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「那覇軍港に来たレウルーラ」、真っ赤な潜水支援船をF-35捜索回収に投入

JSF軍事/生き物ライター
ウルトラディープソリューションズ社サイトより潜水支援船「ヴァン・ゴッホ」

 4月15日、Twitterでは「沖縄県の那覇軍港にレウルーラが居る」と話題になりました。レウルーラとはアニメ映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場する真っ赤な宇宙戦艦のことですが、同じように真っ赤に塗装された船が停泊していたのです。

 それはシンガポールに本拠を置くウルトラディープソリューションズ社の潜水支援船「ヴァン・ゴッホ」でした。潜水支援船とは海底油田など海底に機材を建設する際に使う船のことで、船尾に大型のクレーンやウィンチを搭載し水中に機材を降ろす作業を行います。操船を行うブリッジの上部に突き出している部分はヘリポートで、ヘリコプターの離発着も可能です。真っ赤な塗装は砕氷船などにも見られますが目立たせるためのものです。特に流氷や吹雪のような白い背景では赤い色が一番目立ちます。

Ultra Deep Solutions(ウルトラディープソリューションズ公式サイト)

 民間の潜水支援船が何故か軍港に居て、しかもアメリカ海軍SUPSALV(潜水救難監督部)のコンテナを積んでいる・・・目的は青森県沖で墜落した航空自衛隊のF-35戦闘機の捜索と回収だろうと当初から話題となりました。依頼主は非公開とされていましたが、アメリカ海軍であることは明白でした。

 そして訪米中の岩屋防衛大臣は日本時間4月20日の記者会見で、アメリカ側がF-35戦闘機の捜索に「ヴァン・ゴッホ」を派遣したと明言しました。

今、海上自衛隊の潜水艦救難艦というものが現場で活動をしておりますが、それに加えて米軍のヴァン・ゴッホという、これも、非常に高い海中捜索能力を備えた船を、近々派遣をしてもらい、共に活動を続けるということにさせていただいております。

出典:防衛大臣臨時記者会見:平成31年4月20日(土)

 なおAIS(自動船舶識別装置)の情報によると「ヴァン・ゴッホ」は中国の深セン港を日本時間の4月11日に出港して那覇軍港に4月15日に到着しています。F-35墜落が4月9日の夜だったことを考えると交渉期間はたったの1日で、アメリカ側の対応は非常に迅速です。日本所属機の捜索・回収の為にアメリカが民間船をチャーターして海軍の潜水機材を積んで対応するという異例の事態ですが、その決断は異様なまでに早く、アメリカ側が最新の軍事機密の塊であるF-35の回収に並々ならぬ神経を使っていることが分かります。

VAN GOGH - MarineTraffic(AIS位置情報)

 AISによると「ヴァン・ゴッホ」は4月20日に那覇軍港を出港、F-35墜落事故現場海域に向かうかと思われましたが翌日に戻って来て再び那覇軍港に接岸しています。潜水機材の運用テストを行って再調整している可能性があります。

【追記】アメリカ海軍第7艦隊の発表によると4月24日、ヴァン・ゴッホはF-35捜索回収任務に向かうべく那覇軍港を出港しました。

 U.S. Navy to Support JASDF F-35A Search and Recovery Operations | U.S. 7th Fleet Public Affairs

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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