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アップルが米国で預金サービスを開始、預金獲得競争に名乗りを上げる。利率は4.15%と非常に高い設定に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルは17日、同社のクレジットカード利用者向けに、年4.15%の利率で預金サービスの提供を始めたと発表した。米ゴールドマン・サックスが貯蓄口座の提供と管理を担う。利率は他の銀行より大幅に高く、金利競争が激しくなる可能性もある。4.15%の預金利回りは、0.3%台にとどまる貯蓄口座の全米平均の10倍以上となる(18日付日本経済新聞電子版)。

 アップルは米国でクレジットカード「アップルカード」を発行している。クレジットカードなどを管理する財布アプリ「ウォレット」内のアップルカードから直接、貯蓄口座を設定して管理できる。他の銀行口座からも預け入れができる。

 貯蓄預金は、文字通り貯蓄を目的とした預金となり、貯蓄預金口座には普通預金口座のような決済機能はない。

 米国では3月にシリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー銀行が相次いで破綻し、銀行からの資金流出が起きた。銀行預金金利に比べて、米国債利回りなどが大きく上昇しており、その結果、期間の短い公社債などで運用される投資信託であるMMFに資金が流入していた。

 この資金も取り入れようとアップルも名乗りを上げた格好となった。

 貯蓄口座の全米平均金利は0.3%台にとどまっている。ゴールドマン・サックス・グループの個人向け銀行部門マーカスが、貯蓄口座の金利を3.75%に引き上げたとこちらは2月17日にブルームバーグが報じていた。ゴールドマン・サックスはアップルカードの発行でアップルと提携していたが、マーカスでのノウハウも取り入れた上でアップルと協力し、貯蓄口座の提供と管理を担う。

 口座を開設できるのは米国居住者で、手数料や最低入金額、最低残高といった条件はない。預け入れの上限は預金保険の保護対象と同じ25万ドルまでとなる。ウォレットアプリから口座残高や利息の推移が確認できるほか、別の銀行口座に送金して引き出したりできる(18日付日本経済新聞電子版)。

 これは米国の銀行にとってかなりの脅威となる可能性がある。日本で同様のサービスをアップルが始めるのかどうかはわからないが、今回の米国でのアップルの預金口座の動向には関心が高まりそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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