「人材採用ほど面白い仕事はない!」と言えるいろいろな理由。採用担当者はモチベーションをどこから得るか
先日、若手採用担当者の皆様との1日ワークショップに立ち会いました。そこで、採用担当者の皆さんがいろいろ苦悩されていることを聞きました。人が人を扱うという神をも恐れぬ行為をしているので、悩むのも当然でしょう。
しかし、それ以上に採用という仕事には素晴らしい部分、面白い部分があると思うのです。今回は、採用という仕事がいかに素晴らしい仕事であるかについて書いてみます。
■人生の岐路のサポートができる
採用という仕事で得られる喜びには様々なものがあると思います。まず、一人ひとりの人生の岐路において意思決定のサポートができること。人生の交差点に差し掛かった時、どんな人も必ず悩む。人は一つの人生しか生きられないから、三菱商事とゴールドマンサックスには同時に入社できない。可能性があるのに捨てなければならないのは辛いことです。
心理学では生きられなかった方の人生における自分を「影(シャドウ)」と言って、いつまでも自分に影響を与えるコンプレックスの一つと言うぐらい、可能性を捨てることは辛いことです。そういう大変なタイミングで、悩んでいる人をサポートし、その可能性を開花させるお手伝いができることは大いにやりがいのあることです。
■一つの仕事で何年も喜びがある
岐路の選択という大変な時期に関わることで、採用する側とされる側との間には強い絆のようなものが生まれることがあります。採用された方はいつになっても採用担当者を(大げさに言うと)一種の恩人として(そんなことまで思われる謂れはないのでしょうが・・・えらいのは本人ですし)慕ってくれたりします。そして人生に何度も訪れる節目において再び相談をしに来てくれたりします。
私は約30年間採用をしていますが、大昔に採用に関わった人が何年もの時を隔てて連絡をくれたりします。自分の子でもないのに、一人の長い人生を追跡できることは喜びです。成長の軌跡を追っていると意外な変化をしている人がいて、人生の不思議さや人間の可能性の大きさを知ることができたりします。
■組織という生き物の創造に立ち会える
また、喜びは「個」の単位だけでなく「組織」「チーム」の単位でも味わえます。採用は表面的には個人レベルのことですが、私は「チームを作っている」という意識でやっていました。自分が作った縁で、様々な人が出会っていく。自分が介在しなければ、あの人とあの人は結ばれることはなく、あの事業もあの仕事も生まれなかったかもしれない。
採用担当者は単にある瞬間にボールをトスしたぐらいの存在ですが、それでもこの「今」が出来上がるためには欠かすことのできなかったと、自分の存在意義を感じることができます。組織は個よりも長生きかもしれません(最近は個の方が長生きですが)。そう思うと、永遠の命を持つ生命体の誕生に関わった、あるいはその一部になったような気がしませんか?
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こんな風に採用は自分の人生に大きな意味を与えてくれる「生きがいの創造」とも言えるぐらいの仕事ではないかと思うのです。こんな仕事はあまり他にありません。もし、採用担当者になったなら、こんな稀有な喜びを得られる仕事ができる幸せをかみしめ、日々の苦労を乗り越えていきましょう!