ブレイナード・ショックとルペン・ショックで欧米の長期金利が急騰、どうする日銀
FRBのブレイナード理事は5日の講演で、米経済の力強さとインフレ圧力の高さを強調した。5月にも始める国債などの保有資産の縮小について「前回と比べて著しく速くなりそうだ」と述べた(6日付日本経済新聞)。
ブレイナード理事は市場ではハト派の最右翼とされている。すでに5月からの保有資産の圧縮(QT)の可能性を市場は認識していたものの、ハト派の最右翼とされるブレイナード理事の発言でそれが確信に変わったということであろうか。
これを受けて5日の米長期金利は一時2.56%と3年ぶりの水準に上昇した。米国株式市場では、金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PERのハイテク株主体に売られた。6日にはFOMC議事要旨が予想以上のピッチでの資産縮小が示され、米長期金利は一時2.66%に上昇した。
欧州市場では10日に始まるフランスの大統領選で極右政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン党首が勝利するリスクが意識されてきた。このため、フランス国債を中心に欧州の国債は総じて大きく売られた(国債利回りは上昇)。
ブレイナード・ショックとルペン・ショックによって欧米の国債は売られ、それとともに円安も進行した。
6日の東京株式市場では株も国債も円も売られ、トリプル安の様相を強めた。ドル円は124円をうかがう動きとなり、10年債利回りは0.235%に上昇した。
フランスの大統領選については、調査会社ハリス・インタラクティブが週刊経済誌シャランジュ向けに実施した世論調査によると、ルペン氏とマクロン大統領の決選投票となった場合、ルペン氏に投票する意向の有権者の割合が48.5%と、過去最高を更新したそうである(6日付ロイター)。
マクロン大統領が再選されるとの見方が強かったが、ルペン氏がここにきて追い上げをみてきたことで、仮にルペン氏勝利となればあらたな波乱要因ともなりかねない。
ブレイナード・ショックとルペン・ショックにより欧米の長期金利が急騰し、これが東京市場にどのような影響を与えるのか。
市場は行ってほしくはない方に行きがちである。そもそも金利はすでに世界的な上昇局面にあるといえる。そのような状況下、無理矢理に長期金利の上昇を抑制するとなれば、流れに逆らうこととなる。そのような政策はいつまでも続けることは、いずれできなくなるであろう。