【サウナ旅:富山県スパ・アルプス】誰もが認める最上級の水風呂。女湯の水風呂は日本最大クラスに大改築
最近サウナの良さを知ってくれた友人から、
「初めてのサ旅(サウナ旅)でオススメってどこ?」
と尋ねられました。
サウナを求めて旅ばかり行っている僕です。こういった質問をもらうことは少なくないのですが、実は回答が難しいんですね。というのも、その時の気分や体調によってサウナに求めるものがガラッと変わるものだと考えているからなのです。
たとえば「ひとつの施設内で食事も仮眠もできて、お酒を飲んだり、漫画を読んだりしながらダラダラ一日過ごしたい」という気分なのに、湯上がりどころもない小さな町の銭湯サウナを紹介してもですし、「誰からも邪魔されずに、ひっそりと過ごしたい」という気分の人に、賑わいがちな大きな温浴テーマパーク紹介してしまってもミスマッチです。
ですので、この種の質問をもらったときは「なにをしたいか」「なにを得たいか」「どういうものをイメージしているか」を細かくヒアリングして、その人の気分を掘り下げてから「じゃあ、あそこがいいかも!」と答えを出すようにしているのでした。
「いやぁ、そんな理屈っぽい答えが返ってくると思ってなかったな」
と、ひどく面倒臭そうな顔をしている彼に、
「でも、大事なことだよ。そもそもさ、どうしてサ旅に行きたいと思った?」
「都内のサウナとは違う、なにか別の体験してみたかったのかも」
「いまの行動圏内のサウナでは味わえないものがほしいって感じ?」
「そう、それだ」
「とくにどういう部分で、これは東京じゃ無理だ! っていうのを期待してる?」
「またちょっと面倒くさくなってきたな……」
「これが最後の質問」
「んん、水風呂とかかな。東京でも良い天然水の水風呂があるってことは経験できたけど、地方の水風呂はまた別次元ですごいって聞くし。そういうのを味わってみたいのかも」
「じゃあ、スパ・アルプスだ……!」 ドンッ
東京から北陸新幹線で約2時間。富山県富山市にあるスパ・アルプスは、その名を聞けばサウナ愛好家であれば誰もが「うん、あそこの水は別格だ」とニッコニコになる北陸の名店です。
ここの水風呂の素晴らしさは、その清らかでふわふわした水質にあります。
水は飲むよりも入って肌で味わう方がその質の良さをより深く理解できる──そう仰ったのはサ道の作者・タカカカツキさん。僕はスパ・アルプスの水風呂に体を浸したときに、この言葉の意味を理解できたのでした。
初めてこちらに来たときの感動はいまでも鮮烈に覚えています。まず浴室に足を踏み入れた瞬間、「これは……」と動きが止まりました。
早朝9時頃だったと思います。朝の陽の光が、前面の大きな窓ガラスを通して浴室全体に差し込んでおり、清らかな水の粒子たちが浴室全体をふわふわと舞っています。うっすらと霧のようなものが漂っていて、それが陽の光を浴びてキラキラ輝いていたのです。
思わず立ち止まってしまったのはその美しい光景に目を奪われただけではなく、空気の清らかさに驚いたからでもありました。朝つゆに濡れた早朝の森を散歩しているような、そんな清浄で無雑な空気だったのです。浴場はマイナスイオンで溢れているといいますが、思わず呆けて立ち尽くしたのはさすがに初めてのことでした。
スパ・アルプスのお湯も、水風呂も、シャワーも、すべて北アルプス山系の天然水を使用しています。その水の粒子が浴室内に舞い漂っているのですから、空気が美味しいのも納得なんですね。
いまでもこの施設のことを思い出すときに真っ先に頭に浮かぶのは、あの清らかな水の粒子が太陽の光を浴びてダイヤモンドダストのようにキラキラ輝く光景です。美しいったらありゃしません。
まずはじっくり湯船を愉しんでみてほしい。ふわふわした無抵抗のお湯質に、サウナそっちのけになってしまうかも
ついついサウナ好きとしては「早く蒸されたい! 早く水風呂に入りたい!」と気が逸ってしまうかもしれませんが、せっかくスパ・アルプスに来たならお湯も愉しんでほしいのです。水風呂の素晴らしさはもちろんですが、温められた北アルプスの天然水もまた別格に気持ち良いんですね。ふわっふわの、赤ちゃんのほっぺみたいなお湯なのです。
普段、サウナ→水風呂と繰り返した後は、帰り際にお風呂に浸かるということを僕はまずしないのですが(水風呂で〆られた気持ちよさを失いたくないため)、ここに来たときだけは帰り際に湯船に入りたくなってしまいます。
僕がスパ・アルプスに行くときは始発の新幹線に乗って伺うことが多く、到着したらまずはこのお風呂で汗を流して体を目覚めさせて一度休憩所に戻り、20分くらいまったりしたあとに「よし、サウナだ!」という流れがルーティンになっています。
朝風呂を愉しみ、その余韻までを味わい尽くしてからごちそうのサウナ→水風呂へ挑む──そんな心持ちなのです。
愛好家でも初心者でも過ごしやすい絶妙なセッティングのサウナ室
サウナ室は、大量のサウナストーンを抱えた巨大ストーブを挟んで、座面が左右に分かれています。93度~94度の設定温度のため、「うわ、キツィ」とたじろぐような熱さはありませんが、座って1分~2分もすると滝汗まみれになる心地よいセッティングです。
ゴリゴリに熱いわけではないのに、8分過ぎくらいから深部体温ががっつりと上がっているのがわかり、頭の中に水風呂がチラついてくるはずです。
そうこうしているうちに、お待ちかねのオートロウリュがはじまります。間隔は15分に1回ですので、直後ではない限りは大体どのタイミングで入っても受けられます。
スパ・アルプスのサ室の過ごしやすさと、94度前後の室温なのにしっかり汗が出てくれるのは、この高頻度のロウリュがちょうどよい湿度を与えてくれているからかもしれません。
この後の水風呂をより愉しんでいただくためにも、いつもより1分くらい多めにサウナ室で頑張っていただくと良いかもしれませんが、ご無理は禁物です!
