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VRChatで人と人、人とカルチャーを交流させるために取り組むディエナさんのお話

武者良太ガジェットライター
(写真:筆者撮影)

現時点で実現可能なメタバースを高いクオリティで実現できているVRChat。基本的に英語圏のサービスゆえに、行き先を間違えると英語が飛び交う場所しか入れなかったりしますし、容赦ない海外キッズの洗礼を浴びることもしばしば。

しかし平日でも30件以上、週末ともなれば100件近い、日本人ユーザーが企画した様々なイベントが開催されています(VRChatイベントカレンダー調べ)。それぞれの場は現実世界のスポーツバーやライブハウスといった雰囲気があり、日本語が喋れるユーザー同士が語り合い、時にはステージ上で演奏しているミュージシャンの曲や、DJがmixするトラックに聞き惚れています。

しかし多くのイベントが乱立することでの問題も見えてきました。それはお客となるユーザーの少なさ。詳しいお話をDJイベントチームGZ(@GZofficial0853)を率いるDJ兼オーガナイザーのディエナさん(@dienavr0853)にお聞きしました。

新人DJに「みんなから音が良かったよって言われながらデビューしていってほしい」

(写真:筆者撮影)
(写真:筆者撮影)

VRChatでは近年、DJ機材を購入して新たにDJ活動に取り組むユーザーが増えているそうです。

ディエナ 僕はVRChatをはじめた頃から友達が欲しかったので、いろんなイベントを開催していたんです。そこに遊びにきてくれた方の中にVRでDJをやっている方が多くて、DJイベントも開催するようになりました。

そこで知ったのは、DJに興味を持っていてもデビューできる場が少なかったこと。VRChatではじめてDJ活動に取り組み始めたけど、みんなの前でプレイする機会がない方が多かったのです。

DJとして注目されるには名を売っていくしかないのですが、それにはいろんなDJイベントに遊びにいって知り合いを作っていかないとならない。オーガナイザーとしても接点が少ない方には、「ウチのイベントに出てください」と言いづらいところがありますよね。

これはDJに限らず、ミュージシャンやアーティスト、その他のパフォーマー全体にいえること。また新人デビューだけの問題ではなく、自分の技術にあぐらをかいて他の人とのコミュニケーションを疎かにしていたりすると、お呼びがかからずいつまでも注目されません。

ディエナ じゃあ自分でDJイベントを開催するとなっても、新規でオーディエンスとなってくれる方がほとんどいないんですよね。

オーディエンスがDJプレイに興味を持ってDJになって自分でイベントを開催するケースが増えていった結果、オーディエンスが少なくなってきたそうです。新しい観客層を開拓できていない現状が浮き彫りになってきました。

ディエナ 例えば週末だといくつものイベントが同じ時間帯に開催されています。人が集まるのは人気のイベント。そうじゃないイベントは主催者以外は5〜10人くらいのオーディエンスしか集まっていなくて寂しい雰囲気になっていたりします。

僕は新しいDJに、みんなから音が良かったよって言われながらデビューしていってほしいなと思っているので初心者向けDJイベントを開催していますが、それだけにイベントに来てくれる人を集める、増やすというのを使命だと思っているんです。自分のイベントを盛り上げるためにというか、DJプレイを知らない人にも楽しいよっていうのを伝えたいんです。

そこでディエナさんが思いついて、チャレンジし始めたのがキャストイベントとDJイベントを融合した「GZ STARDUST」でした。

カルチャーの交流の場となることを目指して

(写真:筆者撮影)
(写真:筆者撮影)

VRChatの人気イベントの1つがキャストイベント。バーやラウンジ空間をバーチャル上で再現したワールドの中で、イベント来場者と話をして接客をするというイベントです。現実のラウンジでも専属のミュージシャンやDJがBGMを担当するケースがあります。

ディエナ 綺麗なアバターの人たちとお話をしたいというお客さんの中に、DJのファンの方がいたらその話題で盛り上がるでしょうし、DJを知らない人でも音楽がある空間っていいなと感じてほしいんですよね。これを繰り返すことで、キャストイベントが好きな方もDJイベントの方に来やすくなるんじゃないかと思うんです。

人と人、人と音楽というカルチャーの橋渡しをすることで、VRChatの音楽シーンに目を向けてくれる人を増やしたい。ディエナさんの優しい思想が見えてきます。

(写真:筆者撮影)
(写真:筆者撮影)

GZ STARDUSTの方も、キャストとして活動することに興味を持っていたけど機会がなかった、という方がいました。そんなキャストの方々とGZ STARDUSTの場でお話ししてみたところ、不安を抱きながらのチャレンジだったけど、やってみて良かったと明るい声で語っていました。

ディエナ 僕は自分の回りの人が楽しんでくれさえすればいいと思ってやっています。DJも、キャストも、来てくれた人もみんな楽しんでほしいと思って一生懸命やっていると、その気持ちがやっぱり伝わってるみたいで、みんなからも素敵な言葉と気持ちが返ってくるんですよ。

最後に、VRChatでイベントを運営したいと思っている方へのメッセージもお聞きしました。

ディエナ 本当に好きなことをやって、大事なものを本当に大事にするのが一番成功するんじゃないかなと、一番続くんじゃないかなと思います。

ガジェットライター

むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

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