産休クッキー炎上ポストから考える、産休取得時のサポートとは?
こんにちは。アクシス株式会社 代表・転職エージェントの末永雄大です。
中途の人材採用支援をしつつ、月40万人以上の読者を持つ「すべらない転職」という転職メディアを運営している中で、Yahoo!ニュースでは2013年から「働き方3.0」というテーマでキャリアや雇用分野について発信させてもらっています。
かわいらしいイラストとともに「産休をいただきます」というメッセージがプリントされた産休クッキー。産休に入る女性が職場に配るものとして掲載した投稿が炎上しました。
出典
https://news.yahoo.co.jp/articles/536e1eb9d8f3d2494c0f03c04f584cf7fecd2aa5
「かわいらしい」「自分が貰ったら嬉しい」といったコメントが見られる反面、「周囲への配慮が足りないのでは?」「マタニティハイで迷惑」といった批判的な意見も寄せられています。
こうした意見はSNS上のみならず、実際の現場でも抱えている人はいるのではないかと考えられます。このポストを踏まえて、産休取得に関するサポートについて考えていきたいと思います。
現場の実態と対策
以前よりも育児と仕事の両立への理解が高まり、産休・育休が取得しやすい環境になってきているものの、まだ制度的に不十分な部分もあります。当社では、働く女性がスムーズに産休を取得するためにどのような配慮が必要なのか、実態を調査すべく「育休取得に関する意識調査」を行いました。
上記のアンケート結果では、産休を取得する従業員に対して半数以上の人が喜ばしいと思ったと回答しているものの、負担を感じたと答えた人が16%、実際に負担が増えたと答えた人が76%となっています。
喜ばしいと感じていた人でも、実務的な負担が増えてしまうと不満に繋がるかもしれません。結果的に育休を取得すると周りの負担が増える、迷惑がかかるというマイナスなイメージが生まれることもあります。
こうした現状への不満から、SNSでも育児をしながら働く人のことを皮肉をこめて「子持ち様」と呼び、意見を述べる投稿が度々見られるようになり、子育てをしながら働く人とそうでない人との間に溝が生じているように感じます。
しかし、負担が増える原因は、育休を取得する従業員がいることそのものではなく、他の従業員にむやみに仕事を割り振ることで完結させようとする会社のサポートの仕方だと感じます。育休だけでなく育児や介護等の理由で短時間勤務といった場合で欠員が出る際も同様です。現場単位でどうにかするのは根本的な問題解決になっておらず、どこかのタイミングで問題が生じるのは当然のことです。
業務を他の社員に割り振るのであれば、その前に業務の優先順位を決めたり、必須かどうかを見直して業務自体をなくしたり簡単に置き換えたりすることで、やみくもに全ての業務を割り振るよりも効率的であり、負担も多少和らぐと思います。
また、厚生労働省が事業主向けに提供している「両立支援等助成金」を利用して採用活動を行い、人手不足を解消するのもひとつの手段です。
産休取得時に贈り物は必要?
産休取得時や退職時にお菓子等の贈り物を渡すのは、長年の文化として根付いているように感じられます。
こうした中で、産休に入る従業員から贈り物などの配慮は必要だと思うかのアンケート結果では、何もいらないまたは挨拶のみで良いと答えた人が9割と大多数を占めています。
貰う立場からは不要と感じていても、自分が休職するとなると気を遣ってしまうこともあり、こうした文化が続いてきたのだと思われます。
結果からも分かるように、必ずしも必要とされているわけではないため、感謝の気持ちを込めて挨拶をするほうが円滑に、そして気持ちよく産休に入れるのではないでしょうか。
まとめ
産休の取得には周りのサポートが必要となってきます。そうした中でお互いが気持ちよく働いたり、休みに入ったりするために会社側もサポート制度を見直したり、休職時の贈り物に関する規定を設けたりする必要がありそうです。