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首位の鯉に挑む虎 1軍とファームで明暗

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

5月になりました。鯉の季節です。その前からカープは1軍もファームも好調ですね。追いかける阪神は30日、打線好調の1軍が全員安打で球団タイ記録の甲子園10連勝!きょう1日も勝てば新記録だけでなくセ・リーグ単独首位ですよ。強い!レギュラー陣の打率がすごい!小虎も鳴尾浜で小鯉と対戦中。ゴールデンウィークとあってスタンドは満員でした。赤いユニフォーム姿のカープファンも結構多かったですね。札幌から来たという虎ファンの方も。皆さん甲子園のナイターもご覧になったのでは。え、今日も?…お疲れ様です。

さてウエスタン広島戦は、5回に打者12人攻撃で6点を奪われ、終盤に反撃するも逆転ならず。広島は4回を除く毎回の13安打です。でも久々に公式戦で“4点も”取ったあ~。4月9日のオリックス戦(4対0で勝利)以来です。ついでに開幕戦以来の3失策もありました。

《ウエスタン公式戦》4月30日

阪神-広島 6回戦 (鳴尾浜)

広島 000 060 000 = 6

阪神 000 001 030 = 4

◆バッテリー

【阪神】●秋山(2勝3敗)-藤原-西村-吉見-田面-島本 / 梅野-小豆畑(7回~)

【広島】○武内(2勝1敗)(7回)-岩見(1/3回)-上野(1/3回)-河内(1/3回)-Sフィリップス(5S)(1回) / 會澤

◆二塁打 狩野

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:緒方   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .282

〃打中:横田  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .091

〃打:小宮山  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .176

2]二:荒木   (3-3-0 / 0-0 / 1 / 1) .412

〃打三:陽川  (1-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .156

3]捕:梅野   (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .200

〃捕:小豆畑  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) 1.000

4]右:伊藤隼  (1-0-0 / 0-2 / 0 / 0) .276

〃打一:原口  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .167

5]指:森田   (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .217

〃打指右:狩野 (1-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .209

6]三:西田   (2-1-1 / 1-1 / 0 / 0) .182

〃打:岡崎   (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .333

〃投:島本   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

7]一:中谷   (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .162

〃打:日高   (1-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .276

〃走二:阪口  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .267

8]左:一二三  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 1) .159

9]遊:北條   (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .136

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山 4.1回 85球 (8-2-0 / 6-2 / 2.43) 144

藤原 0.1回 13球 (0-0-3 / 0-0 / 1.04) 139

西村 0.1回 2球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00) ―

吉見  2回 31球 (2-0-1 / 0-0 / 2.25) 137

田面  1回 11球 (1-0-1 / 0-0 / 0.00) 139

島本  1回 13球 (2-0-0 / 0-0 / 0.00) 142

いろんなことがあっての6失点

秋山は3回まで1安打ずつ許しながらも無難に抑えて無失点。4回は三者凡退で、ここまで60球と順当でした。ところが5回、會澤と中村憲の連続中前打で一、三塁となり、鈴木誠の打球を前進守備のセカンド荒木が後逸して1点。安部の犠打で1死二、三塁として小窪のタイムリー。さらに秋山が天谷の投ゴロをつかみ損ねて3点目。高橋のサード内野安打でまた1死満塁となって、キラの右前タイムリーで2人が生還。ここで秋山は降板します。

なおも1死一、三塁で代わった藤原が明らかなボール球を連発…。土生に四球を与え、一巡した會澤への3球目が暴投となるも藤原がボールを拾って北條へ、北條のタッチでキラの代走・美間がアウト。しかし會澤は四球で2死満塁、続く中村憲もストレートの四球で押し出し。藤原が投げた13球のうちストライクは1球だけでした。

満塁のピンチが続く中、交代した西村は鈴木誠を2球で中飛に仕留め(中越えの打球、緒方が背走してギリギリ捕球!)ようやく終了。打者12人に5安打され、3連続四球に2失策も絡んだ6失点です。

