帰省時に頭抱える「雑談」 気まずい雰囲気を避ける「先生と生徒」作戦とは?
「久しぶり〜。元気にしてた?」
「はぁ……まあ、おかげさまで……(誰だっけ、この人)」
「会社のほうはどうなの? うまくやってるの?」
「まあ、ぼちぼちです(仕事の話をしてもわからないでしょ?)」
「ずいぶんご活躍だそうで。噂もよく聞くよ」
「いやいや……(とりあえず謙遜しておこう)」
年末に帰省すると、必ず直面するのが、このような、「久しぶりに会った親戚」や「義理の家族」との世間話です。
知らない相手じゃないけど、人柄をよく知ってるわけでもない。
共通の話題はないけれど、沈黙が怖いからなにか話さなくちゃいけない。
無視するわけにもいかないし、かといって、愛想よくしてるとキリがない。
特に、年上の親戚や義理の両親など、「目上の人」にはとても気を使います。
失礼があっちゃいけない、こっちががんばって話をつながなくちゃいけない。
こういうときに必要となってくるのが、「雑談力」です。そもそも「雑談」とは、普通の会話とまったく違う、極めて繊細なコミュニケーションです。
雑談は「第3の会話」
多くの人は、
・仲のいい人との、気を遣わない、楽しいおしゃべり
・ちゃんとした場面で、礼儀正しく話す、大人としての話し方
このふたつぐらいしか、会話のバリエーションを持っていません。これがいわゆる、普通の会話。
ですが、「雑談」とは、このどちらでもない、言ってみれば「第3の会話」。微妙な間柄の人と、適当に話をしながら、なんとなく仲良くなる、とても特殊な話し方です。
それなのに、たいていは見よう見まねで「雑談」をしてしまいがち。だから当然、うまくいかないし、話が弾まない。疲れるし、しんどいというわけです。
では、具体的に、年末年始に多い「久しぶりに会ったよく知らない親戚」や「失礼があっちゃいけない義両親との雑談」は、どのようにこなせばいいのでしょうか?
「先生と生徒プレイ」がベストバランス
自分よりも上の相手と、そつなく話はするのに、ちょうどよいフレームは「先生と生徒」です。変に話を盛り上げようとせず、「相手からものを教わる」というスタンスこそが、正解となります。
相手だって、久しぶりに会ったあなたに対して、どういうスタンスで雑談したらいいかわからないでいます。だからこそ、冒頭の例のように、答えにくい質問をしてくるわけです。
ですから、ここは率先して「先生と生徒プレイ」を始めましょう。
たとえば、「最近ちょっと悩んでることがあるんですけど」と、少しだけ自己開示をして、身の上相談をする。
たとえば、相手が話している内容について、「はい!」と生徒のように挙手をして、「●●って○○なんですか? 教えてください!」と質問をする。
あっちも「あ、そういうことなら」と落ち着きを取り戻し、いろいろ教えてくれることでしょう。これこそが、目上の人との雑談におけるベストバランス。「相手が上、こっちが下」という関係はそのままに、まるで楽しく会話が弾んでいるような雰囲気が出来上がります。
「全然わからないんですけど〜」「門外漢で恐縮ですが〜」と言いながら、素直にへりくだってレクチャーしてもらえば、あっちは気分がいいし、こちらの知識も増えて一石二鳥というわけ。
相手の「教えたい欲求」をくすぐる
人は誰しも「人に教えたい」生き物です。
マウンティングというと聞こえが悪いですが、実際相手のほうが、人生の先輩で立場が上なわけです。そういう人には、無理におしゃべりの花を咲かせるより、いい気分で「授業」をしてもらったほうが、お互いのため。
「へー、そうなんですか? 知らなかったなあ」
「うわー、ほんとですか? それで、それで?」
と、精一杯のリアクションで話を引き出していれば、なんとか雑談タイムはやりすごせます。
こっちとしてみれば、がんばって盛り上げなくてもいい。すすんで話題を提供する必要もないし、プライバシーに踏み込まれることもありません。
いかがでしょう?
気を使う親戚や義理の家族相手には「先生・生徒プレイ」で、あいまいな上下関係をキープする。
ぜひ大いに活用して、帰省時のめんどうな人づきあいを乗り切ってください!
※書籍『超雑談力』から一部を抜粋・再構成して掲載しています。