箱根駅伝 なんと区間賞の70%を“厚底シューズ”が叩き出していた!
今年の箱根駅伝はテレビの前からまったく離れられなかった。区間新記録が続出し、順位も目まぐるしく入れ替わる非常に見応えあるレースだったからだ。世間的には青山学院大の5連覇なるかに注目が集まっていた。“常勝”を阻止するとしたら、どの大学か? 結果は、東海大が悲願の初優勝(総合)というドラマチックな展開となった。往路優勝は去年と同じ東洋大、総合5連覇は逃したものの青山学院大も執念の復路優勝をもぎ取った。最初から最後まで息を抜くことができなかった。
230人中なんと95人がナイキのシューズを履いていた
さて、こうした表の激戦の裏でシューズメーカの熾烈なシェア争いが展開していた。箱根駅伝での“活躍”は絶好の宣伝チャンスでもある。私は昨年大晦日に〈ナイキの厚底シューズ快進撃は2019年も続くのか〉という記事をアップしている。この箱根駅伝で各選手が履くシューズがどうなっているのか、とりわけナイキの話題の厚底シューズ「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%フライニット」を着用する選手がどのくらいいるかが気になっていた。メモをしながら食い入るようにテレビを観ていた。
今回の駅伝では、昨年のシカゴマラソンの大迫傑選手や福岡国際マラソンの服部勇馬選手が履いていたオレンジ色のヴェイパーフライ4%と、新たに発売された白っぽいカラーのシューズが混在していた(タイトル画像参照)。私の見た限りでは、2日の往路は参加23校115選手のうち40人以上がナイキのシューズを履いていた。昨年は2日間で40人だったから、これは大変な数になるぞと思っていたら、大会直後にナイキが公式サイトで集計結果を公表していた。それによると、往路46人、復路49人で2日間合計すると230人中95人、実に41%の選手がナイキを着用していたことになる。そして、そのほとんどが厚底のヴェイパーフライ4%だった。
(参考記事:マラソン界の常識を覆した革命的シューズ 「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%」の実力)
これがどれだけ凄い数字かというと、過去のシェア率の数字と比べるとわかりやすい。2017年は1位アシックス(32%)、2位アディダス(26%)、3位ミズノ(23%)、4位ナイキ(17%)の順番だったが、2018年はヴェイパーフライ4%を投入したナイキの大逆転が話題をさらい、1位ナイキ(28%)、2位アシックス(26%)、3位ミズノ(18%)、4位アディダス(17%)になった。それでも20%台だった。それが今年は一気に40%台へと跳ね上がったのだ。それだけではない。
強い選手ほど“厚底シューズ”にシフトしていた!
各区間の上位3位までの選手に限っていうと、30人中18人がナイキを着用していた。つまり60%のシェア率だ。さらに、区間賞(各区間1位)だけを拾い出してみると、
1区:西山和弥(東洋大) ヴェイパーフライ 1:02:35
2区:ワンブィ(日大) ヴェイパーフライ 1:06:18
4区:相澤晃(東洋大) ヴェイパーフライ 1:00:54☆
5区:浦野雄平 (國學院大) ヴェイパーフライ 1:10:54☆
8区:小松陽平(東海大) ヴェイパーフライ 1:03:49☆
9区:吉田圭太(青学大) ヴェイパーフライ 1:08:50
10区:星岳(帝京大) ヴェイパーフライ 1:09:57
(☆は区間新記録)
7選手がナイキの厚底シューズを履いていたのだ。シェア率70%である。また、今年の箱根駅伝では区間新記録が5区間で出ているが、そのうち3つを叩き出したのがヴェイパーフライ4%だった。
さらに、2年連続で往路優勝した東洋大の選手の多くがヴェイパーフライ4%を履いていることは有名なのだが、実は感動の初優勝を遂げた東海大も7人がナイキで、うち6人がヴェイパーフライ4%着用だったことがわかった。アンカーとしてゴールテープを切った郡司陽太選手や8区で区間新を出した小松選手などである。
(参考記事:記録を伸ばす革命的シューズ「ヴェイパーフライ4%」 ナイキが明かした「厚底」の秘密)
いやはや、2019年もナイキの厚底シューズが席巻することはある程度予想はしていたが、ここまでとは。厚底快進撃はしばらく止まりそうもない。