次いで吉見が6回、7回とも走者を出しながら0点に抑えました。8回は田面が今季初の公式戦登板で先頭に四球を与え、ヒットも許しますが小窪は二ゴロ併殺打。鈴木将を投ゴロに打ち取って無失点!同じく今季初公式戦の島本が9回、ヒット2本などで2死一、三塁とするも最後は栗原を三ゴロ!追加点を与えていません。

何とか追い上げた打線

打線は広島・竹内の前に5回まで、荒木のヒット2本と2四球だけ。その荒木の盗塁などがあったものの三塁を踏めない状況。6点を先取されたあとの6回、先頭の荒木が左前打し、伊藤隼が四球、森田の中飛で2死一、三塁として西田が中前タイムリー!完封は免れました。

8回は2人目の岩見に対して、右の代打がこれでもかってくらい出てきます。まず代打・陽川が四球、途中出場していた小豆畑は左前打で一、二塁。代打・原口が三振に倒れたあと、代打・狩野が三塁線ギリギリを鋭く破るタイムリー二塁打!なおも二、三塁で代打・岡崎。ここで上野に代わって、岡崎は三振。

次は代打・日高、代わった河内から左翼線の、さらにギリギリに落ちるタイムリー!2人を還して2点差まで詰め寄りますが、一二三は二飛。9回はフィリップスに三者凡退に切って取られ、試合終了です。

キャッチャーがずらり!

試合は負けたけれど「久しぶりに4点も取ったからいいか(笑)」と、お客様。8回は次々に登場する代打陣がみんなキャッチャー、もとキャッチャーだったりして…と言っていたら本当にそうなりました。7回からマスクをかぶっていた小豆畑選手、原口選手、狩野選手、岡崎選手と出て、次は小宮山選手?あ、日高選手もいた!って感じで、3番から7番までズラッと並びました。

代打攻勢で新旧キャッチャーが並ぶスコアボード。代走・阪口選手のところも日高選手でした。
代打攻勢で新旧キャッチャーが並ぶスコアボード。代走・阪口選手のところも日高選手でした。

7番は日高選手が出なくても中谷選手ですからね。これで一二三選手のところに小宮山選手が出たら壮観だったかも。狩野選手と日高選手のタイムリーで3点入ったし、そのあとも9回の守備は誰がどこに入るかでスタンドは大盛り上がり。楽しかったですよ~。写真は8回の攻撃終了時なので、代走・阪口選手になっていて日高選手の名前はなく4人です。

「次は結果が大事」と秋山

試合後、秋山投手は「全体的に良くはなってきましたが…でも早いイニングで降りてしまったので。次回しっかり結果を出したいです」と話しています。2回からセットポジションで投げたのは?「初回、ワインドアップでもやもやしていたのもあり、ランナー出てからの投球が良かったので、セットに変えました」

4回、キラ選手の2打席目は144キロ、144キロ、142キロ、144キロというスピードだったと伝えるとと「そんなに出ていましたか」と驚いた様子。続く土生選手から見逃がし三振を奪ったインコース真っすぐはよかったですね。そんな三者凡退の次、5回は思わぬ展開に…。「守備もしっかりします」と自己申告の秋山投手。投ゴロを逆シングルで「合わせにいったら空振りした」エラーだったとか。

カットボールはあまり投げていなかった?「きょうはフォークが多かった。でもカットボールもだいぶ腕を振れるようになってきたので」という秋山投手。5回、キラ選手に許した2点タイムリーは「疲れちゃいました」と苦笑い。でも「次回は結果が大事やと思っています」と気合を入れ直しています。

久保投手コーチは「秋山、よかったよ。よかったというと語弊があるかもしれないけど、今やっていることができてきたという意味ではよかった。ただしキラ、小窪、栗原のような1軍に行って当たる相手の、攻め方が違うんじゃないかという話はしました。バッテリーとしての攻め方」と言います。

