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開発者に10億人プラットフォームを訴求するマイクロソフト。Surfaceの日本展開にも言及

本田雅一フリーランスジャーナリスト
開発者向け会議でWindowsプラットフォームの可能性に言及するバルマー氏

「Windows 8は10億人のためのプラットフォームだ」

マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏がそう訴求したのは、米レドモンド市にあるマイクロソフト本社内の野球場に作られた特設会場にWindowsアプリケーションの開発者を集めたイベント「BUILD」での基調講演である。

Windows 8とWindows Phone8でプログラムコードを共有可能に
Windows 8とWindows Phone8でプログラムコードを共有可能に

マイクロソフトは10月23日にWindows 8と自社ブランド初のコンピュータ製品「Surface RT」を発表。さらに29日にはスマートフォン向けOSのWindows Phone 8を発表したばかり。集まった開発者たちにWindows 8とWindows Phone 8、二つのプラットフォームで、同じプログラムコードが共有できる構造としたことを説明し、市場創造に多くのマーケティング投資を行うと約束。アプリケーション開発を促した。

バルマー氏は「世界中にWindowsを使っているユーザーは10億人。このうち6億7000万人のパソコンで、Windows 8は快適に動作するよう設計されている。そしてWindows8発表に伴い、4億台のWindows 8、Windows RT搭載コンピュータが出荷された」とアピール。そのうえで、まだ市場では小さな存在のWindows Phoneに対しては、あらゆる手を尽くしてのプロモーションを行うという。

Windows 8には、まだFacebookやTwitterといった主流のSNSに対応した公式クライアントやDropBox対応アプリなどが不足していたが、Twitterはこの日、Windows 8対応クライアントの開発を発表。DropBoxのWindows 8版もリリースされた。

Windows 8はマイクロソフトが提供する音楽、ビデオなどの配信サービスが統合され、あらゆるWebサービスがつながっていくという。さらにすべての対応アプリケーションにまたがった、検索機能と共有機能(SNSやメールなどの共有サービスへのエクスポート)を備えている。

「Windowsには、今のコンピューティングに必要な要素がすべてが入っている。デジタルコンテンツを楽しみ、情報を検索し、それを共有する。すべてのサービスへの入り口であり、すべてのサービスを接続するものだ。みなさんの家庭にある多様なデジタルコンシューマ製品ともつながっていく」とバルマー氏。

Windows部門社長のスティーブン・シノフスキー氏は「PCは難しいというが、10億人が使いこなしているパワフルなツールだ。PCにはまだ多くの可能性がある。タブレットが出てきたからといって、このツールの意味がなくなるわけではない。PCが生まれた時代には、アプリストアやクラウドは存在しなかった。Windows 95の生まれたとき、やっとみんながインターネットを使い始めた程度。今の時代に、Windowsを再創造することで、PCの持つパワフルさを、10億人に届けるのが僕らの仕事だ」と話した。

「再創造」したという新しいWindows PCの世界。マイクロソフトの発売したコンピュータSurface RTは、マイクロソフトの考えるコンピュータを形にしたものとも言える。ところがWindows Phone 8の日本投入延期(準備がまだでいていないというニュアンスでコメントが出されている)、Surface RTの発売見送りなど日本のユーザーからマイクロソフトが離れはじめているという印象も受ける。

これに対してシノフスキー氏は「日本は”好きな国”。そして何より多くの重要なPCメーカーがいる。Surfaceは特定の国だけで展開するのではなく、世界中で入手できるようにするつもりだ。まだ準備は整っていないが、いずれは発売したいと考えている。また、日本のメーカーから魅力的なWindows RTも登場するだろう」と話し、日本における展開にも力を入れていく意向を示した。

フリーランスジャーナリスト

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、モバイル、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジとインターネットで結ばれたデジタルライフと、関連する技術、企業、市場動向について解説および品質評価を行っている。夜間飛行・東洋経済オンラインでメルマガ「ネット・IT直球レポート」を発行。近著に「蒲田 初音鮨物語」

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