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2021年の成人式の開催はどうなる? 声を上げにくい新成人の本音に迫る!

道満綾香Z世代のメディア「Z総研」アナリスト
(写真:アフロ)

 成人式といえば、「ディズニーランドでの成人式。」「成人式で暴れる若者」といった話題をテレビのニュースで見つめながらその時を懐かしむ人も多いのではないでしょうか。

式典や市長のごあいさつなんてなんのその、同級生たちの再会にわくわくしながら、話が弾んでそのまま同窓会へ。なんて記憶は成人式を経験した人なら忘れられない思い出として、しっかり心に残っているのではないかと思います。

今回は成人式を迎える大学生たちにヒアリングを行い、成人式は開催されるのか、開催される方法や若者たちの集まり、この時代の成人式をどう考えているのかを調査しました。

(女子大生マーケティングユニット「学生団体TeamKJ」等協力)

緊急事態宣言の成人式の開催の是非は?

 2021年1月11日は関東1都3県に緊急事態宣言が発令された直後で、関西においても週末に発令が出るとされています。

開催については自治体によりかなり異なっていますが例年と同じように開催されるといった情報は聞かれませんでした。

中央大学の松見光透さんは「横浜での成人式はオフラインで開催されるものの、例年の横浜アリーナ集中型の開催から、パシフィコ横浜との2つに分けた上で時間についても分かれていて、実質15分くらいのものになっている」と話します。

関西圏の学生もまだ緊急事態宣言前の地域とはいえ、「人数を制限して4回で開催」「地区ごとに分けられ午前と午後に分けられる」という地域が多いようで、蜜を避けて開催されるという例年にはない形の成人式の準備が進められているようです。

 学習院女子大学の佐々木美波さんは府中市の成人式に参加予定でしたが、オンラインでの開催になってしまい、「オンラインでの視聴はせず、仲のいい友人数人で地元の神社で集まる予定。延期という選択肢はあって欲しかった」と見解を述べました。

他にも中止になったという学生からは「中止でなく延期という選択肢があったのでは」という意見がありました。逆に延期となった早稲田大学2年田中梨紗さんは「時期はまだ未定で開催されることを願っている」と話しています。

このような状況のため自治体によって足並みが揃っておらず、新成人を迎える学生にとっても不満が残る形となっています。

スマホを持ちながら着物でオンラインで参加という新成人も(takayuki/Shutterstock.com)
スマホを持ちながら着物でオンラインで参加という新成人も(takayuki/Shutterstock.com)

ルールを守りながら開催。大きな同窓会や集まりは軒並み中止に。

 例年であれば成人式の祭典よりも後の同窓会に興味がある参加者が多かったのが事実だと思いますが、今年は大きな集まりは開催されない、もしくは未定だとという意見がほとんどでした。

当日になってどうなるかは地域によっても分かれるかもしれませんが、実際、オンライン開催であったり、人数を制限して分散して式典が行われている点、受け入れ側の飲食店の営業体制を考慮しても、突発的に大きな同窓会を開催するのは難しくなっていると思われます。

「今回は集まる予定はない。」「人数を制限して仲のいい友達だけで集まる。」といったような意見が聞かれました。

 20歳の世代は少し前と比べるとスマホの普及率が高く、中学生に入った時からiPhone・LINEが浸透しており、SNSネイティブと言ってもいい世代です。オンラインでのつながりが強くそこまで同窓会に強い期待を抱いていないのではという考えも浮かびましたが、実際は違いました。今の20歳はたしかにほとんどInstagramでつながっています。ただ、「Instagramを更新しない人の近況知りたい」や「Instagramのストリーズでみた内容を直接聞きたい」といった、今の世代ならではの、SNSの内容を話したいといった実際に会う場として、同窓会を望む声は強かったのです。

今回はやはり、若者にとってもコロナに対する意識が高まってきていることが大きく影響しています。

「このような状況なので仕方がない」という意見が大半。新成人たちのホンネは。

 Twitterで話題になったような、中止になった場合の「着物のキャンセルが難しかった」というトラブルがでるなど、女性の場合、両親や周りの人に晴れ姿を見せたいという成人式はなかなかオンラインに転嫁しづらいイベントです。

そのため、オンラインを実施しても参加するモチベーションはなかなか上がりにくいというのが現状ではないでしょうか。

「このような状況なので仕方がない。」といった、どういう決定になっても一定の理解を示す意見がほとんでであった一方、地域によって開催されたり、されなかったりする不公平感に不満を持っているという一面が見受けられました。

中央大学の小林末依さんは「イレギュラーなことは多いが、開催できるだけありがたい。しっかり出席させていただきます。」と意気込む一方、「この日のために美容院にネイルにマツエクと一生に一度のこの日にお金もかけるものの、すぐ終わって、自粛生活で誰にも会わないので無駄なのではと思ってしまう」との見解を述べました。

同志社大学の河野結布海さんが「着付けの予約が変更できず、参加したい時間帯に出席できなかった」というように、女性は準備の折り合いも苦労しているのが見受けられました。

 また、「こればかりはどうしようもないことはわかっている」という前提の元ではありますが、「せっかくの晴れ舞台なのでメイクがマスクでおかしくなる」という意見も聞かれました。「実際は15分程度しか時間が取れず、そのために朝早くから着付けやヘアセットをするのは正直気分あがらず。。。」といった声も聞かれました。

そんな中でも「こんな機会はめったになく、異例な成人式に少しワクワクしている部分もある」といった意見もあり、社会に出る前にこういった経験をすることでプラスになると感じている人もいることがわかりました。

 「こんな状況だからこそわがまま言ってる場合じゃない。」という自制心と「せっかくなのでもっとこうしたい」という葛藤の間の中迎える成人式。

通常の成人式を経験した先輩方のみなさまからも同情の声も聞かれるでしょうが、限られた制約の中でモラルを守っていただき、よい思い出にしていただければと思います。

 より強い大人になることが求められる社会の、新成人のこれからの飛躍の一歩となる日になることを切に望みます。

Z世代のメディア「Z総研」アナリスト

兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションを行い、数々のメディアに取り上げられるなど若者向けのアプリがブレイク。その後、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotonで取締役に就任。Z世代の研究メディア「Z総研」ではアナリストとして、ジェネレーションギャップが生まれるZ世代の「今」を取材している。

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