ご当地の味。長崎名物「食べるミルクセーキ」とは
どうも!アイスマン福留です。今後、「アイスマンのご当地アイス紀行」と題し、全国各地の魅力的なご当地アイスを紹介していこうと思う。
今回は、異国情緒ただよう街、長崎の「食べるミルクセーキ」を取り上げる。ちゃんぽんや卓袱料理、ちりんちりんアイスなど、長崎独自の食文化が根付いているが、その中でも「食べるミルクセーキ」は知られざるご当地スイーツである。
長崎市内の多くの喫茶店やレストランで「長崎名物ミルクセーキ」として提供されている。一般的なミルクセーキは飲み物だが、長崎ではスプーンで食べるシャーベット状の氷菓子として親しまれている。長崎カステラのように名物として有名ではないが、地域の人に親しまれる長崎のソウルフローズンデザートである。
長崎名物「食べるミルクセーキ」
ミルクセーキは昭和の時代に大流行した。喫茶店の定番ドリンクだったが、長崎では食べるフローズンスイーツとしての地位を確立している。ご当地アイスの分類的には、沖縄の「氷ぜんざい」に近いカテゴリーで、原材料は非常にシンプルだが、各店によって異なる比率や食感、フレーバーが楽しめる。
まずは老舗喫茶店のミルクセーキから紹介しよう。
ツル茶んのミルクセーキ
長崎名物「食べるミルクセーキ」を語る上で「ツル茶ん」は外せない。大正14(1925)年に創業、九州最古の喫茶店。長崎名物のトルコライスをはじめ、食べるミルクセーキ発祥の店としても有名。ツル茶んのミルクセーキは氷の粒感が細かいなめらかなシャーベット状で、「かき氷」というよりも、どちらかというと「アイスクリン」寄りである。サイズが大きくボリューム満点で甘みと卵黄の風味が強めで、細かく刻んだ琵琶の粒が混ざっているのも特徴だ。
珈琲 冨士男
同じく老舗喫茶店カテゴリーでは、1946年(昭和21年)創業の長崎が誇る純喫茶「珈琲 冨士男」も有名である。昔ながらの喫茶店で、店内はノスタルジックな雰囲気が漂っている。冨士男のミルクセーキは他店に比べてやわらかく、甘さも強めで卵黄の風味が際立つ。シャーベット状のミルクセーキには時折現れる粗い氷の食感が魅力だ。シンプルなグラスに入っており、夏以外の季節でも食べやすいサイズ感である。
お次はフォトジェニックなビジュアル系ミルクセーキを紹介する。
銅八銭
1977年創業のアンティック喫茶&食事「銅八銭」は、長崎市上町に位置する。ここのミルクセーキは高さがあり、非常にフォトジェニックである。メディア取材も多い有名店で、「銅八銭(どうはっせん)」という名前は長崎で「落花生」を意味する。店内は常連客が多く、ゆったりとした時間が流れている。ミルクセーキはオシャレな切り子グラスで提供され、その高さはグラスの倍にも及ぶ。見た目が大胆ながら、きめ細かく繊細な食感が特徴だ。実際に食べるとボリュームがあり、真夏以外は複数人でシェアするのがおすすめである。
親しみ深い味わいの喫茶店系ミルクセーキに対して、お菓子屋系のミルクセーキは味がとても繊細な印象がある。
「松翁軒」本店 喫茶室セヴィリヤ
江戸中期より続くカステラ元祖「松翁軒」。長崎カステラ御三家としても知られる有名店だ。ここ本店の2F喫茶室セヴィリヤも注目すべき店だ。ここのミルクセーキは粗い氷で構成され、かき氷感が強い。機械を使って氷を砕き、手作業で仕上げる手間がかかっている。指定農場から仕入れた卵と砂糖はカステラと同じものを使用しており、濃厚な卵黄のコクと砂糖のざらつく質感が特徴だ。
「志らみず」のミルクセーキ
もう一つのおすすめは、白水堂思案橋本店内の「志らみず」である。卵黄の風味がしっかり効いた味わいは、カスタードクリームをシャーベットにしたような感じで、甘さも上品だ。全体的になめらかでありながら、氷の粒感も楽しめる。
お取り寄せ版も存在する
また、「長崎カステラアイス」で有名な『ニューヨーク堂』では、通販用のミルクセーキが販売されており、お取り寄せが可能だ。
長崎名物のミルクセーキを求め、全部で20店舗以上を回ったが、各店舗ごとにそれぞれ個性的で魅力的なミルクセーキを提供していた。
目指せ全国区。「白くま」に続け!
長崎の「食べるミルクセーキ」は全国的にはまだ認知されていないが、「長崎カステラ」に匹敵する観光名物になり得るポテンシャルを持っている。将来的には九州名物「白くま」のように全国区になる可能性がある。長崎観光の際は、市内の喫茶店やレストランで「本場の味」を楽しんでいただきたい。