自動車税・ガソリン代・保険料・車検料、自動車所有者が一番大きな負担だと思うのは?(2018年調査版)
自動車は便利な道具ではあるが、維持には様々な費用が必要。自動車所有者はどのような経費を一番負担だと思っているのだろうか。ソニー損害保険が2018年12月に発表した、カーライフの実態に関する定点観測的調査(※)の2018年分における調査結果から確認する。
自家用車を所有して定期的に利用運転をするのには、多様な費用が必要になる。ガソリン代はもちろん、駐車場代、修理代やメンテナンス代。そして保険料や自動車税などの税金に、さらには車検代。
そこで自家用車オーナーの調査対象母集団に、どのような経費が負担に感じるかを尋ねたところ、もっとも重い負担を覚えたのは同率で「自動車税」「車検・点検費」の双方だった。63.0%の人が負担だと答えている。
トップは「自動車税」と「車検・点検費」が同率。「自動車税」は環境絡みで税制が頻繁に変わり、大体は負担が大きくなるのに連れて、負担を感じる人も多くなったのだろう。とはいえ直近の2018年では前年比で大きく値を下げている。
一方で「車検・点検費」は燃料代や駐車場代、修理代などと異なり、毎月一定額が出費として計上されるものではない。しかし多くは2年毎に、10万円前後の費用が一度に必要となるため、重い負担がかかるとの認識が強い。賃貸住宅における更新料と同じようなものと考えれば、自動車を保有していない人にも理解はできるだろう。もっともこの項目も「自動車税」同様に前年比では減少している。
第3位には「ガソリン代・燃料代」。運転のスタイルにもよるが、定期的、例えば月一単位で財布の中身を減らしていく。場合によっては週単位で給油が必要な人もいるだろう。負担を感じるのも当然の話。
「自動車保険料」は56.1%。自動車保有者の2人に1人以上が負担だと感じていることになる。「駐車場代」「修理代」は2割前後と少なめだが、これは地域によって大きな違いがあるため。後述するが、「駐車場代」は駐車場代の高い都心部のみに限定すれば、もう少し高い値を示す。
ここ数年の変化を見ると、「車検・点検費」は高値安定、「自動車税・軽自動車税」が漸増、「自動車保険料」「駐車場代」がほぼ横ばい、「修理代」が漸減、そして「ガソリン代・燃料代」が2016年を底としておおよそ増加を示している。これは昨今に至るまでの原油価格の上昇に伴い、ガソリン価格が引き上げられているのが原因と考えられる。もっともここ1、2か月ではその原油価格が急落したのに連れ、ガソリン価格も下落しているので、来年までこの動きが続けば「ガソリン代・燃料代」の2019年における回答率は大きな減少を示すことだろう。
「ガソリン代・燃料代」は年々心理的・実額的な負担増となっており、2014年では「車検・点検費」すら抜いてトップの負担項目だった。それが2015年からは回答率が大きく減り、その後2017年では上昇に転じており、現在では第3位。
いかにガソリン代が自家用車の所有者の心境に大きく作用するかが理解できよう。
他方、自家用車の利用コストの観点では、居住地域によって違いが生じるとの意見も強い。今回調査分では回答者の居住地域、具体的には都市部(市・区における人口ランキングの上位都市(1~8位)である、北海道札幌市・東京都23区・神奈川県横浜市・愛知県名古屋市・京都府京都市・大阪府大阪市・兵庫県神戸市・福岡県福岡市を「都市部」とし、それ以外を「地方」と定義)と地方に区分した上で集計した回答値も収録されている。
都市部ではトップが「ガソリン代・燃料代」、そして「自動車保険料」「車検・点検費」「駐車場代」「修理代」と続く。地方ではトップが「車検・点検費」、そして「ガソリン代・燃料代」「自動車保険料」「駐車場代」「修理代」。「駐車場代」の回答率が都市部では地方の2倍以上に達しており、都市部での駐車場の確保が困難、コスト的に割高であることが改めて確認できる。
しかしながら、自家用車利用者の視点では「修理代」と順位が入れ替わる程度。「ガソリン代・燃料代」など上位陣には及ばない、相対的に見れば大きな問題では無いと考えられているのもまた事実ではある。
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※カーライフの実態に関する定点観測的調査
今調査の直近分は2018年10月19日から22日にかけて自家用車を所有し月1回以上運転する18歳から59歳の男女を対象に、携帯電話を用いたインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比、18歳と19歳・20代・30代・40代・50代の年齢階層別構成比は均等割り当て。調査機関はネットエイジア。過去の調査もほぼ同じ条件で実施されている。
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