1/3のアメリカ合衆国の人はソーシャルメディア上のbotのことを知らない
ソーシャルメディアは気軽に多数の人の意見や情報を取得できる回転寿司的な存在で、その特性を利用したbot(Robotが由来。機械的に情報を生成し、定められた仕組みに従って情報を公開する自動プログラム。あるいはそれによって生成された情報そのもの)もまた、人に成りすまして情報を流していく。botによって情報が自動生成・配信される仕組みそのものは有益なものとなることもあれば、人をだまして混乱に陥れる悪しき存在ともなりうる。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年10月に発表した調査「Social Media Bots Draw Public’s Attention and Concern」(※)の結果報告書を基に、同国の人達がどれほどまでにソーシャルメディア上のbotを認識しているか、その実情を確認する。
まずはソーシャルメディアにおけるbotの存在を知っているか否か。「ほとんど知らない」は「認識はしている」との解釈をすれば、66%の人が存在を知っていることになる。ある程度知っている人以上に限定すれば44%。
見方を変えると34%の人はソーシャルメディアにおけるbotを知らない、タイムライン上に流れてくる情報は原則としてすべて人の手によって発信されたものだと考えていることになる。
この実情を細かく属性別に区分して確認したのが次のグラフ。
年齢階層別では年が上になるほど認知度が下がる傾向がある。これはソーシャルメディアそのものを利用する度合いにも大きく影響しているのだろう。ソーシャルメディアを使っていなければ、その上で運用されるbotを知る体験は無い(知識として知る可能性はある)。また、技術への好奇心の度合いにもよるものと考えられる。
注目したいのは男女別。往々にしてソーシャルメディアの利用率は男性よりも女性の方が上になるものだが、botの存在を知っているのは男女別では男性の方が多い。技術的な問題がハードルとなっている、そういうものをあまり気にしない人が女性には多いのかもしれない。似たような理由による可能性は、学歴別の傾向からも推測できる。学歴が低いほど認知度が低い結果が出ている。
支持政党別では民主党支持者の方が認知度は高い。これは年齢や学歴、男女の偏りでは無く、先の大統領選で民主党が負けたのはbotが暗躍したのが一因だとする報道があり、それを信じている民主党支持者が少なからずいるのが要因だと考えられる。
とはいえその影響力がどれほどのものかは不確かであるし(共和党支持者側のみがbotを利用したわけでは無い)、インターネットを駆使した大統領選は民主党所属の前大統領であるオバマ氏も行っており、むしろオバマ氏のそれは初の本格的なインターネット選挙戦として大いに持てはやされたものだったのだが。
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※Social Media Bots Draw Public’s Attention and Concern
Pew Research Centerの調査パネルATP(American Trends Panel)によって行われたもので、調査実施期間は2018年7月30日から8月12日。有効回答数は4581人。ATPはRDDで抽出された固定電話と携帯電話番号への通話で18歳以上のアメリカ合衆国居住者に対して応募が行われたもので、国勢調査の結果でウェイトバックが実施されている。
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