消費税変更の年を振り返る
今年10月に消費税が8%から10%に引き上げられる。一時、衆参同日選挙とともに消費増税延期かとの観測も出ていたが、どうやらその可能性は後退しつつある。過去に何度か消費税が導入、さらに増税された年は何かしら大きな出来事があった年となっていた。特に金融市場に絡んでのものが大きいが、今回は金融市場以外での出来事も含めてみてみたい。
1988年の竹下政権時に消費税法が成立し、1989年4月からは、所得税や法人税などの大規模な減税と引き換えに消費税が導入された。日経平均株価は1989年の大納会の大引けで3万8915円を付け、これが最高値となってバブルは崩壊した。そして1989年1月7日に昭和天皇が崩御され、平成元年となった。
1997年4月に橋本政権は減税の財源として消費税の5%への引き上げを実施した。バブルの後遺症ともいえる不良債権処理の遅れがその大きな要因となった。1997年7月には企業の破綻が相次ぎ、11月に入ると金融システム不安が一気に表面化し、三洋証券が会社更生法適用を申請、北海道拓殖銀行が経営破綻し北洋銀行への営業譲渡を発表。さらに証券大手の山一證券が自主廃業を届け出、徳陽シティ銀行が分割譲渡と金融機関が相次いで破綻した。
2014年4月に安倍政権は消費税の8%への引き上げを実施した。安倍政権そのものは安定政権となっており、1989年と1997年の増税時に比べて政権そのものは安定していた。金融市場も比較的安定しており、日経平均は戻り基調となっていた。そして日銀の2013年の日銀の異次元緩和によって金利は抑えつけられた。国債市場は次第に機能を低下させ、日銀の国債保有残高が膨れあがってきていた。
2019年10月に消費税は10%に引き上げられる。2019年5月に新天皇が即位されて令和がスタートした。年号が変わった年という意味では30年前の1989年の消費税導入の年と同様だが、これはたまたま一致したということであろう。金融市場そのものも比較的落ち着いてはいるものの、米国と中国との貿易摩擦が大きな注目材料となっている。6月28、29日には日本で初めてとなるG20サミットが大阪で開催される。翌年には東京オリンピック・パラリンピックを控え、日本が世界から注目される年ともなりつつある。