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今、マスクを外すとき! マスクなしでもよゆーな場面

國松淳和日本内科学会総合内科専門医, 日本リウマチ学会リウマチ専門医
(写真:PantherMedia/イメージマート)

手洗い・マスク・三密回避。

正直もう、くどいし、うんざりですよねわかります。

何度も言わなくてもわかるよと。それもわかります。

正しい医療発信!みたいな場面では、「できていない人」たちにフォーカスを当てて、そして啓発的にもっていくことが多いですよね。

しかし、「でき過ぎている人」もいるのも確かです。

ルールやお願いされることをきっちり守るっていうのは、守っている人たち・守れている人たち当人にとっても、窮屈なものなんですよね。

そこで今回は、「こういうことはしていい!」というテーマでまとめてみました。

一応「飛沫編」としておきます。

■これはOK!「お布団は外に干していい」

コロナ禍となってから、コロナが付くといけないから、布団や洗濯物を外干ししないという人がいるらしいです。

布団や洗濯物は、外に干しても大丈夫です。

コロナウイルスは、感染している人の口から出たしぶき(飛沫)の中にいます。

空気中にいつも漂っているわけではありません。

となり町の老人施設でクラスターが起きていようと、そこから漂ってきて自分の家の部屋の中にコロナが侵入してくることはありません。

ちなみに感染していない人の口からのしぶき(飛沫)の中にもウイルスはいません(当たり前ですよね)。

人の口から出たしぶき(飛沫)は、そもそも重量が重いので、空気中を浮遊して遠くまで移動することができないです。

それが「ディスタンスを取れ」ということの根拠になっています。

病院ではない日常生活の場での、普通の会話などで出た飛沫なら、2mくらいで落下してしまうでしょう。

狭めの部屋などで、ある程度空間を漂えるくらいの小さな飛沫が発生しても、ある程度の換気を行えば簡単にどこかへ行ってしまうでしょう。そいつらもやがては地面に落下します。

ちなみにコロナウイルスは、感染している人が飛ばした飛沫の中にいて、感染はこの飛沫を人が吸い込んで成立します。

地面を舐めたりはしませんよね?

屋外を黙って歩行していれば、歩道とかで感染者ともし行き交っても(そばをすれ違っても)、うつってしまうことはまずないでしょう。

2m以内に人が近づく可能性がある状況なら、お互いマスクをしていれば問題ありません。

なかなか他人の飛沫をしっかり吸い込むのは難しいものです。

だから、「会食」とか「休憩」の場が、リスクが高いのです。

他人の飛沫をしっかり吸い込むという状況がしっかり揃いやすいからです。

ある空間で、人と、マスクを外して、一定時間ずっと、共にしますよね?

飲み、食い、タバコ、おしゃべり。やりますよね?

でもそうは言っても「会食」とか「休憩」を、したいですよね?

だから、予防なんです。

感染していない人となら、どれだけ「会食」とか「休憩」をしても感染しません。

感染していないことが一番なんです。

感染していることが否定できない人とはどんな人たちでしょうか。

それは「よく知らない人」です。

逆によく知っている人となら、お互いの健康状態(いま寒気がするとか)を忌憚なく言い合えるし、約束をサクッとキャンセルしたりできますよね。

  • 元気だけど風邪をひいている人が周りにいるので、相手に伝えてお食事の約束をキャンセルする。
  • 少しだけ悪寒がして体調変化があるっぽいから、友人や家族とのお出かけの予定をキャンセルする。

・・・このような”予定外のキャンセル”を申し出たときに、

Aさん「そうなの? わかったわかった!お大事にね〜」

Bさん「えっ? 熱ないんでしょ? 来ても大丈夫じゃない?」

このAさん、Bさんの2つの発言は、どっちが本当の意味で相手のためを思ったものになるでしょうか。

本当の優しさみたいなものが、今問われている気がします。

Aさんのような、体調不良だと言っている人に対する寛容さと優しさがあれば、このコロナ禍は乗り切れる気もするのです。

■これはOK!「1人でずっといる空間ではマスクをしなくていい」

たとえば早朝に、ウォーキングに出かけます。

早朝は、都心であっても人通りがごくまばらです。

郊外などに行けば、早朝の公園には人は滅多にいないですよね。

そもそも屋外です。

人もいない。

こんな状況でマスクをつける必要がありません。

まず、2m以内に人がくることはないだろうと思えば、マスクは外して大丈夫です。

コロナウイルスは、感染している人の口から出たしぶき(飛沫)の中にいます。

空気中にいつも漂っているわけではありません。

もし前の晩にその公園にあるベンチで感染者が弾き語りをしていたとしても、明朝にそのベンチにマスクなしで通りがかったり座ったりしても感染しません。

もうそこにはその人の飛沫はないからです。

屋外だけではありません。

電車の中で、窓も開いていて(電車は窓が開いていなくても換気がなされるシステムは本来あるそうです)、車両の中に全然人がいない時なども、マスクを外しても大丈夫です。人が来そうだなと思ったらしましょう。

長時間、自分だけしかいない部屋やオフィスとかでもマスクを外して大丈夫です。換気(空気の入れ替え)はしましょう。もし、他の人が入ってきた時のためです。

自分1人で運転する自動車の中でもマスクは外して大丈夫です。頻繁に乗り降りする人で、マスクの着脱が面倒ならしていてもいいですけどね。

怖いからしておく。

それでもいいですが、疲れます。

禁止や制限をかけることは簡単です。

でも「これはしていい」と判断するのは、知性や理性が必要になってきます。

理屈を知れば、大丈夫なもんは大丈夫なんです。

大丈夫な場面ではマスクなしでもよゆーです。

今回の記事で、少しでも安心してくれる人が増えたら嬉しいです。

日本内科学会総合内科専門医, 日本リウマチ学会リウマチ専門医

内科医(総合内科専門医・リウマチ専門医)/医書書き。2005年~現・国立国際医療研究センター病院膠原病科, 2011年~同院総合診療科。2018年~医療法人社団永生会南多摩病院総合内科・膠原病内科部長。不明熱や不定愁訴, 「うちの科じゃない」といった臨床問題を扱っているうちわけがわからなくなり「臓器不定科」を自称するようになる。不定, 不明, 難治性な病態の診断・治療が専門といえば専門。それらを通して得た経験と臨床知を本にして出版することがもう1つの生業になっており, 医学書の著作は多い。愛知県出身。座右の銘:特になし。※発信内容は個人のものであり, 所属した・している施設とは無関係です。

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