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いよいよ本番を迎える首都圏中学受験、前日の過ごし方について

矢萩邦彦アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授
(写真:アフロ)

いよいよ首都圏の中学入試が始まります。最後の1日に何をするか、受験中にどうしたらよいか、というという問い合わせが増える時期ですが、塾や予備校もバタバタしていて中々個別には対応できないという話も聞きます。そこで、よくある質問と対応をまとめてみます。

●前日も勉強した方がよいか?

前日はコンディションを整えることに注力した方がよいですが、中学受験は暗記で対応できる分野も多くありますので、前日の詰め込みでも効果が期待できます。もし不安な分野があり、それが社会科や理科の暗記で対応できるものであれば、直前まで時間を使った方が、安心や自信に繋がり、結果としてコンディションよく受験に臨める場合もあります。

実際、直前に見た参考書やプリントから出題された、というような話は毎年よく聞きます。倍率が高い学校やチャレンジ校の受験では一点が響きますから、少しでも知識を確実にして望みたいところです。その際注意したいのは、新しいテキストや参考書を使わないことです。使い慣れた物をくり返す方がスピードも速く、また記憶に残りやすくなります。

もちろん、特に不安はない、または出来ないことを認識してしまうと焦ってしまうような人は、無理に勉強せずにリラックスして過ごした方がよい場合もあります。

●緊張して眠れない時はどうすればよいか?

夜は必ず休んだ方がよいです。「どうせ眠れないのなら開き直って勉強をした方が良いのではないか?」と思うかも知れませんが、その時はまだ体力や精神力があるからそう思うだけで、朝まで起きていたら消耗した状態で試験に臨むことになります。算数や国語など集中力が物を言う教科では、睡眠不足は命取りです。ただでさえ、中学受験は連日、多ければ午前と午後で1日2校受験が4日つづくなど、ハードなスケジュールの受験生もいます。できる限り体力はキープしたいところです。

たとえ眠れなくても、横になって目を閉じているだけで違います。まわりの大人がそう言ってあげるだけで違いますから、是非声をかけてあげて欲しいと思います。

●鉛筆など持ち物はどうすればいいか?

これも直前になって相談されることが多いテーマです。実際、普段よりも速く大量に字を書くことになりますので、シャープペンシルより軽量で芯が太く安定している鉛筆をお勧めしていますが、慣れない道具を使うのはリスクがあります。受験に向けてすでに鉛筆使用にシフトしているのでなければ、普段から使っている道具をしっかりメンテナンスして、万が一の予備として同じ道具をペアーで用意しておくくらいが良いと思います。

ただ、寒い上に緊張している場合、普段よりも芯が折れやすくなります。主流である0.5mmのシャープペンシルよりも、0.7mmや0.9mm芯のものが試験には向いています。特に女子生徒の場合、細く堅い芯を選びがちで、緊張や筆圧によっては解答用紙を破ってしまい、それで動転してしまったという話も聞きます。

消しゴムなども、落としてしまった時に挙手して試験官に対応してもらうのは時間の無駄になりますし、余計なプレッシャーになりますので、転がりにくい四角く新しい物を、多めに持っていくようにしたいところです。

その他、受験会場で座る位置によっては寒かったり暑かったりという事は考えられますので、温度調節がしやすいように重ね着をしていくのが無難です。また、見落としがちなポイントとしては、雪や雨の場合靴下が濡れてしまい、集中力を削がれることがありますので、靴下の替えなどを持っていくと安心です。

●食事はどうすればよいか?

いつもと変わらない食事が無難です。前日ならまだよいですが、当日朝に「受験に勝つ」からカツ丼、などという話は未だに聞きますが、脂っこいメニューや重いメニュー、生ものなどは験担ぎとしてはリスクがあります。食事を抜いてしまうのも集中力に影響しますので、日常的に食べているものや、体質に合ったものが無難です。

その際、テスト直前に食べると集中力が低下しますし、消化が良すぎるものは最後まで集中力が持たなかったりしますので、テストの開始時間や終了時間に合わせて食事のタイミングや量を調整したいところです。

また、小腹が空いたり、緊張したり、集中力が途切れた時にはチョコレートや飴、ブドウ糖などが効果を発揮します。鞄やポケットに入れておくとよいかと思います。

中学受験の場合、受験生本人の行動はもちろん、保護者の働きかけが影響力を持ちます。正解はありませんが、準備することの大切さや、関わってくれる人達への感謝など、受験には勉強以外に学べること沢山あります。ほとんどの受験生にとって、人生で最初の受験体験になります。この経験が将来の糧になるようになるよう、サポートしたいところです。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE・教養の未来研究所)

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知窓学舎 横浜本校

アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

1995年より教育・アート・ジャーナリズムの現場でパラレルキャリア×プレイングマネージャとしてのキャリアを積み、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究するアルスコンビネーター。2万人を超える直接指導経験を活かし「受験×探究」をコンセプトにした学習塾『知窓学舎』を運営。主宰する『教養の未来研究所』では企業や学校と連携し、これからの時代を豊かに生きるための「リベラルアーツ」と「日常と非日常の再編集」をテーマに、住まい・学校職場環境・サードプレイス・旅のトータルデザインに取り組んでいる。近著『正解のない教室』(朝日新聞出版)◆ご依頼はこちらまで:yahagi@aftermode.com

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