英国のスナク新首相を市場はひとまず歓迎
英国の与党・保守党の新しい党首に選ばれたリシ・スナク氏が25日、チャールズ国王に任命され首相に就任した。
スナク氏はアフリカから移住したインド系の両親を持ち、イギリスで初のアジア系の首相となったほか42歳5か月での就任は英国で20世紀以降、最も若い首相となる。
スナク氏はオックスフォード大で哲学や政治、経済を学んだあと、米金融大手ゴールドマン・サックスに就職。その後、渡米してスタンフォード大でMBAを取得し、ヘッジファンドで働いた後、政界入りした。
25日夜8時前に行った国民向けの演説では、経済の安定を政権の最重要課題に据えるとしたうえで「ことばではなく、行動によってこの国を団結させる」と強調した。
保守党政権下の首相はこの6年余りで5人目となり、前任のトラス氏の政策が市場の混乱を招くなどしてたことで、政治への不信感が高まっている。それをスナク氏が打ち消すことができるのかにも関心が高まっている。
25日のスナク新首相による就任演説で財政規律と市場の安定を重視する姿勢が打ち出されたことが好感され、外為市場ではポンドが買われ、英国債の利回りも低下した。
スナク新首相は「経済の安定と信頼を政府の中心課題とする」とした上で「難しい決断を迫られることを意味する」と訴え、財政規律を保つための国民負担増の可能性をにじませた。「次の世代が支払いに困るような借金は残さない」とも主張した(26日付日本経済新聞)。
日本では国の借金は次世代の負担などではないと行った論調もみられるが、スナク新首相の指摘が正しいことを市場は理解している。
前任のトラス政権で起きたことは決して他人事のような「対岸の火事」などではなく、「他山の石」として認識すべきとの声も出ていたが、その通りであると思う。