家賃は収入の「30%ルール」世界共通の家計管理術
家賃は収入の30%を超えない範囲で予算設定するというルールは世界共通の認識です。家賃の支払いを収入の30%以内に抑えることで、他の生活費や人生における目標達成のための資金を確保することができるからです。
家賃30%ルールの起源は、1930年代に制定されたアメリカの国民住宅法にあるようです。低所得者向けの公営住宅プログラムを創設し、その最大家賃のガイドラインを定めました。現在では、ほとんどの所得レベルで家賃に費やすべき金額を決定する基準として世界で幅広く使用されています。なお、住宅ローンの支払いには別の数字が使われます。
家賃30%ルールとは、毎月の家賃が月収の30%を超えないようにすることです。家賃の予算をいくらにするかは、月収に30%をかけて計算します。例えば、月収30万円の場合、家賃の上限は9万円となります。
残りの月収の70%は、光熱費や食費などの他の生活必需品、外食や交際費などのお楽しみ費用、貯蓄や奨学金の返済等に充てられます。
額面ではなく、手取りの30%で計算をする
さて、月収を額面で計算するのか、手取りで計算するのかどちらがよいのでしょうか。手取りで想定をするほうが手堅く予算管理ができます。
先程の月収30万円の場合、手取りに換算すると約24万円です。そこから30%だと、7万2000円です。残りは16万8000円。額面の30%の9万円を予算にすると、残りは15万円と月1万8000円の差が出ます。
交通費、医療費、保険料、食費、衣料費、光熱費などを考慮し、貯蓄をするとなるとできるだけバッファーは大きいに越したことがありません。額面ではなく手取り収入で予算を組むことで、現実的に払える金額以上の家賃を払わずに済みます。
年収1000万円の高額所得者の場合はどうでしょうか。手取りにすると約720万円、月の手取りに換算すると約60万円です。この場合も30%の家賃18万円にすると、残りは42万円です。
子供二人を私立に入れると月の学費は約20万円(一人10万円)程度です。そうなると、学費と教育費を引いた残りは22万円。その他の生活費を支払うとお金はあっという間になくなってしまいます。
コロナで住環境をよくしたいというニーズは大きいですが、収入が高い人の場合でも家賃を30%以上にすると家計がまわりにくくなります。
特に年収1000万円ラインは贅沢ができそうでできないライン。もっと飛び越えて年収3000万円程度になれば家賃を手取りの30%以上にすることもできるかもしれません。ですが、その人が早期リタイアを計画しているようなら、30%ルールを守るほうがよいでしょう。
最近では日本や米国など海外でも収入の50%以上を住宅費に充てる人の数が年々増加しているようです。家賃の上昇、デフレの影響で賃金の伸び悩みが背景にあります。
ですが、手取りの30%も占めるのが家賃。私は日本でも、シンガポールでも、住宅を探すのに3〜4ヶ月かけてじっくりと検討をするようにしています。
食費を1円でも節約する努力をするよりも毎月の大きな支出に影響する固定費の節約はずっと効率的だと感じるからです。
家賃や教育費など生活に必要なお金を圧縮することに成功できれば家計管理は成功したようなものだからです。少しでも値引き交渉をしたり、工夫をするなどをして妥協のない選択をしたいものです。