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新生日銀はイールドカーブ・コントロールを継続するつもりなのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 4月4日に10年国債の入札が実施された。利率は年0.5%、回号は370回となり、3月に発行された369回とは別の新しい回号となる。

 ちなみに現在の国債発行については、即時銘柄統合(即時リオープン)方式が導入されている。

 リオープン方式とは、新たに発行する国債の元利払日と表面利率が、既に発行した国債と同一である場合、原則として、その既に発行した国債と同一銘柄の国債として追加発行(リオープン)することとし、この新たに発行する国債を、発行した時点から、その既に発行した国債と同一銘柄として取り扱う方式のこととなる。

 10年国債については、金利が上下に大きく変動する場合(償還日が同一の国債を発行する場合で、かつ、前回債の表面利率と入札日の市場実勢利回りとの乖離がおおむね0.30%を超える場合)を除いて、年間4銘柄(2022年4・5・6月発行分は4月債、7・8・9月発行分は7月債、10・11・12月発行分は10月債、2023年1・2・3月発行分は1月債)でのリオープン発行となる。

 つまり369回債は2022年1月、2月、3月に発行されたものとなる。367回と368回、そして369回はほぼ日銀が発行額規模で買い上げるという異常な事態となっていた。

 日銀はいまでも指値オペを継続してオファーしている。5日に370回が発行されたわけだが、5日から現在にいたるまで日銀による指値オペはカレント(370回、369回、368回)、債券先物のチーペスト(359回)の買入額はゼロとなっている。

 これは欧米の長期金利が低下しているなど、外部要因によるところも大きい。日本の消費者物価指数がピークアウトしたためとの見方もあるかもしれないが、あくまでそれは政府による物価高対策で押し下げられているだけであり、高い水準を維持していることに変わりはない。

 いずれにしても10年債カレントの利回りが、4月に入り0.5%以内に抑えられていることは確かである。しかし、このまま長期金利が落ち着いて推移するということも考えづらいことも確か。

 長期金利が0.5%を付けない限り、日銀による異常緩和の副作用は見えてこない。10日に植田日銀総裁はイールドカーブ・コントロールを継続するのが適当と述べた。しかし、それがコメントできたのも、ここ数日の長期金利が落ち着いていたからである。

 これが0.5%を上回って推移し、370回も大量に日銀が買い上げているような状況となっていれば、果たして素直に植田総裁の発言を受け入れていたかどうかは甚だ疑問である。

 繰り返すが現在の日銀が行っているのは通常の金融緩和などではない。異常な緩和策といえる。それをどうして継続する必要があるのか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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