における親への隷属意識が少しずつ低下する一方で、自らの金銭問題がより高いハードルとなり立ちはだかっていると読み取ればよいだろう。
もっとも今件の設問の前提である、「結婚をしたいと決めた相手」を見出すまでが大きな問題、最大のハードルであることにも違いないのだが。
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