キラ選手に対して2打席はフルカウントになっていて、そこはもっと早いカウントで追い込むべきというような内容です。「怖くなって外へ投げていたら、外国人には打たれるよ。その点、島本の最後はよかった」と久保コーチ。

9回2死一、三塁で栗原に対し、まず142キロの外まっすぐでファウル。次は当たりそうなくらいインコースへ138キロのまっすぐを投げストライク。2球で追い込んで、今度はまた外へ139キロの真っすぐ。これはボールになり、最後に129キロのフォークをアウトコースへ投げて三ゴロ。以上、島本投手vs栗原選手でした。

同じ失敗は繰り返さないよう

これについて、リードした小豆畑選手は「12日の育成試合で島本が打たれたのと同じ状況だったんですよ。あの反省もあって、きょうは違う攻め方をしようとピッチャーともしっかり話ができていたので」と言っていました。2球目のインコースへの直球も?「あれはボールでもよかったんですが、めちゃくちゃ厳しいとこ攻めてくれた。そういう意志の疎通ができていたと思う。同じ失敗を二度繰り返さないことが大事ですね」

ところで小豆畑選手は公式戦今季3試合目の出場で2打席目、これが初安打でした。前は四球だったので打率は10割。「それはいいんです。ま、やっと開幕したって程度で。キャッチャーとしては、マスクかぶった3イニングが0点でよかった!」とニッコリ。疲れたようですが、充実感もうかがえる表情。

島本投手は「前の育成試合よりはよかったです。真っすぐがよかったので投げやすかった」とのこと。内転筋を痛めていたため、公式戦はこれが初登板。「やっぱり育成試合とは気持ちが全然違います。とにかく0で抑えることが一番。内容については自分でわかっているので、継続していきたい」と話していました。

同じく公式戦が今季初登板だった田面投手。「前回(育成試合)の1イニング目のような、いいイメージを持って投げられました。無駄なことを考えずに。先頭に四球を出してしまったけど、ゲッツーを取れたし、真っすぐで打ち取れました。次につながるピッチングができたと思う」と納得の1イニングだったようです。

「きょうは真っすぐとスライダーが半々くらいでしたが、真っすぐを増やせば変化球も生きてくるかなと思います」と田面投手。四球はスライダーでしたが抜けた球などはほとんどなく、しっかり腕を振って投げられたようです。0点で抑えたことが何よりでしょうね。

野手陣はひとことずつ

3安打1盗塁と気を吐いた荒木選手ですが「バッティングは期待されていないと思うので、走塁と守備をしっかり。いくら打っても、そこをしっかりやるのが一番」と、失点につながったエラーを反省。あれはバウンドが合わなかった?「言い訳になるので」。打つよりも守り?「それが最優先になりますね」というやり取りでした。バッティングも期待していますよ。4割超えていますから。

5回2死満塁で大きな中飛を捕った緒方選手。背走してのキャッチだけど、まだ余裕はあった?「はい、目をつぶって捕れるくらい。ウソです、必至でした!目をつぶったらグラブに入ってた(笑)」。いい仕事できましたね。「いえ、ダメです。5回の最初、ノーアウト一塁で(中村憲に)センター前打たれて、ランナーを三塁に行かせたことがダメ。そういうとこ大事なので」

中谷選手はこのところ、ヒットにならなくても快音を響かせる打球が多いような。この日もそうです。試合後も室内で打ちこんでいた中谷選手に「当たりはいいよね」と言ったら「当たりはいいんですけどねー。あとちょっとです」とのこと。

なお原口選手に「公式戦でのファーストは…」と言いかけたら「初です」という答え。「でも打てなかったから」と、きのうも室内練習場で最後までバッティングをしていました。収穫があっても、それを上回る反省や課題を見つけて次の日を迎える小虎たちです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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