ビデオリポート コロナ禍 聞こえない実習生の悲鳴
3度目の緊急事態宣言が延長されようとするなか、新型コロナ関連の経営破たんは4か月連続で100件を超し、累計1500件以上となった(東京商工リサーチ)。厚労省によると、去年1年間に雇い止めや解雇に遭った人も8万人を超えた。
日本の人手不足を補っていた外国人技能実習生は、コロナで少し減ったとはいえ、38万人ほどが全国各地に。実習先が用意した辞表にサインを求められたり、「失踪」を仕向けるように、給与や残業代が払われなかったり、暴言暴力をふるわれたというSNSの書き込みを何度も目にした。
実習生が解雇された場合、日本側の監理組合(団体)が一時保護し、次の実習先を斡旋することになっている。だが、組合そのものが機能しなくなっていたり、実習生が組合に連絡せず逃げ出して「失踪」とされるケースも後を絶たない。社会保険や厚生年金の掛け金を天引きしていて、加入させていないことが判明しても、組合は命令や強制はできない。給料不払いや暴力に遭った実習生が組合に相談しても、実習先の企業側に立つ組合も少なくない。
労働力を安易に調達すべく、名ばかりとなった外国人技能実習制度。実習生は母国側の送り出し、日本側の受け入れ機関というプラットフォームに乗って来日する。彼らのほとんどは、高い教育を受けられず、良い仕事に就けなかった若者たち。日本が人生初の外国であり、日本語も片言。そして、来日費用として数十万から百万円を超す借金を抱えている。
これまで看過されてきたこの制度の問題点を、コロナ禍があぶり出している。職場や寮の集団生活で新型コロナウィルスに感染するリスクは日々あり、数千人はいる「失踪」者はワクチン接種から漏れる。実習先にも、監理組合にも見放され、社会補償も公的支援も受けられない人が少なくない。それでも、借金が残っていたり、航空券と隔離費用が高騰していたりし、帰国もできない。こうした実習生と彼らを手弁当で支援する日本人青年を広島県に取材した。