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【高野町(高野山エリア)】コウヤマキ農家に聞いた、コウヤマキを2カ月もたせる方法

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本/高野/かつらぎ/九度山)

今の時期、お墓や仏前でコウヤマキをお供えしているところも多いと思うので、コウヤマキ豆知識を農家さんに聞いてきました。

農家さんが育てる、クリスマスツリーみたいな美しい樹形のコウヤマキ
農家さんが育てる、クリスマスツリーみたいな美しい樹形のコウヤマキ

コウヤマキ

日本固有種であり、本州(福島県北西部、中部地方以西)、四国、九州(宮崎県まで)に散在的に分布する。酸性土壌を好み、木曽川沿いの山地、紀伊半島の高野山や大台ケ原、四国の面河渓など中央構造線沿いの温帯から暖帯の標高 700 m 近辺の山地の岩場に多い。
材は耐水性に優れ、風呂桶、手桶、漬け物桶、味噌桶、寿司桶、飯櫃、流し板などに用いられる。ヒノキに比べて香りが少ないため、食料品を入れる器具に向いている。建築材としても使われ、また変色や腐蝕が少ないため外壁用の板材にも適している。耐水性があるため和船の用材ともされた。また樹皮は槙肌(槇皮、まいはだ、まきはだ)とよばれ、舟や桶、井戸の壁などの水漏れを防ぐ充填材に使われる。

高野山では、寺院の建築用材として重要なスギ、ヒノキ、アカマツ、モミ、ツガおよびコウヤマキが「高野六木」に選定されている。
高野山で真言宗を開いた空海は、修行の妨げになるとして高野山での花や果樹などの栽培を禁じていた。そのため、仏に供える花の代用としてコウヤマキが用いられている。
現在標準的な和名である「コウヤマキ(高野槇)」は、和歌山県の高野山に多く生えていることに由来する。

コウヤマキ科に関連すると考えられる化石記録は、後期三畳紀またはジュラ紀にさかのぼる。白亜紀にはユーラシアから北米の北半球全体に広く分布し、また第三紀にヨーロッパに多く生育していたコウヤマキ類は現在利用されている褐炭の起源となった。しかし鮮新世以降ヨーロッパでは姿を消し、やがて日本のコウヤマキ1種のみが生き残った。そのため、コウヤマキは「生きている化石」ともよばれることもある。
(Wikipediaより抜粋)

コウヤマキはただ飾るだけでは匂いません。細胞を傷つける(葉をちぎる等)と非常に爽やかな良い香りがします。お供えと関係なく、お風呂に入れるといい香りが楽しめます
コウヤマキはただ飾るだけでは匂いません。細胞を傷つける(葉をちぎる等)と非常に爽やかな良い香りがします。お供えと関係なく、お風呂に入れるといい香りが楽しめます

本来の良いコウヤマキとは

・茎が茶色で色が濃いグリーンのもの。

・9月の彼岸ごろには濃いグリーンになる。

お盆の時期のコウヤマキ(6月~お盆にかけての時期)

・まだ新芽で成長期のため色が薄く、茎も薄い緑色。

・茎がまだ柔らかいため直立せず、湾曲する。

→実は今の時期のコウヤマキは品質的には良いものではない。

しかし、お盆に帰ってくる仏様は「新物食い」(新しいもの、若いものが好き)と言われているので、このコウヤマキで良いのだ、とのこと。

(実際に農家さん宅では、まだ中に豆が出来ていないマメのサヤ、鉛筆みたいに細いサツマイモ、真っ青で全然熟していないナシ、など生きている人間が食べるには向いていない新物をワザワザお供えするようです)

コウヤマキを長持ちさせる方法

・特に何もしなくても普通に扱えば一か月はもつ

・買った際に縛られているゴムバンドを外してコウヤマキの根元側を5ミリカットし、水を時々変えながら、一週間に1回同様にカットし続けると、2カ月はもつ(カットしてもらう用に意図的に農家は少し長めに出荷している)

こんな風に根元側を5ミリカット。実演しながら教えてくれる優しいコウヤマキ農家さん
こんな風に根元側を5ミリカット。実演しながら教えてくれる優しいコウヤマキ農家さん

墓前用、仏壇用などと使い手に合わせてコウヤマキのサイズを調整。
墓前用、仏壇用などと使い手に合わせてコウヤマキのサイズを調整。

1日コウヤマキを処理すると、ヤニがすごいので持ち手がヤニで真っ黒になる(ヤニは樹脂なので汚いものではありません。むしろ抗菌作用があります)
1日コウヤマキを処理すると、ヤニがすごいので持ち手がヤニで真っ黒になる(ヤニは樹脂なので汚いものではありません。むしろ抗菌作用があります)

ということで、もともと長持ちしてエコなコウヤマキですが、ちょっとだけ手をかけて更にお得にお使いくださいませ。

地域のあしもとマイスター(橋本/高野/かつらぎ/九度山)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。社会教育士 (橋本市/高野町/かつらぎ町/九度山町 担当)

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