2014年ツール・ド・フランス第1ステージ 英国の晴れた空の下で
サッカーワールドカップで英国が1次リーグ敗退していなければ、これほど盛り上がらなかったかもしれない。……なんて皮肉がどこからともなく聞こえてきたけれど。
それにしても、2014年ツール・ド・フランスの初日、リーズからハロゲートまでの190.5kmのコース沿道に詰め掛けた人の波は、半端ではなかった。アルプスの伝統的山岳ステージかと見まちがうくらい、幾重にも連なる人、人、人。選手たちの口から飛び出す言葉はみな同じ。「信じられない!」
地元メディアの発表によれば、100万人以上がツールを目撃するためにやって来たそうだ。英国首相デーヴィッド・キャメロン氏さえも、公式ゲストとして招待されている月曜日のロンドンステージが待ちきれずに、開幕ステージに駆けつけちゃったほど。
しかも幸いなことに、スタート直前まで降り続いていた雨は上がり、ツール一行の頭上には青い空が広がった。淡い緑の牧草が絨毯のように広がる、そんな英国の田舎の牧歌的な風景の中を、色とりどりのジャージが駆け抜けた。
落車で荒れたスプリントを、ドイツ人マルセル・キッテルが力強く制した。英国人マーク・カヴェンディッシュは地面に激しく転がり落ち、「初日優勝、初日マイヨ・ジョーヌ」の夢潰えた。それでも英国のファンたちは、傷ついた地元の英雄に、暖かい声援を惜しみなくおくった。