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新発想ネックバンドが出色の次世代スマートグラス「VITURE One」レビュー

ロピログテックライター

ゲームをしたり映画を観たりできる、持ち運び可能な“仮想の120インチ画面”。というコンセプトのもと、VITUREから登場したエンタメ特化のスマートグラス「VITURE One」。

独自OS搭載のネックバンドと組み合わせることで、なんとハンズフリーで映画やゲームが楽しめるんです。1週間ほどじっくり堪能してみたので、そんなVITURE Oneの使用感をレポートしていきます。

軽量・洗練されたデザイン

ぱっと見は「ややゴツめのサングラス」といった感じのVITURE One本体。コンパクトなサイズにくわえて、78gと非常に軽いこともあり内側にディスプレイを内蔵しているとは思えません。

ディスプレイは1920×1080ドットのフルHD解像度を両目に装備し、それぞれグラスの天面部から真下に向かって設置されています。その映像を、斜めに取り付けられた拡大鏡を通すことで、3m先で120インチの画面が見える設計になっているのだそう。

グラス本体とデバイスの接続には、右側の弦部分のマグネット式の独自コネクターを使用。このマグネット型端子に合う専用のUSB Type-Cケーブルが付属しており、ここから各種デバイスと接続します。

マグネットの磁力は強力で脱着のしやすさがピカイチな反面、汎用ケーブルのように代替が効かないので、紛失したりどこかに忘れたりしないように注意する必要はありますね。

接続はケーブル1本。明るく鮮やかな映像

使い方は難しくありません。前述のType-Cケーブルで、グラス本体とデバイスを接続するだけ。特にラグなどもなく、接続後瞬時に投影されます。

iPhone 15 Proと接続
iPhone 15 Proと接続

VITURE Oneは接続したデバイスから電源供給を行うので、外部バッテリーを用意する必要はありません。Type-C化したiPhone 15 Proとの相性はよく、ケーブル1本繋げるだけですぐに動画視聴できました。

実際に装着してみると、公称写真などから連想するような「視界の全てが映像に覆われる」といった感覚とは少し違い、最適な視聴距離に27〜32インチぐらいのディスプレイが出現するといった表現がしっくりきます。「目の前いっぱいの大迫力!」というよりは、視界の60~70%をディスプレイで占めるようなイメージですね。

有機ELレンズを採用するディスプレイの解像度は高く、かなり鮮明に視認できます。白がきちんと白く、黒がしっかり黒いメリハリの効いた色味ですし、最大1,800nitsと輝度が高いこともあり明るくクリアな映像という印象です。発色の濃い薄いは好み次第な部分でもありますが、「ゲームや映像コンテンツを楽しむためのデバイス」としては最適な映像体験だと感じました。

また、もう1つ没入感を高める要因として、HARMANと共同開発したスピーカーを内蔵していることも大きいと感じます。本体の弦部分から音が鳴るので実際はそこまで大きな音が出ているわけではないのに、コンテンツを視聴してみると、ちゃんと臨場感のあるダイナミックなサラウンド音声になっていることに衝撃を受けました。

左右両方の弦の部分にHARMANと共同開発したスピーカーを内蔵
左右両方の弦の部分にHARMANと共同開発したスピーカーを内蔵

例えるなら、側頭部から耳に音を伝える骨伝導ヘッドホンに近い感覚。音像が後方にあるので立体表現も豊かですし、音圧も十分に感じられ音響面の満足度は非常に高かったです。

スマートグラスの可能性を拡張してくれるネックバンド

VITURE Onenの拡張性を高めてくれるオプションとして、「NECKBAND」と呼ばれる首にかけて使用する文字通りネックバンド型のデバイスが用意されています。

本体にバッテリーを内蔵していて、なんとこれ自体がAndroid 11ベースの独自OSを搭載したクライアントデバイスとして機能します。アーム部にはコントローラーを備え、YouTubeやNetflixなどの動画配信サービス、Android TV対応のゲームなどをハンズフリーで楽しむことができます。今回は未体験ですが、PS5/4のリモートプレイも可能なのだそう。

加えて、独自の3Dコンテンツや3Dブルーレイビデオ再生が可能な「3D Player」もプリインストールされています。これまではディスプレイ表示を中心に使っていたVITURE Oneが、ネックバンドの拡張で3Dコンテンツの再生まで可能に。なお、内蔵ストレージは128GBありローカル保存した動画ファイルも楽しめます。

VITURE Onenの良さを最大限引き出す上でマストアイテムともいえる「NECKBAND」。画面上の操作は、左アーム部のコントロールキーを使うのですが、使用中は手元が全く見えないので、手探りでの操作になります。

キーの方向をカスタムできたり、頭の動きでカーソルを移動できる「ヘッドコントロールモード」なども備えますが、「決定」「戻る」などの操作はやはりコントロールキーが必要になるのでやや慣れが必要。ただ、ネックバンドはBluetoothに対応しているので、よくよく考えるとキーボードやらマウスやら外付けできるんですよね。

断然こっちの方が快適なので、普段の外出時に使っているMOBOの折りたたみキーボードとCheerpodの小型マウスをそのまま無線接続して使ってます。もちろんベッドやソファで寝ころがって動画鑑賞できるのもVITURE Onenの醍醐味なので、どちらにせよコントローラーのノールック操作に慣れる必要があるのですが。

気になるのはネックバンドの動作音と排熱

VITURE Oneとネックバンドの組み合わせでしばらく使ってみて、気になったのはネックバンドの動作音と排熱周り。

起動すぐにグラス本体とネックバンドの右側が熱くなり、ファンの回転音も使用中それなりに鳴り続けます。視聴してる動画の音がかき消されるほどじゃないですが、せっかく音質がよいだけにかなりもったいなと感じる部分。(ファンの位置が耳元にある構造上仕方ないのですが。)

季節にもよると思いますが、ネックバンドを着けている間バッテリーの発熱も直に伝わるので、数時間つけっぱなしというのは正直快適じゃないですね。本体自体は熱伝導率の高い金属胴体なので耐久面などに問題はないはずですが、なるべく通気性の良い場所で使うくらいの対策はした方が良さげだと感じました。

新発想ネックバンドが出色のVITURE One

ケーブル1本スマホやPCとつないでXRグラス単体で使えるだけでなく、ネックバンドとの併用で有線の煩わしさゼロで動画配信サービスやゲームプレイを楽しめる、次世代のスマートグラス「VITURE One」。

さすがに4Kの有機ELテレビやゲーミングモニターを差し置いて動画やゲームを全部これでカバーしようとはなりませんが、動画コンテンツの視聴、スマホやSwitchのモバイルゲーム用途(特に1080p設計のゲームプレイ)など、機動力と柔軟性を求める人にはかなり有用な選択肢だと感じました。

今回紹介したネックバンドの他にも、Steam Deck、Nintendo Switchに対応するモバイルドックなど拡張性を高めてくれるオプション品が豊富に展開されているので、ぜひチェックしてみてください。

Editor:ロピログ

ワークスペースのモノ・コト、ガジェットを使いこなすための「ヒント」を発信 。月間20万PVのデジタルマガジン『LOPYLOG』運営。X『@LOPYLOG

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