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日本の企業物価指数と米国の卸売物価指数はピークアウトしたのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:cap10hk/イメージマート)

 日銀が14日に発表した2021年12月の企業物価指数は前年同月比で8.5%上昇となった。伸び率は11月の9.2%から小幅に鈍化した。11月の伸び率は速報値の9.0%から9.2%に上方修正された。

 伸び率は鈍化したものの高水準が続いていることに変わりはない。背景には原油などエネルギー価格の高騰や原材料の価格上昇に、円安による影響も加わっている。

 自動車やハイテク機器に影響を与えていた部品調達の供給制約が次第に解消されつつあるものの、オミクロン型の感染拡大による影響も気になるところとなる。

 物価上昇は飲食料品などにも広がってきていることで、じわりじわりと消費者物価指数にも影響を与えることが予想される。

 米労働省が13日に発表した2021年12月の卸売物価指数は前月比0.2%上昇と11月の1.0%上昇から鈍化し、2020年11月以来13か月ぶりの小幅な伸びとなった。前年同月比は9.7%の上昇となった。

 サプライチェーン(供給網)の問題が緩和し始めてきており、物価上昇がピークに達した可能性も出てきた。

 日本の企業物価指数、米国の卸売物価指数ともにいったんピークアウトした可能性はあるが、当面の間は水準そのものは高い状態で推移するとみられる。

 新型コロナウイルスのオミクロン型の感染拡大による影響も気になるところながら、こちらもいずれピークアウトすることも予想される。それにより経済の正常化が本格化すると物価に再び上昇圧力が掛かることもありうるか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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