40年にわたるサラリーマンの昼食代の推移をさぐる(2019年版)
新生銀行発表の「サラリーマンのお小遣い調査」(※)によれば2019年のサラリーマンの昼食代は555円だったとのこと。過去の値はどのような状況だったのか。前世紀からの経年推移を確認する。
まずは全体的な昼食代(「サラリーマン」=男性会社員)の単純な推移を見ていくことにする。なお今件「昼食代」は、弁当を持参した場合はカウントされないことに注意する必要がある。
もっとも古い公開値の1979年は565円。バブル景気の余韻が残る1992年の746円を頂点とし、あとは漸減。今世紀に入ってから、特に2005年以降の下落ぶりは顕著で、2007年の金融危機ぼっ発直前までの小康状態時期に多少持ち直しを見せるも、その後は再び下落感を強めていた。1979年以降しばらくの間は消費者物価指数も上昇を続けており、その後はほぼ横ばいだった状況を考えれば、実質的な昼食購買力は(1979年と比べて)さらに落ち込んでいたことは間違いない。
一方この2013年以降はトレンド転換の気配を示し、特に2015年では久々に600円を超える値をつけた。2014年4月の消費税率引き上げに伴う食品群の値上げに連動した引上げ部分もあるが、単純な昼食代の上昇と物価上昇分とでは差が生じており(消費税率の引き上げ分を単純試算するとプラス2.86%、食料部門に限った消費者物価指数を勘案するとプラス3.68%となり、2014年の昼食代541円に上乗せすると561円で、2015年の実測値601円とは40円の差が生じる)、物価の上昇とは別に昼食への重点投入が行われていることが分かる。
直近の2019年では前年比で下落し555円。報告書の説明に「2017年以降緩やかな減少傾向がみられます」とある通り、2017年以降は再び下落の動きに転じてしまったようだ。
未既婚別に見た動向は次の通り。
2013年以降しばしば逆転現象が生じているが、おおよそ未婚者の方が既婚者よりも高い値を示している。既婚者は育児費用などの負担が大きく、昼食代を値切られている可能性があるなど、複数の理由が考えられる。
ここ数年における既婚者の内情を詳しく精査すると、おおよそ既婚者の方が未婚者よりは高め。そして既婚者では共働きか専業主婦か、子供のあり無しでは大きな違いは無い。未婚者は昼食代が高額になりそうな気もするが、実態としては控えめなのは、未婚者≒若年層≒社員食堂の利用者多しの図式によるものと考えられる。
今調査の別項目の結果の上では、サラリーマンにおける昼食時間はこの数年ようやく回復基調を見せるものの、それまでは確実に減少を続けていた。生活リズム・スタイル全体がスピードを求められる時代になりつつあるのも一因だが、それとともに今件の金額面もあわせ、昼食時間のせわしさ、つつましさも加速しているようだ。
■関連記事:
1000円以上が1/3…日頃の職場での昼食代、美味しければいくらまで出せる?
※サラリーマンのお小遣い調査
直近年分となる2019年分は2019年4月5日から8日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2717人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性841人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.3対59.7、女性は60.3対39.7。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけでは無いことに注意。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。