日本はどこから原油を輸入しているのだろうか(2014年)
ガソリンや火力発電、さらには多種多様な生成物の元になる原油。日本ではほとんど採掘できずに海外からの輸入に頼っている。その輸入元の現状を経済産業省の石油統計を基に確認していく。
まずは輸入元別の輸入量。
最大の輸入元はサウジアラビア。、2013年の1年間だけで6411万キロリットルもの原油を輸入している。日本の国産原油産出量は年間で80万キロリットル前後であることから、サウジアラビア1国だけで、日本国産原油の80倍以上もの原油を輸入している計算になる。
次いで多いのはUAE、カタール、クウェート。中東地域の国名が並ぶ。ようやくそれ以外の地域としてはロシアの名前が確認できる。なおグラフ中「中立地帯」とあるのは、中東地域内での話。
これを円グラフの形に再構築したのが次の図。中東地域に多分に依存している現状が把握できる。
赤系統で着色したのが中東地域。オイルショックなどの影響でリスク分散の必要性が認識されたことから、エネルギー生成方式だけでなく、輸入ルートに関しても分散化が行われ、中東地域以外からの輸入が積極的に推し進められた。1987年度には日本の石油における中東依存度は68%程度にまで減少していた。
しかしその後、中東地域以外の産油国の多くが、経済発展と共に自国の原油を消費し始め、輸出が出来なくなってしまう事態が生じる。石油統計の資料を見る限りでは、最近では例えば中国がその傾向を見せている。直近のデータでは2009年以降の年次データが取得できるが、年々中国からの輸入量は減少し、2013年ではついにゼロとなってしまった。必然的に中東依存度は再び上昇する。
社会を維持するために欠かせないエネルギー源の一つである原油を過不足なく常時確保し、国内に供給し続けるためには、産油国への経済協力をはじめとした国際協調の推進が欠かせない。そして同時に海路の安全性に関する重要性の認識とその維持への注力、輸入先の分散化が求められよう。
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