広島に勝った! 8年ぶりの1試合4発など、今季最多の16安打 《阪神ファーム》
5日の阪神鳴尾浜球場の天気は予報を大きく裏切る回復具合で、朝から青空が広がりました。風が強かったのもグラウンドの渇きを早くしたのでしょうね。夜中の雨の降り方を思うと、まさかの展開。ただし防球ネットが自動で下がりそうなくらいの強風で、それに乗ったもの、関係なかったものを合わせて阪神は4本のホームランが出ました。原口選手が先制、黒瀬選手と陽川選手が中押し、とどめは中谷選手の満塁弾!この4発を含む16安打、そして11得点も今季チーム最多で、ようやく広島に3勝目となったわけです。
1試合4発なんて、いつ以来だろうと思って調べ始めたものの…1年ごと、1試合ごとの確認は想像以上に時間を要しました。もしかしたら間違っているかもしれません。さかのぼって昨年から2007年までは1試合3本塁打という試合が、平均して年一度くらい。でも4本はなし。そして2006年には、なんと3本以上が7試合!そのうち4本塁打は3試合もあります。阪神がリーグ優勝し、山形で行われたファーム日本選手権でも喜田選手、桜井選手、藤原選手の3者連続と、桜井選手がもう1本で計4本!中村泰投手が4安打完封で千葉ロッテを破りファーム日本一になったという、打ちに打ちまくった年でした。
《ウエスタン公式戦》6月5日
阪神-広島 13回戦 (鳴尾浜)
広島 000 003 100 = 4
阪神 010 050 05X =11
◆バッテリー
【阪神】○岩崎(2勝)-久保田-渡辺-高宮-玉置 / 藤井‐小豆畑(6回~)‐小宮山(8回~)
【広島】●久本(2勝3敗1S)(6回)-池ノ内(2回) / 磯村
◆本塁打 原口2号ソロ(久本)、黒瀬2号ソロ(久本)、陽川4号2ラン(久本)、栗原3号3ラン(久保田)、中谷4号満塁(池ノ内)
◆二塁打 北條、藤井、美間、中谷、一二三、小宮山
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]二:北條 (5-1-0 / 2-1 / 0 / 0) .226
2]一:黒瀬 (3-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .190
〃打:森田 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .260
〃走一:阪口 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .222
3]右:狩野 (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .256
〃中:柴田 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .257
4]三:陽川 (5-1-2 / 1-0 / 0 / 0) .229
5]指:原口 (3-3-1 / 0-1 / 0 / 0) .286
〃打指:伊藤隼 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .239
6]中右:中谷 (5-3-4 / 1-0 / 0 / 0) .191
7]捕:藤井 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 1) .333
〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .125
〃打左:田上 (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .200
8]左:一二三 (3-1-2 / 1-0 / 0 / 0) .175
〃捕:小宮山 (1-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .137
9]遊:西田 (5-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .236
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
岩崎 5回 75球 (3-7-2 / 0-0 / 0.00) 137
久保田 1回 29球 (3-2-1 / 3-3 /11.25) 146
渡辺 1回 25球 (2-1-0 / 1-1 / 0.61) 141
高宮 1回 12球 (0-2-0 / 0-0 / 0.00) 142
玉置 1回 9球 (0-0-0 / 0-0 / 3.32) 143
2006年以来の1試合4ホームラン
まず阪神の得点内容です。2回に先頭の原口がカウント1-1からの真っ直ぐをレフトへ!余分な動きも、力みもないスイングで運び出された打球はライナーで飛んでいき、ロサリオは追うのをやめました。今季第2号、先制のアーチです。5回も、先頭の黒瀬が初球を打ってセンターへ2試合連続となる第2号。狩野の中前打に続いて、今度は陽川も初球打ちでチームトップの第4号2ラン!なんとバックスクリーンを越える一発でした。さらに原口が左前打、中谷は左翼線二塁打で無死二、三塁として一二三がレフトへタイムリー二塁打!5連打を含む6安打で5点を追加しています。
8回には代打の森田が、右前打とライト高橋のエラーで二塁へ(代走・阪口)、柴田は四球を選び、続く陽川の打球を捕ったショート鈴木誠がセカンドへ悪送球。これで無死満塁となって、既に3安打の原口…ではなく代打・伊藤隼。残念ながら三振に倒れて1死となりますが、次の中谷がライトへ4号の満塁ホームラン!10点目が入ってもなお攻撃の手を休めない、この日の小虎打線。続く田上が中前打し、小宮山の右中間二塁打で一気に生還しました。
