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地域別の食塩摂取量のちがいをさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 食塩は調理に欠かせない存在、だが……

食塩は日常生活においては欠かせない食品(調味料)の一つだが、過度に摂取をすると健康上のリスクが積み増しされる。日本では地域によって摂取量に違いは生じているのだろうか。厚生労働省が2017年3月に発表した「平成27年国民健康・栄養調査」の詳細結果から確認する。

成人の日本人が摂取している平均的な食塩摂取量は、男性で11.0グラム、女性で9.2グラム。大よそ若年層ほど少なく、高齢層ほど多くなっていく。

↑ 年齢階層別食塩摂取量平均値(グラム/日)(2015年)
↑ 年齢階層別食塩摂取量平均値(グラム/日)(2015年)

また厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2010年版)では、成人の目標塩分摂取量に関して、男性は9.0グラム未満・女性は7.5グラム未満(2010年版、1日あたり)、「健康21」の最新目標値では8グラムが望ましいとしている。

これらの値を念頭に置いた上で。次に示すのは2015年時点の地域ブロック別の成人における、平均食塩摂取量。なお「関東I」とは埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、「関東II」は茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、「近畿I」は京都府、大阪府、兵庫県、「近畿II」は奈良県、和歌山県、滋賀県、「北九州」は福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、「南九州」は熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県が該当する。

↑ 食塩摂取量平均値(2015年、地域別、20歳以上、グラフ、一日あたり)
↑ 食塩摂取量平均値(2015年、地域別、20歳以上、グラフ、一日あたり)

全国平均は10.0グラムだが、それ以上の値を示すのは東北、関東I、関東II、東海。もっとも多い地域が東北なのを始め、大よそ東日本の方が塩分摂取量は多い傾向にある。寒い地域ほど塩分を多く採る傾向があるのは良く知られた話だが、それが地域ブロック単位での平均値にも表れた形だ。それゆえに、最大値を示すのが北海道では無くて東北なのが少々不思議な値動きではある。

これを男女別に仕切り分けしたのが次のグラフ。

↑ 食塩摂取量平均値(2015年、地域別、20歳以上、グラフ、一日あたり)(男女別)
↑ 食塩摂取量平均値(2015年、地域別、20歳以上、グラフ、一日あたり)(男女別)

男女別に仕切り分けしても、大よそ東日本の方が西日本よりも摂取量が多い傾向にあることや、最多地域が東北であることに変わりは無い。また、男女差ではさすがに女性の摂取量が男性を上回る地域は無かったものの、全体で最少値を計上した四国では男女差が0.9グラムしかなく、女性に限れば南九州や北海道、中国の方が量が少ない傾向を示しているのが分かる。単なる誤差か、それとも四国地方では食事摂取の様式で他の地域との差異があるのだろうか。

差異と言えば北海道では男女差が極めて大きな値となっている。女性の塩分摂取量の少なさが全体値を下げ、北海道が東日本地域としては少なめな値となっている実情がうかがえる。

なお今件はあくまでも平均値。身体上の差異や周辺環境により、必要な摂取量は大きな違いを見せる。特に汗を多分にかく夏季においては、水分だけでなく適切なミネラル分を合わせて摂取することが求められることを、合わせて覚えおきたい。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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