さあお待ちかねの水風呂だッ!
しっかりサウナ室で蒸された後は、扉を出たすぐ目の前のかけ湯で汗を流し、いよいよ水風呂に入ります。北アルプス山脈の天然水がかけ流しになっているため水温は季節によって若干変わりますが、おおよそ15度前後です。冬場だともうちょっと温度は低いかもしれません。
片足を水風呂に差し入れた瞬間に「あ……これは……」と思われるはずです。ふわふわしていて、でもシャッキリと澄み渡っていて、浸した部分からなんだか浄化していくような不思議な感覚を抱くのです。
肩まで身を沈めたら、その感覚はよりいっそう強くなっていきます。twitterのフォロワーさんが「体中の水分が、この清らかな水と入れ替わる感じがする」と仰ってましたが、まさにその言葉通りなんですね。
日本全国のサウナをふらふらと旅して回っていますが、スパ・アルプスの水風呂のような「入ったあとは全身が清められたような感覚がする……」という施設はあまりないかもしれません。サ室で開いた汗腺のひとつひとつに、清らかな水が沁み込み、置き換わってくれるそんな水風呂なのです。
普段の僕は3セット~4セットもやるとすっかりお腹いっぱいで大満足してしまうのですが、ここに来たときは長めの休憩を挟んだり、そうかと思ったらまたサウナに入ったりなどして時間かけて8セットはやってしまいます。
体力と時間が許す限り、何度でもこの水風呂を愉しみたくなってしまうのがスパアルプスなのです。
あ、大事なことを忘れていました。ジャバジャバと北アルプスの天然水を水風呂に注いでいる蛇口が隅にありますが、ここから直飲みできます(口はつけず、手ですくってください)。しかも恐ろしく旨いのです。サウナで熱せられてすっかり喉がカラカラになっているはずなので、思う存分ごくごくいってしまいしょう!
なお、女風呂の水風呂は先だっての大改築により、男風呂よりも巨大なものに改善されています。僕と出会う前から全国の施設を1人で巡っていた生粋のサウナーの妻が、「これまでは大きさに若干の不満があったけれど、これによって正真正銘の日本一の水風呂になった」と顔を真赤にして喜んでいました笑
アルプス食堂と、休憩室が実はここの施設の本丸
ここまではとにかく水風呂推しで書いてきましたが、実は2階にある「アルプス食堂」と「休憩所」がここの本丸だったりします。食堂でのご飯と、そのあとの休憩所での仮眠という流れがそれはもう極上なんですね。
2階の食堂のご飯は、天然のいけすと呼ばれている富山湾で採れたお魚を中心に、お刺身はもちろん、焼き魚、煮魚、天ぷらから牛肉コロッケ、サラダまでもうなにもかも美味しいのです。
ちなみにちょうどよいお料理の写真をフォルダから探そうとしたら、まったく撮影していないことに気がつき愕然。というのも、スパ・アルプスに来たときの僕はサウナと水風呂で大はしゃぎしてセットを繰り返し、食堂にたどり着いたときにはお腹と背中がくっつくくらいのペコペコ状態になっており。出されるやいなや撮影そっちのけで平らげてしまうのでした。
ですので、施設のスタッフさんのtwitterから失礼いたします!
食堂でご飯を食べたら、目の前の休憩所に移動して、毛布にくるまり、壁にずらりと並んだテレビを見るともなしにぼんやり眺めながらゴロゴロ。そのうち目を開けているのも辛くなってくるはずですので、至極のお昼寝タイムです。スマホはマナーモードにして音が鳴らぬようにし、目覚ましも必要ありません。
自然と目が覚めるまでお腹を出して惰眠を味わい尽くしたら、もう一度湯船でふわっふわのお湯を愉しんで、サウナ→水風呂→ヒャッハーを繰り返してください。
サ旅にこちらに来るならば、できれば早朝の朝陽を浴びてキラキラ輝くあの美しい浴室での湯浴みからスタートし、日が暮れるまで時間を忘れてまったりと過ごしてみてほしいです。半日ここにいるだけで、胃袋も血も体中の水分も、全部富山のきれいな水と料理で「きときと」になってくれているはずです( ᵕᴗᵕ )
筆者プロフィール
ペンネーム:まこたろ
新宿区在住|執筆業|全国のサウナを月3くらいで旅しています|プロでも玄人でも通でもなく、ただサウナが好きなだけの永遠の初心者です|2022年に巡ったサウナは全国128施設|重複を含めると200件近く|こちらでは主に旅先で訪れたサウナの紹介や、おすすめのサウナなどを紹介していけたらと思っています。
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