先発の岩崎は1回、先頭・鈴木誠に内野安打(ピッチャー返しの打球がふくらはぎに当たるも問題なし)され、庄司と迎を連続三振に取ったあと盗塁、ロサリオは四球で一、二塁としますが岩本は左飛で無失点。2回は先頭の桑原に四球を与えただけ、3回と4回は三者凡退でした。5回は磯村と美間に連打を許して1死二、三塁と初めて三塁に走者を置きながらも後続をキッチリ断って、予定の5回を投げ3安打7三振2四球で無失点です。
6回は久保田と小豆畑のバッテリー。迎の左前打と岩本の四球で1死一、二塁として栗原に右中間へ3ラン。7回の渡辺は鈴木誠の中前打と盗塁などで2死二塁、ロサリオの右中間タイムリーを浴びて4点目を失います。しかし8回は高宮と小宮山のバッテリーで2奪三振の三者凡退。9回は玉置が登板して、前日の悪夢を振り払うかのように、わずか9球で三者凡退に切って取り試合終了。
次はもう1軍のロッテ戦?岩崎
と、ここまでは仕事の都合で鳴尾浜へ行けなかったため、録画していた試合をテレビ観戦したものです。岩崎投手のコメントはスポニチ・細川記者に教えてもらいましたので、ご紹介します。「高めにいったりして特別よかったわけじゃないんですけど、でもいつもよりストライクゾーンを広く使えたのが何球かありました。(藤井捕手と)浮いているなとは話したんですが、抜けたとかでなく指にかかってのもので差し込めていたところもある」と話しています。
次は1軍のロッテ戦での登板が有力みたいですね。この日の強風でQVC対策もできたのでは?「頭に入れるくらいで、特に意識することはなかったです。変化球がよく曲がったりしました。風は気にしない。1軍ではずっと5回に打たれたりしたから、そうならないよう意識しました。きょうもランナーを出したので、しっかり投げ切れるようにしたいです」。先日、甲子園で会った岩崎投手に「今回は短いおつきあいですね」と言ったら「いや、そんなことないですよ」と久々の“ふんわり”スマイルを見せてくれたんですが、本当に束の間の滞在になりそうですね。
ホームラン談話、そして“蚊帳の外”…
プロ初のグランドスラム、中谷選手は「とにかく積極的にいこうと思った」とか。なにしろ一塁を回るか回らないかというところで、もう白い歯を見せて思いきり笑っていましたよねえ。甲子園での2試合はノーヒットだったので、気合いも入っていたでしょう。この日は3安打4打点です。早く打率を2割に乗せたいっ!
陽川選手は「内より、真ん中の真っ直ぐです。打った瞬間、いったと思いました。ま、風ですね。結果が少しずつ出ているので、その流れを崩さないよう継続することを心がけていきたい。絶好調ではないんですけど、前に比べたらいい感じです。1打席目の見逃し三振が悔しかったので、1本出てよかった」と言っていました。鳴尾浜のバックスクリーン越えなんて、日本人では森田選手以来ですから。またコメントはありませんが、黒瀬選手は今季公式戦のヒット4本のうち2本はホームラン!助っ人みたいですね。
そうそう、5回に一二三選手が二塁打を放った時点で、先発全員安打まで西田選手のヒットのみとなりました。しかし…その5回と、7回、8回の3打席でもヒットが出ずじまい。本人に聞いてみると、いや正確には聞こうとすると「わかってますよ~。結構早い段階でみんなヒット出てて、残り2打席ぐらいで知ってました。僕だけ打ってないって」と先に全部言われた次第です。それとは関係なく、髪の毛を切りにいくところだったみたいで「メッチャ短くする!」と宣言していました。帽子を取る瞬間を楽しみにしてください。
「マルチの壁を越えたかったぁ!」
原口選手にも直接、話を聞きました。先制ホームランは完ぺき?「打った瞬間に『うわあ、こら入ったわー!』って感じ(笑)」。声も弾んでいますよ、やっぱり。今までで一番の感触だった?「そうかもしれない。うん、一番でしょうね」。ホームランのあとの2打席も連続安打で「2打席目はいい打球。3打席目は泳いだけどライナーで三遊間を抜けていったので」と手応え十分だったようです。4打席目は四球なので3打数3安打1打点。「打率が一気に1割くらい上がったりして」と笑いますが、前日にちょうど2割となり、この日は.286。8分6厘も上昇しましたよ。
ところで1試合3安打はプロ初で…「あんまり言わないでください。恥ずかしいじゃないですか、もう5年目なのに」と苦笑気味、と書いてすみません。一昨年は3月に腰痛が出て、2安打した試合が9月25日のソフトバンク戦のみ。昨年は4月のシート打撃中に左手首を骨折したので、2安打した試合は9月12日の中日戦のみ。ことしはまだ1安打ずつ。というわけで「マルチの壁を越えたかったぁ~!!」と原口選手。それが2安打どころか3安打ですもんね。言うことなし!
5日の広島は野村投手が先発予定でしたが、急きょ左の久本投手に変更。それで巡ってきたスタメンだったかもしれません。しっかりチャンスをつかみましたね。神戸サブでのオリックス戦ももちろん参戦します。ホームランを狙ってはいないというものの、結果的に量産できれば何よりのアピールになるはず。印象は大きいです。そして今季はファーストを守ることもあり、この日のようにDHでの出場も。原口選手としてはキャッチャーへのこだわりがあるのでは?と尋ねたら、こんな答えが返ってきました。
「何でもいい。どこでもいいんです。試合に出られるなら。だって、まず使ってもらえないとキャッチャーもできないので」
打って、打って、存在感を出していきましょう。キャッチャーをやるためにも。苦しんできた腰の不安はもうありません。2ケタの背番号を取戻すのは、今です。